特保のウソ(1)

2014年09月01日

これまで薬の副作用について書いてきたので、読者の方は薬は極力飲まない方が賢明ということをご理解いただけたと思います。では、健康食品の特保はどうなのでしょうか?特保とは、「食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする商品」とあり、2009年の売り上げは約5500億円になっています。特保商品は、国が安全や効果にお墨付きを与えたものなので安心と思っている方も多いでしょう。ところが、ここにも産学官の癒着が生んだウソが隠れているのです。

第一に、特保が認可されるためには安全性や効果が実証された医学データが必要です。ところが、このデータにもピンキリがあるのです。名の通った医学雑誌に掲載された研究データなら、信用性が高いといえます。なぜなら、この様な雑誌に掲載されるには審査委員の厳しい審査を通過しなければならないからです。審査委員は、実験の妥当性はもちろん、文章の表現までチェックしますので、信ぴょう性のない内容では、受理されないのです。しかしながら、特保の実験データの多くは、特保申請に有利なデータを作る産学官癒着の研究所がおこなっているのです。そのデータをもとに、この研究所ゆかりの学会で発表して、自作自演の効果や安全性をアピールするのです。もちろん、研究所は官僚の天下り先であるのです。その研究所とは、公益財団法人「日本健康・栄養食品協会」で、全国の700以上の健康食品関連の会社が加入しています。この財団の専務理事は厚生労働省からの天下りポストになっています。さらに、特保の臨床試験を請け負う「総合医学研究所」は、特保の臨床試験で経営が成り立っており、利害関係の強い学者の経営なのです。原発事故のとき、安全神話を作り続けてきた御用学者たちのいい加減ぶりが明らかになりましたが、特保でも同じことが存在しています。

次回は、健康食品の摂取が原因の健康被害などについての記事です。