フランスの保健省は、アルツハイマー型認知症の治療薬(日本名:アリセプト、ミニール、イクセロンまたはリバスタッチ、メマリー)を、保険適用から除外することを発表しました。その根拠は、2016年に同国の高等保険機構が公表した勧告によるもので、世界中で公表された研究成果から「薬を使うことで、施設への入所を遅らせたり、病気が重症化するのを抑制するなどの良い影響を示す証拠が十分でない。一方で、副作用による食欲低下や暴言・暴力などが出現しやすくなっている。」との理由によるものです。
日本で用いられる治療薬の添付文書にも、「本剤がアルツハイマー型認知症そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。」と書かれています。効果として期待できるのは、記憶力などが落ち込むのを一時的に穏やかにすることのみです。従って、アルツハイマー型認知症の発症初期には進行を遅らせる可能性はありますが、進行してしまった症例では効果は期待できません。しかしながら、多くの医師は進行した患者にも処方を継続しているのが現実です。実際、日本では85歳以上の高齢者の約17%にこの治療薬が処方され、年間で約1500億円以上が使われています。日本での保険適用は、現時点では除外される気配はありませんので、患者は効果の期待できない薬を飲まされ続けるのでしょうか?