食と健康: 旬の食材

2015年09月20日

9月も終盤になり、ずいぶんと秋めいてきました。スポーツ、読書、旅行など、何をするにも絶好の季節ですが、一番は食欲の秋ですね。

秋に食欲が増す理由の一つには、気温があります。ヒトは恒温動物なので、体温を1年中同じに保ちます。気温の高い夏は、体温との差が少ないので、少しのエネルギーで済むために、食べるものも少ない量で足りるのです。秋になると、気温が下がってくるので、大きくなった体温との差を補充するために、エネルギー消費量が増えるのでお腹がすいて食べ物が美味しく感じます。また、冬の寒さに備えて脂肪を蓄えるためにも、食欲が増進してくるのです。

日本には四季があり気候が異なるので、その時期の健康を維持するのに適した食材があります。それは、その時期の旬の食材です。夏は暑いので、体を冷やすのに適した野菜にはキュウリ、トマト、ナスなどがあります。逆に、冬は体を温めるのに適しているのは、大根や白菜などです。お気づきの様に、これらはその季節の露地ものです。四季の健康維持に必要な栄養素は、旬の食材が最も適しているのです。

ビニールハウスなどの栽培技術の普及で、1年中全ての食材が手に入る時代になっています。しかし、見た目は同じ食材でも、旬の露地物とハウス栽培物では栄養価は格段に違います。例えば、ほうれん草の旬は冬ですが、夏に収穫したもののビタミンCや抗酸化力は1/3以下しかありません。逆に、夏野菜のトマトのリコピン含有量は、冬には半分以下に低下しています。露地物は大量に収穫できるので、価格的に安価ですし、栄養価も高いのです。

厚生労働省が、野菜の摂取量ランキングを公表しました。2012年に男女3万2千人の調査で、一番たくさん食べられている野菜は大根でした。2位は玉ねぎ、3位はキャベツです。これからの季節には、おでんの大根が最高です。私の若い時は、野菜や果物はあまり食べなかったのですが、還暦を過ぎた今は野菜と果物は必需品になっています。安くて、美味しくて栄養価の高い旬の食材が、健康維持には最適です。