iPS細胞による治療が一歩前進

2017年04月20日

iPS細胞による治療の最大の研究課題はがん化の抑制でしたが、理研での「加齢性黄斑変性」の治療で安全宣言が出されました。この安全宣言により、iPS細胞治療は大きな前進をしました。

iPS治療

上記の臨床研究は、2014年に70歳の女性の皮膚から作成したiPS細胞をシート状の網膜組織にして移植したもので、手術から2年以上経過しても腫瘍ができるなどの問題が起きていないし、視力も維持できているとの論文を発表しました。

iPS細胞の安全性が確認されれば、多くの治療に応用されます。東京大学ではiPS細胞から作成した膵島をサルに移植して血糖値を下げることに成功したと報告しました。5年後にはヒトでの臨床研究が始まる予定です。1型糖尿病は、一生涯にわたってインスリン注射をしなければいけませんが、この治療法が実用化されれば、注射なしで通常の生活が送れます。

iPS細胞バンクの準備も進んでいます。本人から細胞を採取してiPS細胞を作成するには、長期の期間と多額の費用が必要になります。そこで、拒絶反応の少ない体質の人から採取した細胞を用いてiPS細胞を作成しておけば、安価に迅速な移植治療が可能になるのです。

1型糖尿病でのインスリン注射や脊椎損傷で車いす生活を余儀なくされている患者さんが、通常の生活ができる日が近いことを感じます。

 

新学期・新年度を期に朝食の習慣を

2017年04月10日

新学期、新年度が始まりました。特に、小学校の新1年生のご両親やおばあちゃん、おじいさんは喜んでおられることと拝察いたします。お子さんやお孫さんが元気に、そして優秀な学校生活をしていくには、しっかりと朝食を摂ることが必要です。

特に、一日の活動に必要なエネルギーを補給する朝食は重要な意味合いがあるのですが、最近は朝食を摂らない子供が増えています。文部科学省の調査では、小中学生の1割以上が朝食を摂っていません。別な調査では、もっと高い欠食率を報告しているものもあります。朝食を摂らないことによる影響として、第一に学力の低下があります。エネルギー不足により、集中力の欠如や眠気が原因です。多くは、夜更かしが関係しており、朝起きられないことで時間が無いことや空腹感を感じないのです。

子供のみならず中高年でも、朝食抜きのリスクが知られています。朝食を摂らない場合は、血圧の上昇が大きくなります。その結果として、朝食を毎日摂る群と比較すると、朝食が週に2回以下の群では、脳出血のリスクが36%も高くなると報告されています。

新学期・新年度を期に、早寝早起きして朝食を摂る習慣をつけましょう。

朝ご飯

「トクホの大嘘」を週刊新潮が特集

2017年04月01日

トクホ

前回の20日のブログに、「根拠のない健康食品に注意」の記事を書きましたし、これまでも下のような健康食品に関する注意事項の記事を掲載してきました。

2017年3月20日:根拠のない健康食品(特に水素水)にご注意

2016年3月10日:健康食品 トクホ表示やうたい文句に騙されるな

2014年9月20日:健康食品で健康被害(ウコン)

2014年9月10日:特保のウソ(2)

2014年9月1日:特保のウソ(1)

これらの私の記事と同じ主張の特集記事が、3月30日号(13号)と330日号(14号)の週刊新潮から「トクホの大嘘」として発売されています。3月30日号では、最も多く使われているトクホの成分である難消化性デキストリンについての特集です。この成分を含んだコーラやお茶のキャッチコピーは、「食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて、食後の中性脂肪の上昇をおだやかにする」というものです。しかし、実際の効き目は摂取量の1.2%の減少のみで、誤差範囲程度の微々たるものであることを解説しています。従って、これを信じて食事量が増えれば逆効果になるのは、前回の本ブログの主張と同じです。

4月6日号(14号)の第2弾の記事では、黒○○茶が脂肪の吸収を抑えると有名な外人女性が宣伝していますが、上記と同様に効果は微々たるものであることを記載しています。また、へ○○○緑茶の茶カテキンは「脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける」とのキャッチコピーですが、摂取過多では肝機能障害の危険性があります。このカテキン摂取過多の危険性は、本ブログの2014910日に記載してあります。

トクホは、表向きは国が効果のある健康食品にお墨付きを与える制度ですが、実際は役人の天下り先を確保するための制度で、トクホを審査する機関と認定する機関の職員の殆どが天下り役人です。トクホの認定を受けるには1件につき約1億円の費用がかかりますが、これが天下り役人の給与となり、この1億円はトクホを信用して購入している消費者から回収しています。また、トクホを取得するには査読委員(審査委員)のいる医学雑誌に研究成果の論文を掲載する必要があるのですが、殆どのケースでは論文の提出者と査読委員がなれ合いになっている医学雑誌への投稿なのです。言い換えると、トクホの論文を掲載するために立ち上げたような医学雑誌への掲載なのです。従って、一流の医学雑誌には受け付けてもらえないような内容であってもOKなので、データの信用性は低い場合が多いのです。

健康食品のうち、本当に効果的な商品はほんの一握りであり、多くはプラセボ効果(思い込みによる効果)しかありませんので、よく吟味することが必要です。毎回の主張ですが、健康は薬やトクホではなく、バランスの良い食事と適度な運動で作るべきです。