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がん

オプジーボの効果は2割のみ

2018年10月10日

京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞に決まったのは、誠に喜ばしいことであり、同じ日本人として嬉しい限りです。本庶先生の開発した抗がん剤のオプジーボは、本ブログでも2年前に紹介しました(超高額抗がん剤“オプジーボ”の使用は如何にあるべきか?)ので、お読み下さい。

ノーベル賞を受賞するような抗がん剤ですので、一般の方々には「全てのがんに特効薬的に効く!」と勘違いされているケースもあるようですので、説明を追加します。

① 効果の期待できるがんの種類は、悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞性肺がん、腎細胞がん(腎臓がん)などに限られており、他のがんに対する効果はデータが不十分。

② 効果が期待できるのは使用患者の2割程度で、全ての患者に特効薬的に効くわけではない。

③ 使用する病期は、末期のステージ4で転移の認められる場合、外科手術後に再発したケースなどであり、全ての患者に初期段階から使用することはありません。

④ 副作用はこれまでの化学療法の抗がん剤よりは少ない(医師は自分に抗がん剤は使用しない)が、甲状腺機能障害、1型糖尿病、肝炎、腎炎、重症筋無力症などが有り、それぞれの頻度は低いが重症例が多い。

がん患者さんは藁にもすがりたい心境ですので、オプジーボの治療を望まれることは十分に理解できますが、例えば初期の大腸がん、胃がんや乳癌などは、外科手術で取り除けばほぼ完治しますので、オプジーボは必要ありません。上記の事を理解した上で、主治医と良く相談してから治療方針を選択して下さい。

遺伝性乳癌はもう一方も予防的切除を推奨(日本乳癌学会)

2018年05月20日

日本乳癌学会は、遺伝子変異による乳癌を発症した患者では、未だ癌になっていない側の乳房も予防的に切除することを「強く推奨する」としました。

乳癌は女性に最も多いがんで、乳癌の年間発症者は約8万人にのぼります。このうち遺伝性の乳癌は5~10%を占めており、BRCA1またはBRCA2と呼ばれる遺伝子に変異の認められる女性の場合は乳癌になりやすく、生涯のうちに40~90%の高い確率で乳癌を発症します。従って、遺伝子変異の認められる乳癌を発症した場合は、再発防止の観点から、もう一方の未だ発症していない乳房も、予防的に切除することを強く推奨するとしています。この予防切除で10年後の生存率を、切除しなかった71%から89%に上昇するという英国の研究結果があります。

生存率が上昇することは結構なことですが、問題点も考えられます。第一に、予防切除は健康保険の適用外ですので、自費負担額は約150万円と高額です。第二には、切除しなくても再発しないかもしれませんので、心理的に女性のシンボルである乳房はできる限り切除したくないと考える方も多くいます。予防切除は、健康保険の適用で安価にできるように健康保険制度を改正することと、心理カウンセリングが十分に行われることで女性患者の心理的負担が取り除かれることが必要です。

 

セカンドオピニオン(前立腺がんにおける漢方)

2018年02月10日

がんの患者数は年間約98万人(男性56万人、女性42万人)で、死亡者は約37万人(男性22万人、女性15万人)と増加傾向にあります。これらの中で前立腺がんは、死亡者数は全がんの1%程度(男性で5.6%)と少ないのですが、患者数では男性がん患者の17.6%を占め、最も多く発症しています。治療法は、手術、放射線、ホルモン療法などがあります。

事例(80歳男性):

排尿の際に痛みを感じて受診。PSAが64(基準値:70歳以上 4.0 ng/mL 以下)と高値で、前立腺癌と診断される。担当医からは手術を勧められるが、本人は後遺症などを考慮して手術は望まず、他の治療法を模索。

治療法は、手術、放射線、ホルモン剤などがあり、がんの悪性度や進行度、年齢などを総合的に考慮して選択します。手術の後遺症には、尿管括約筋の損傷により尿漏れや失禁が多発し、性機能障害(勃起障害:ED)などもあります。放射線治療では、外部照射では排便障害、内部照射でも排便困難や排尿痛などがあります。ホルモン剤療法では、生活に支障が出るような副作用は比較的少ないのですが、乳房の女性化や性機能障害が少数見られます。

セカンドオピニオン:

漢方により免疫力を向上させることで自己治癒力を高めると共に、ホルモン剤の投与で回復することを期待して、1~2ヶ月の間PSAで経過観察する。

漢方飲料は、がん細胞を攻撃する白血球(NK細胞およびキラーT細胞)を活性化することが確認されている美露仙寿(めいるせんじゅ)を用いた(医学検査 2012年 541-547)(がん・予防(4)医師は自分に抗がん剤は使用しない)。美露仙寿の15 ml 瓶 を1日15本飲用し、その後に徐々に飲用本数を減らした。加えて、ホルモン剤を3ヶ月毎に投与と、内服薬2種類を毎朝夕の2回を継続した。その結果、治療開始の直後には、PSAは低下傾向を示して治療の有効性が認められたので、この方法を継続する事を選択した。診断から4ヶ月後にはPSAは基準値付近までに劇的に低下し、5ヶ月後には基準値内に低下した。その後も低下し続け、現時点でもPSAは低値を示している。副作用などは全くなく、体調は良好。担当医は、放射線治療の追加を提案するが、本人は拒否し、現行法を望んでいる。

