冷えと健康長寿(3:美露仙寿の冷え症への効果)

2014年08月20日

健康的な冷え性対策は、バランスの良い食事と適度な運動が基本です。これを補うものとして、美露仙寿(メイルセンジュ)がありますので、その冷え性への研究成果をまとめます。美露仙寿は、枸杞子、山渣子、余甘子、菊花、鹿角霊芝、大棗、ヨクイニンの抽出液であり、これまでに基礎代謝の亢進や免疫力の向上をもたらす研究結果を報告してきました。今回は、アンケート調査により女性への冷え症改善効果を認め、さらにマウスを用いた血流量の測定の追試で有用な結果を確認しました。

1: 女性の体温上昇
美露仙寿の継続飲用者群394名(65.2±13.0歳、飲用量2.1±4.9本/日、6.6±4.9年間飲用)と、同地域の非飲用者のコントロール群221名(59.6±14.7歳)の計615名の女性でアンケート調査を行いました。年齢は美露仙寿群でやや高いのですが、BMIによる体格には差はありませんでした。(22.0±5.0:22.3±4.7、P=0.26)日常的な運動習慣率にも差はなく(0.21:0.18、P=0.46)、比較対象として問題ありませんでした。美露仙寿飲用者は飲用前後で、非飲用者は5年前と比較した体温と、前後における改善度を調査しました。

その結果、非飲用者群の体温は、35.98℃から36.08℃と変化は認められませんでした。これに対し、美露仙寿の飲用者(平均で2.1本を6.6年間)の体温は、飲用前の35.89℃から36.12℃に、0.24℃の統計学的に有意な上昇が認められました。

さらに、飲用前と現在の冷え症に対する改善度は、非飲用者では60%以上が変化なしなのですが、美露仙寿の飲用者では少し改善または著しく改善したと答えた女性が合わせて54.5%で、25.0%の非飲用者と比較して統計学的に有意な改善が認められました(P=1.4×10-4)。

2: マウスの血流量ddYマウス(雄、7週令)を、10%美露仙寿群と通常飼料群に2分類し、それぞれの飼料を2週間与え飼育しました。各群のマウスで、ペントバルビタールを腹腔内投与後、12℃の水に頸部まで3分間浸水させ冷水負荷を行いました。その後、各群のマウスで、レーザードップラー血流計を用い、マウスの尾部および足底部の血流量を測定しました。

その結果、血流量の少ない尾部では、通常飼料群(緑△)と比較して10%濃度の美露仙寿群(紫×)では20分以降で平均値が上回る傾向がみられたのですが、有意差には至りませんでした。(飲用期間の延長により、統計学的有意差が得られると考えられます。)血流量の多い足底では、2群間の血流量の回復の差は著しくなり、10%濃度の美露仙寿を摂取したマウス(赤□)では、30分から50分まの間で統計学的に有意な血流量の回復が認められています。従って、美露仙寿を継続的に飲用することにより、寒さで低下した血流量を速やかに回復させることが示されました。

3. まとめ

冷え症の症状は様々ですが、その根本原因は体内の発熱装置(筋肉におけるエネルギー燃焼)と、その熱を全身に運ぶ輸送装置(心臓の血液循環能)の機能が低調なことにあります。従って、冷え症の改善には筋と心臓の機能を改善するための継続的運動と、体質改善を助けるためのバランスの良い食事が不可欠です。これらを補うものとして検討した美露仙寿は、その継続飲用は女性の体温を上昇させ冷え症の症状を緩和し、さらにマウスの血流量も増加させました。これまでの我々の検討(文献1&2)でも、美露仙寿を飲用したマウスでは食欲が増すのですが体重は逆に少ないことから、基礎代謝の増加が示唆され、これに伴う体温の上昇も予想されていました。今回の女性の体温上昇で、この予測が確かめられました。体温の上昇は、免疫力の向上に有益であることから(文献1~3)、美露仙寿の継続飲用は、冷え症の改善と健康長寿に寄与するものと考えられます。

(本研究内容は、崇城大学薬学部との共同研究であり、医学論文として投稿準備中です。)

参考文献

1. 國香清 ほか: 7種漢方成分含有健康飲料の安全性と作用の医薬学検査.医学検査2012; 61: 541-547.

2.  Zhou J-R et al.: Ergogenic capacity of a 7-Chinese traditional medicine extract in aged mice. Chin Med 2012: 3: 223-228.

3.國香清 ほか.7種漢方健康飲料の抗アレルギー剤としての可能性.アレルギーの臨床.2014; 8: 767-772.