”がんの検査で汎用されているPET-CTは、目印を付けたブドウ糖を注射すると“がん”に集まるので、全身をCT撮影して目印のブドウ糖を探せば、“がん”の有無に加えて位置や大きさも捉えることができます。PET-CT検査では、5 mm程度のがんの発見が可能です。
東京大学などの研究チームが発表した新たな造影剤を用いる方法では、1.5 mmのマウスの転移肝がんを確認できた上に、その悪性度も検知できています。その原理は、図のようになっています。がん組織は酸素濃度が低いので、悪性度が高い程酸性に傾いています。そこで、酸性状態で溶けだすリン酸カルシウムと造影剤のマンガンイオンを微小なカプセルに閉じ込め、患者に投与します。この微小なカプセルは、正常な組織では血管から漏れませんが、“がん”組織の血管では比較的大きな穴があるので、ここから漏れ出て周囲の“がん”細胞へ届きます。カプセル内にある造影剤のマンガンイオンをMRIで撮影することにより、ごく初期の“がん”細胞を見出すことが可能で、さらに悪性の場合にはより強く反応します。
この方法を用いると悪性度もわかるので、治療方法の選択や予後の経過予測がより正確になる事が期待できます。