免疫(3)

2014年12月10日

運動と免疫力

 運動には、大きく見て、2つの面から免疫力をアップする働きがあります。1つ目は前回の説明にあった腸内細菌を改善する働きで、2つ目は基礎代謝の向上に起因するものです。

  • 運動と腸内細菌環境

前回も説明したように、腸内細菌の環境を示す指標の代表は排便間隔であり、便秘は腸内細菌環境の悪化状態を示しています。便秘は、男性には少なくて女性の方が成り易いことは、皆様ご理解のことと思います。何故に女性が便秘に成り易いかというと、筋肉量と女性ホルモンが原因になっています。腸などの臓器は、筋肉が定位置に支えているので、筋肉量が少ないと下腹部に落ちてきてしまうので、狭い空間に窮屈な形で存在することになります。この狭い空間では、蠕動運動がし難いので、便通が悪くなります。また、女性ホルモン(黄体ホルモン)は、腸の蠕動運動を弱くします。さらに、排便には蠕動運動に加えて腹筋の助けをかりるので、筋肉量が乏しいと排便がし難くなります。多くの女性は筋肉量が少ないので、便秘に成り易いのでのす。逆の見方をすると、日常的に運動している女性で、常習便秘は聞きません。 また、後述のように、運動をすることで体温が上がるので、腸内細菌は春が来て暖かくなった時の動物、植物、昆虫などのように、活発に活動するようになり、腸内細菌環境が改善します。

  • 運動と免疫力

免疫力は体温(基礎代謝)と密接に関係していて、体温が1℃低下すると免疫力は約30%低下します。半世紀前の日本人の平均体温は36.89℃でしたが、現在の平均値は36.20℃に低下して、その差は0.69℃もあります。高い免疫力を保って健康であるためには、37℃近い体温が理想的であるので、50年前の日本人の生活パターンの方が健康に良いことになります。

体温を作っているのは筋肉で、ブドウ糖(血糖)を呼吸で吸収した酸素で燃やして、火力発電所のような原動力にしています。この時に熱が出るので、体温は筋肉の量に比例します。即ち、運動で筋肉の量が増えると、体温が上がって、免疫細胞が居心地がよくなるので活動が盛んになり、免疫力が高くなるのです。ただし、激し過ぎる運動は、筋肉量は増えるのですが、過度の呼吸で活性酸素が大量に発生するので、体中の組織に加え免疫細胞もダメージを受けてしまい、逆に免疫力が低下します。限界まで鍛えているオリンピック選手やプロの運動選手のようなアスリートは、免疫力は低下して風邪などに罹る可能性が高まりますし、長生きはできません。健康作りの運動は、ウォーキング、ラジオ体操、ダンスなど、楽しく行える程度が良いのです。この様な運動の後は、血行が良くなり体温も上昇します。運動を始めたばかりには、免疫力も一時的に上昇しますが、次第に低下します。しかし、これを毎日繰り返すことで、免疫力が低下する時期が無くなり、常に高い状態に維持されるのです。ですから、日常的に軽い運動をするのがポイントです。運動の種類は、各自の好みがあります。楽しいと思う運動が、最も免疫力を上げることがわかっています。家族や友人と、楽しめる運動をしましょう。

私の場合は、週に3回くらいプール行っています。泳ぐ前にはサウナに入って体を温め、1500メートル位泳いで、その後は風呂に浸かって温まります。これに加えて美露仙寿を飲んでいるので、風邪などで寝込んだのは何年前だったのか、記憶に無い程に健康です。忙しい方も、電車やバスなどの乗り物の使用を減らして歩くこと、主婦の方は掃除などの家事も手作業が健康を作ることになります。体を動かしましょう。