父の食生活の乱れが精子を介して子に伝わる?

2016年03月20日

これまで母親の健康状態が胎児に影響を与えることは、周知の事実でした。例えば、過度のダイエットをした女性から生まれた低体重の子は、将来的にメタボや生活習慣病に罹患しやすくなります(成人病胎児起源節)。従って、妊婦の健康管理の重要性は認識されていました。

近年の研究例では、父親の影響に関する研究がみられます。マウスの研究ですが、父親に高脂肪食を与え続けると、生まれた雌の子はインスリン分泌が低下する。父親に低タンパク質食を与え続けると、生まれた子は脂肪肝に成り易くなるというものです。もちろん、母親は健常ですので、父親の食生活の影響が示唆されます。

最新の研究でも、雄マウスを通常の食事群と高脂肪食で糖尿病状態の2群に分け、16週間飼育します。それぞれの雄を正常な雌マウスと交配して生まれた子供マウスで、どちらの群に同じ通常食を与えても、高脂肪食の親から生まれた子供マウスで血糖値が高くなっています。

これまでは、糖尿病などの生活習慣病は、親から受け継いだ遺伝子変異と、不摂生な食生活や運動不足などの後天的な因子がプラスして発症すると考えられていました。しかし、上記の研究結果は“父親の高脂肪食の影響が遺伝情報として子供に伝わった”と考えられます。子供が健康に成長するためには、母親のみならず父親も節制した生活をしないといけないようです。世の中のお父さん方、会社帰りの一杯もたまには良いのですが、運動と気分転換を兼ねたスポーツクラブも考えた方がよさそうです。