健常人を病人にする方法(1:基準値のからくり)

2013年10月20日

健康な人を病人にする方法には、大きく2つの方法があります。1つ目は、生化学検査や血液学的検査で測定項目を増やすことなのです。これでなぜ病人が作れるかと思われるでしょうが、次のようなカラクリがあるのです。それは、各測定項目にはそれぞれ基準範囲があります。この基準範囲がどのように決められているのかをご存知の方はあまりいないでしょうから説明します。
基準範囲とは、健康な人(健常者)を沢山集めて、その内の95%の人が入る範囲なのです。解り易くするために、仮に100人の健常者を集めたとします。その人たちである検査項目を測定した時に、95人が入る範囲が基準値なのです。ですから、残りの5人の健常者は、この範囲から外れます。即ち、2.5人は低めに外れて、2.5人は高めに外れます。この方たちは、その測定項目に関して生まれつき低いまたは高い体質なのです。基準値を外れたから即異常ということではありません。

健常者で1項目を測定した場合は、上記の様に、基準範囲に入る確率は95%(0.95)なので、2項目の測定では 0.95 x 0.95 = 0.90 になりますので、100人中では90人が正常で、残りの10人は基準値を外れます。さらに多項目の測定をした場合、異常無しの確率はどの位になると思いますか?なんと、10項目では0.60、20項目なら0.36、30項目で0.21、40項目は0.13、50項目では0.08になるのです。異常無しは、健常者100人の内たったの8人だけなのです。残りの92人の健常者は、結果の表に赤い字で“H”と書かれます。すると、多くの方は動揺して、本当に病人になった気分に変化していくのです。これが病院へ招き入れる手口になることを知っておきましょう。


この様に、多項目を測定すると、異常値のHマークをつけられる人が多く出ます。この中の多く方達は、遺伝的に高い値の要素を持った健常者なのですが、一部には病的に上昇した人も入っています。では、どの様に病人かを見分ければ良いのでしょうか?例えば、今年の検診の測定値が120だったとします。当然、Hマークがついてきます。この場合、体質が原因なのか、それとも体に異常があるのかは、検査データを見慣れた医療関係者なら他の検査結果を含めたデータ全体のバランスで判断します。しかし、一般の方にはこれはできません。簡単は判断の仕方は、一昨年も昨年も今年もずっと120だった場合には、体質的な結果の可能性が高いと考えます。一方、昨年や一昨年の結果が80位で、今年になって急に120に上昇した場合には、病的な要因が発生している可能性が高いと考えます。この様な場合は、専門家の判断を仰いだ方が賢明です。