糖尿病治療の最新研究

2017年02月01日

糖尿病は、国民病と言われるほどに多くの方が罹患しています。糖尿病の新しい治療法として、マイクロRNAを用いる方法が東北大学の研究チームから発表され、iPS細胞を用いる方法を東大医科研チームが発表しました。

マイクロRNAとは、たんぱく質を合成するRNAと異なり、塩基対が22塩基の小さなRNAで、遺伝子の発現を調整する機能を持っています。マイクロRNAは500~600種類が認識されていますが、このうちの2種類(106bと222)が膵臓のβ細胞の再生に関わっていることが明らかになりました。この2種類のマイクロRNAを糖尿病のマウスに注射すると、β細胞が増殖して、インスリンの分泌が回復し、血糖値が改善することが確認されました。

この方法は、2型糖尿病に応用が期待されます。日本人の糖尿病の95%は2型糖尿病で、不摂生な生活が原因で発症するタイプです。この2型糖尿病の患者のうちの半数以上は、経口薬やインスリンなどの薬剤は不要で、食事療法と運動療法のみで血糖コントロールが可能です。従って、第一には生活習慣の見直しが不可欠ですが、それでもコントロール不能な場合に上記のような治療法の活用が望まれます。

東大医科研チームの発表したiPS細胞を用いる方法は、健康なマウスから作ったiPS細胞をラットの子宮内で育て、その子供のラットの膵島を採取して糖尿病のマウスに移植すると、糖尿病が改善しました。この方法の特徴は、マウスとラットという異なる種で治療に必要な膵島が用意できることです。従って、ブタにヒトの膵島を作らせて移植すれば、ヒトの1型糖尿病の治療も可能になります。1型糖尿病は、自己免疫疾患などで膵島が破壊されるために、一生の間インスリン注射が必要な疾患ですので、この方法により根本的治療が期待できます。