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健康寿命と要介護期間

2018年04月01日

厚生労働省から、健康寿命(日常生活に支障が無い期間)の最新データが発表されています。男性は72.14歳、女性は74.79歳でした。同年の平均寿命は、それぞれ80.98歳と87.14歳ですから、その差の9.02歳と12.40歳は介護が必要な期間になります。

平均寿命と健康寿命が共に延びているのは喜ばしいことなのですが、その差である要介護期間は2001年と比較すると短くはならずに、僅かにではありますが大きくなっています。介護期間が長いことで問題となるのは、①家族の負担、②金銭的負担、③介護施設の不足などが挙げられます。従って、要介護期間(平均寿命ー健康寿命)を如何に短くして、健康に暮らすかが重要になります。

健康寿命が長かった山梨県では、地域毎にお金を出し合って旅行や飲み会をする無尽(むじん)というシステムがあるそうです。同じく静岡県では、緑茶を沢山飲むことを一因として挙げています。逆に、健康寿命の短い徳島県では、車社会で運動する機会が少ないことが考えられています。これらのデータから、健康で長生きするために、適度な運動とバランスの良い食事に加えて、人との交流が必要ということでしょう。そこで、可能ならば65歳の定年後も負担にならない程度の仕事を続けることで、対外交流や適度な緊張感を維持していきたいものです。仕事をすることで収入があれば生活も安定しますし、税金を払うことで社会も成り立ちます。また、仕事帰りにはスポーツクラブや趣味のサークルへの参加もお勧めです。同じ趣味仲間との交流は楽しいですし、生きがいになります。

近い将来には、人生100年の時代になります。介護などで他人のお世話にならず、人生を楽しむために、健康寿命を延ばす生活を設計しましょう!

風邪に抗生剤を使わない病院に報酬⇒?????

2018年02月20日

厚生労働省は、3歳未満の乳幼児で、風邪や下痢に抗生剤を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬(1件当たり800円)を支払う新たな仕組みを4月からの診療報酬改定に盛り込みます。さらに、病院内で抗生剤を適正に使うよう教育したり、耐性菌の発生率を調べたりする医師や薬剤師らのチームを設置した場合の報酬も新たに設ける予定になっています。その理由は、誤った使い方によって薬が効かなくなる「耐性菌」の広がりを抑えるためですが、本来は処方する必要の無い抗生剤を処方しないだけで報酬を与えるのか、超高齢化社会で医療費が膨れあがっている状況の中で、疑問を感じます(風邪には抗生物質を使わない:厚生労働省の医師向手引き)。この報酬は、私たちが支払っている健康保険料から支払われるのです。

風邪の原因の約9割はウイルスが原因なので、抗生剤は効果が無いことは本ブログで度々書いています(風邪への対処法風邪とインフルエンザ)ので、読者の皆様は既に理解されている事でしょうし、ましてや医療従事者なら常識です。しかしながら、必要の無い抗生剤が処方され続けるる理由は、患者側と医師側の両方にあります。患者は、約半数がウイルスには抗生剤が効かない事を知らないし、薬をもらうと安心します。医師側は、薬を処方しないと患者からヤブ医者扱いされることや、処方箋で利益がでることなどが挙げられます。

医師は、必要の無い薬は「必要ない」とはっきりと説明しなければいけません。その結果、耐性菌の減少や、飲み残しの薬剤が減少します(残薬(飲み残しの薬)が年475億円分)。患者側も、健康を守るのは自分自身であることを自覚して、基本的な医療の知識を勉強することが必要です。本ブログが活用されることを願っています。

認知症の予防と改善に水

2018年01月20日

認知症の予防と改善には、1日1500 mlの水が有効です(国際医療福祉大学:竹内教授)。人間の身体の多くは水分で構成されており、その含有量は子供では約75%であるのに対して、成人では約60%、高齢者では約50%へと、加齢とともに減少していきます。水分量が減少して細胞が脱水状態になると、意識レベルが低下して物忘れが多くなり、ひいては認知症になり易くなります。

