2歳までに抗生剤を使用した乳幼児は、使用経験のない乳幼児と比較すると、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症リスクが1.4~1.72倍に高まることが、国立成育医療センターの研究チームから報告されました。
調査は2歳までに抗生剤を使用した436人と、服用経験のない466人を、5歳時点での喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率の差を比較しています。その結果、抗生剤を使用したグループではアレルギー疾患の発症率が有意に高まることが確認されました。特に、抗生剤の中でも多種類の細菌に対して効果を発揮する第3世代のセファロスポリンの使用では、効く細菌の少ないペニシリンと比べると、喘息で1.63倍、鼻炎では3.14倍もアレルギー疾患を発症しやすいと報告されています。他の研究でも、抗生剤の使用で食物アレルギーの発症率が高まるとの報告もあります。
アレルギー疾患の高まる原因として考えられるのは、抗生物質の使用で免疫を担う腸内細菌が死滅してしまうことが考えられています。細菌感染による肺炎や敗血症などの重傷疾患では抗生剤の使用は不可欠ですが、風邪などの抗生剤の必要のない症例での使用を控えることが求められます。(風邪には抗生物質を使わない、風邪への対処法、風邪とインフルエンザ、抗生物質の多用で耐性菌)