糖質制限で糖尿病のリスク増

2017年09月20日

ダイエットや糖尿病の予防を目的とした“糖質制限”がブームになっています。巷ではシャリのない寿司、ご飯のない牛丼、麺のないラーメンなど、訳のわからないメニューも登場していますが、無理な糖質制限は糖尿病のリスクを高めますのでご注意!

糖質制限が糖尿病のリスクを高めるメカニズムは、次の2つです。1つ目は、使わないと衰えてしまう筋肉と同じで、糖質制限を続けると膵臓のベータ細胞の機能が衰えてインスリンの分泌低下を招きます。元々、日本人は農耕民族でインスリンの分泌が少ない体質ですから、糖尿病になるリスクがより高まってしまうのです。世界のトップレベルの科学誌である「nature」の論文にも、糖質制限したマウスではインスリンを分泌するベータ細胞の機能が低下することが報告されています。

もう1つのメカニズムは、筋肉の減少です。極度の糖質制限で体内の糖質が不足して脳が活動できなくなるなどの危険が迫ると、筋肉を分解して糖を生み出す「糖新生」という反応が起こります。その結果、糖をエネルギーとして消費する筋肉が減ることで、血糖値をコントロールできなくなり糖尿病が発症します。

本ブログで常に主張している健康の基本は、バランスの良い食事(食と健康)と適度な運動(ジョギング運動)です。バランスの良い食事とは、3大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質のバランスを守ることです。糖質だけを制限すればこのバランスを崩してしまうので、健康を害します。ダイエットする場合は、このバランスを崩さずに、全体のカロリーを制限し、1か月で1~2キロ程度の緩やかな減量(リバウンド防止)をすべきです。

iPS細胞でパーキンソン病の治療

2017年09月10日

パーキンソン病は、脳内で情報伝達をする“ドーパミン”を出す神経細胞が減少することで発症します。徐々に体が動かなくなる難病で、患者は国内で推定16万人もいますので、有効な治療法の開発が望まれています。京都大学のiPS研究所は、iPS細胞の移植によるサルのパーキンソン病の治療と、その安全性を確認しました。

その方法は、ヒトのiPS細胞から神経のもとになる細胞を培養します。パーキンソン病を発病して手足の震えのあるサルの脳に移植します。1年後には震えなどの症状が改善して、元気に動き回るように回復しました。移植後は、2年経っても移植による異常は認められていませんので、ヒトへの応用も近いでしょう。

iPS細胞を用いた治療では、本ブログで紹介しているように、種々の疾患の治療が研究されています(糖尿病心筋梗塞がん)。また、iPS細胞治療の課題であるがん化の抑制の研究は日々進展し(がん化抑制)、バンクの設立(バンク)も準備が進んでいます。1日でも早く臨床応用され、苦しんでいる患者さんたちが救われること望んでいます。

話題の最新機器(スマホ顕微鏡、レーザー血糖測定器)

2017年09月01日

話題の最新機器を2つ紹介します。

1つ目は、スマホを利用して細菌が見える小型顕微鏡のミルキン(mil-kin;見る菌)です。最近、ポテトサラダでO-157に集団感染したニュースが頻繁に報道されていますので、細菌による食中毒への関心が高まっています。この小型顕微鏡のミルキンは、高さ約15cm、幅約18cm、奥行き約11cm、重さ約450gとコンパクトサイズですが、スマホを取り付けて顕微鏡としての機能は拡大倍率約1000倍で、1ミクロンまで観察できます。ちなみに、食中毒菌のO-157は3ミクロン、黄色ブドウ球菌は1ミクロンです。価格は99800円ですので、中小企業や個人商店でも取得可能な値段です。

2つ目は、採血不要の血糖値センサーです。糖尿病患者さんが自己血糖測定器で血糖値を計る場合は、指に針を刺して採血しますので、痛みがあり負担が大きいのが現状です。このセンサーは、指に赤外線レーザーを当てるだけで、指の血液中で吸収される光の強さで血糖値が測定できます。来年度から大学病院などで臨床試験が始まり、5年後の発売予定です。

色々な機器が開発され、健康管理にも便利な世の中になってきていますが、大切なことは感染症や病気にならないようにすることです。手洗いやうがいを習慣づけること、バランスの良い食事と適度な運動で免疫力や体力をつけるようにしましょう。