竹内教授の研究によれば、水分摂取の量と物忘れの度合いは相関関係に有り、水を飲ませると覚醒水準が上昇するとのこと。既に認知機能が衰えて、徘徊や大声を上げるなどの症状も、十分な量の水分摂取(1日当たり1500 ml程度)で短期間で劇的に改善する症例が多いとのことです。

水分の摂取は、熱中症の予防や心筋梗塞、脳梗塞の予防にもなりますので、こまめに飲むようにして下さい。ただし、腎臓病や心臓病の方は水分制限がありますので、多量の水分摂取はできません。これらの疾患のある方の水分摂取量は、担当医の指示に従って下さい。

女性医師の担当で死亡率・再入院率は3%も低くなる

2018年01月10日

前回は世界中で最も注目された研究論文を紹介しましたが、今回は注目度が3番目の日本人研究者の論文の紹介です。

米国の急性期病院に入院した65歳以上の150万人の調査で、内科では女性医師が治療した方が男性医師よりも死亡率や再入院率が3~4%も低い結果が出ています。この理由を過去の研究の結果をもとに考えると、男性医師と比較すると女性医師は診療ガイドラインにのっとった治療を行う傾向があり、患者とのコミュニケーションスキルも男性医師よりも高いことにあると推測できます。すなわち、女性はリスクを回避する傾向があるために、患者とコミュニケーションを取りながらより安全で確実な治療法を選択することで、死亡率や再入院率が低下するようです。

なお、外科で執刀医が女性と男性で比較したカナダの調査では、女性の執刀医の方が死亡率が低いと報告されていますが、執刀医の性別を選べない緊急入院患者のみで比較すると、男女の医師で性別による差は認められませんでした。

患者さんの中には、女性医師はなんとなく頼りないと思われている方も多いのではないかと想像しますが、逆に女性医師が担当医になった場合の方が死亡率や再入院率が低いのですから、ラッキーです。もちろん、男性医師にも名医は沢山いますのでご安心を。医師を選ぶときには、性別ではなく腕を見極めることですので、本ブログを参考にして下さい。(名医の特徴ダメ医師の見分け方

 

健康長寿食は炭水化物の減と脂肪の増

2018年01月01日

新年明けましておめでとうございます。本年も健康な年でありますように!

人生で最も大切なものは、自分と家族の健康です。その健康を守るための第1の基本は、バランスの良い食事です。昨年2017年に世界で影響を与えた論文の中で最も注目を集めたのは、死亡リスクを低下させるための食事は、炭水化物を減らし、脂質を増やす研究でした。

世界のトップレベルの医学誌であるLancetに掲載された論文では、18カ国の35~70歳の13万5335人を対象に調査した結果、炭水化物の摂取率の平均値は65%で、脂質は24%でした。この中で、炭水化物の摂取率が60%を超えるグループでは死亡率は高く、摂取率が高いほど上昇する傾向がありました。逆に、脂肪の摂取量と心筋梗塞などの心疾患との関連はなく、摂取率が多いグループで死亡率は低下していました。従って、健康長寿のためには、炭水化物は50~55%に減らし、脂肪は35%に増やした方が良いと言うことです。

巷では、炭水化物ダイエットが流行しています。しかし、多くの方が誤解しているのは、炭水化物の摂取量を極力ゼロにしようとして、ご飯のない牛丼やシャリのない寿司など、訳のわからないものが登場することです。炭水化物は、身体を動かすためのエネルギーとして必要不可欠なものです。過ぎたるは及ばざるがごとしで摂り過ぎ(60%以上)はいけませんが、極端に減らすのは身体に負担をかけてしまいます。全体の約半分のエネルギーは炭水化物から摂取して下さい。(糖質制限で糖尿病のリスク)また、肉はコレステロールを上昇させるので、特に高齢者は良くないと言われる方もおりますが、健康長寿者は肉をよく食べてタンパク質と脂質を摂取しています。(コレステロールは食事制限の必要なし!

3代栄養素の炭水化物、脂質、タンパク質をバランス良く摂取して、適度な運動をすることが健康長寿の秘訣です。