がんの5年生存率と10年生存率 (1)

2016年02月01日

がんの治療現場では、治癒の目安として「5年生存率」が用いられています。「5年生存率」とは、がんの治療開始から5年後に、再発の有無にかかわらず生存している人の割合を意味しています。では、どうして5年ががんの治癒の目安になっているのでしょうか?

がん細胞には、血液やリンパに乗って他の臓器や器官に転移する特徴があります。がんが転移して再発するまでにかかる期間は、長く見積もっても5年と考えられていました。従って、5年間に検診で異常がなければ、がん細胞を完全に取り除くことができていると考えられていたのです。

この生存率に関して、国立がん研究センターなどの研究グループが、全国16のがん専門病院の患者約3万5千人を10年間追跡調査して、初めて「10年生存率」を発表しました。その結果、「5年生存率」と「10年生存率」は、がんの部位により大きく異なることが明らかになりました。

大腸がんや胃がんの場合は、5年以降は生存率がほぼ横ばいになるので、これまで通り「5年生存率」で予後の判断が可能でした。一方、肝臓がん、乳がんは5年以降も生存率が下がり続けるので、「5年生存率」は指標には適していなかったのです。従って、がんの治療はより長期的展望で行われるべきであり、臓器ごとに指標が異なることが示唆されています。

なお、全てのがんの全臨床病期(Ⅰ~Ⅳ期)の10年生存率の平均値は58.2%でした。生存率が最も高かったのは甲状腺で90.9%で、次いで前立腺84.4%、子宮体83.1%、 乳80.4%でした。一方、低かったのは食道29.7%、胆のう胆道19.7%、肝15.3%で、最も低かったのが膵4.9%でした。

現在では、二人に一人ががんに罹患します。がんに罹患し難い体質になるために、罹患した方は回復力を高めるために、本ブログの2014年10月1日からの「がん・予防(1)~(4)」と、同年11月20日からの「免疫(1)~(3)」を参考にして、食事や運動、睡眠などの改善を心がけましょう。