授業

2013年09月30日

今日(9月25日)は、千葉県の短大で後期の受け持ち授業が始まりました。会社の勤務時間内なのですが、会長(前社長)のご厚意で、週に1回、栄養士の卵(2年生)に生命倫理の授業を持っています。中学生の頃は教員になろうと思っていたのですが、高校から進学の時に道を誤って(?)しまい、医療の世界に進んでいました。週に1回の講義で学校に行くと、会社とは全く違った雰囲気なので、私にとっては気分転換になっています(決して会社が嫌という訳ではありませんので、誤解なきように)。
本来、生命倫理は哲学の分野なのですが、この分野の先生方から見た生命倫理は、私の印象では非常に重苦しい内容になっていますので、若い女性たちには興味を持ってもらえない様に思えます(専門の先生方には失礼しました。)。そこで、私の専門分野である基礎医学の面から解釈する命について講義をしています。講義は全15回で、第1回の命の誕生から始まって、生殖医療や人工妊娠中絶、性感染症、出生前診断の是非、少子化問題などを扱っています。成長に従って、人生で最も大切な健康関連ではダイエットや食事療法、医療の問題点などに移ります。その後、高齢化社会における介護問題や尊厳死の話題になって一生が終わり、15回目の最後の授業は与えられた命を如何に有意義に過ごすかを考えます。
今日の話題は、“ヒトは何時からヒトになるのか?”で、命は何時から始まるかを考えるものです。受精卵か、着床か、心臓が形成された時点か、それとも出産時なのでしょうか?妊娠中の超音波画像を見せると、多くの学生は心臓形成時(妊娠5週頃)と考え、次に多いのは着床時です。法律上では、中絶可能なのは22週までですので、23週からヒトとしての命を認めてもらえる様になります。この境目は、現代の医学で人工的に保育できるかどうかで決められています。しかし、胎児の画像を見せると、22週では小さいながらも立派な赤ちゃんに成長しています。妊娠中の超音波画像を見た学生は、中絶は絶対にできないと答えます。病院に勤務していた時には、産婦人科の体外受精の手伝いもしていましたが、痛い思いをした上に大金を払って不妊治療をしている方が大勢いる半面、隣の部屋では中絶手術が行われているのが現状です。
皆さんは何時から命が始まるとお考えでしょうか?たとえ考え方は違っても、与えられた命は有意義に、そして健康で楽しい人生にしたいものです。