前立腺がんでは、多くの患者で必要の無い手術が行われています。その結果、尿漏れなどの後遺症に悩むことになるのですが、その後遺症の治療を行うことで病院は継続して患者を確保しています。放射線治療も同様ですので、その必要性を考慮するべきです(医は算術のシナリオ)。

漢方とホルモン剤を選択するには、がんの悪性度と進行度を考慮することが必要です。がんの悪性度を示すグリーソンスコアが8以上の場合や、PSAが半年以内に2倍以上に急上昇している場合などでは、悪性度が高いので治療法は慎重に考慮しなければなりませんが、これらの患者は一部のみです。ホルモン剤を使用せずに、漢方のみでもPSAが低下するケースも多くあります。治療法は情報を収集して慎重に選択することと、よりリスクの少ない有効な治療を提供してくれる医師を選んで下さい。

 

 

 

がん患者における糖質制限とケトン生成食への異議

2017年12月20日

今年も残すところ僅かとなりました。本ブログには沢山のアクセスがあり、また無料健康相談も多くの方々にご利用いただきまして、有り難うございます。健康相談の内容で多かったのは、がんに関するものでした。近年では、がんは二人に一人が罹患し、三人に一人が亡くなる疾患ですから、ご相談の件数が多くなります。その中で、治療中や予防における「糖質の制限とケトン生成食」に関するご相談があります。研究者の中には、がん患者は糖質を制限して、ケトン生成食(脂肪とタンパク質)にすべきとの意見がありますが、私はこの意見には反対であり、3代栄養素(糖質、タンパク質、脂質)のバランスを大きく崩すべきでないと考えています。この意見の相違を解説します。

糖質制限とケトン体食の主張

がん細胞は、通常の細胞と比べると3~8倍くらい多くのブドウ糖を消費して、爆発的な速度で増殖します。従って、栄養源であるブドウ糖を与えなければ、がん細胞は飢え死にするとの考えです。さらに、肉や脂肪などのケトン生成食からは、がん細胞は栄養を補給できないが、正常細胞では栄養源となるので、ケトン生成食にすることで正常細胞だけが生き残るとの論理です。

異議

確かに、がん細胞はブドウ糖をエネルギー源として増殖しているので、上記の論理によりがん細胞が飢え死にして、回復しそうな気がします。しかし、この理論は実験室のシャーレの中で培養しているがん細胞を死滅させることは出来るでしょうが、複雑な人間の身体を維持するには当てはまりません。なぜなら、ブドウ糖を制限するとがん細胞は飢え死にしますが、その前に正常細胞の方が先に飢えて死んでしまいますので、生命を維持出来ません。さらにがん細胞は、ケトン生成食を栄養源として利用できないとのことですが、脂肪とタンパク質だけでも生き延びることが出来るという研究報告があります。さらに、糖質制限とケトン生成食では、米や果物などを全て絶ち、脂肪とタンパク質だけの食事になりますから、栄養のバランスを崩してしまい、回復力が低下します。

免疫力と体力をつける食事

がんと闘うには、免疫力と体力をつけることが不可欠です。そのためには、糖質としての炭水化物や良質のタンパク質、腸内細菌を活性化する発酵食品、抗酸化力を高める野菜や果物などをバランス良く摂取するべきです。加えて、ウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動で、代謝活性を促進させることが、がんと闘うためには必要です。(がん・予防(1)、(2)(3)(4)

将来的に、ご自身や家族ががんとの闘病になったとき、どちらの主張が正しいかを吟味して対応して下さい。

* 健康で幸せな年をお迎え下さい。

 

血液1滴で13種類のがんを早期発見のマイクロRNA法が臨床研究へ

2017年08月01日

血液1滴で13種類のがんを早期発見できるマイクロRNAが、来月から国立がん研究センターで臨床研究が始まり、3年以内の実用化を目指します。この方法は、本ブログの2014年1010日:がん・予防(2)の中の④最新のがん検査(マイクロRNA)で紹介しました。測定原理は、がん細胞と正常細胞では遺伝子の働きを調節するマイクロRNA(短いRNA)の種類が異なり、その違いはがんの初期段階であるステージ1でも高確率で検出できます。13種類のがんの検出率は95%以上で、乳がんでは97%です。

マイクロRNA実用化

 

これまでのがん検診では、乳がん検診のマンモグラフィーに特徴的なように、陽性であるにもかかわらず検出できずに手遅れになるケースも見られており、その結果としてがん検診の受診者と受けないグループでは死亡率に差がありませんでした。2017210日:乳がん検診:マンモグラフィーの問題点20131010日:がん検診で死亡率は低下しない

このマイクロRNA法によるがん検診が定期検診や人間ドックに取り入れられると、患者さんの肉体的負担は低減し、がんによる死亡率の大幅な減少が期待できます。さらに、米国立衛生研究所の小林博士の研究しているがん細胞の光治療は、外科手術の必要が無く高確率で完治できるのですが、こちらの臨床研究も進み実用化も近い様です。近い将来に、がんは“治る病気”になるでしょう。2015710日:がん治療の最新研究(がん細胞の光治療&微少カプセル治療法)

 

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