カテゴリー
健康管理

病院の選び方

2015年01月10日

 今年も、このブログへアクセスしてくださいまして、ありがとうございます。

 1月も10日になり、ようやく正月モードから仕事モードへと体と頭が慣れてきたところでしょうか?健康で働けるのは、幸せなことです。健康でいるための基本は、バランスの良い食事と適度な運動です。それでも健康状態を保てなくなった時には、病院に行くことになります。しかし、病院の選び方を間違えると、命を落とす可能性があることが、昨年末に報道されました。『群馬大病院第二外科(消化器外科)の腹腔鏡を使った肝臓手術で、60<~80代の男性5人と女性3人の患者が、2011~14年の術後2週間から100日以内の容体悪化で死亡していた。』というものです。詳しい経緯は調査中ではありますが、他の病院で通常の開腹手術を受けていれば、術後に亡くなることは無かったものと考えられます。病院選びが如何に大切かを示しています。

 病院を選ぶ基準として、大学病院が一番優れていて、教授は名医中の名医という印象をお持ちの方が多いと思います。しかし、必ずしも大学病院が良い訳ではなく、教授イコール名医ではありません(一部には名医もいますが、、、)。その理由は、大学病院の目的は第一に研究、第二に学生の教育で、患者の治療は三番目以下なのです。大学病院に勤務する医師の多くは、研究に興味があるから勤務しているのです。多くの研究論文を書いて、その結果として教授になりたい目的があります。教授が選ばれる基準は、名医だからではなく、いかに沢山の論文を書いたかで評価されるのが一般的です。昔、教授の診察を受けるために封筒に札束を入れて渡していた時代がありましたが、ナンセンスなことです。故に、大学病院の医師の多くは、研究材料になりそうな患者には興味があるのですが、(言葉が悪いのですが)それ以外の患者は時間の浪費になっています。さらに、大学病院に行くと、しばしば学生の練習台にさせられます。学生は練習しないと一人前になれないので、仕方がないことなのですが、受診にはそのつもりでいかないといけません。

 次に、開業医の選び方です。開業医が『内科』や『小児科』などの看板を掲げていますが、この看板の診察科の表示はどの様になっているかご存知でしょうか?実は、医師免許さえあれば、診療科の表示は自由なのです。ですから、医師が一人でやっている医院でも、総合病院のように沢山の診療科が表示してある場合があります。これは、専門ではないが、とりあえず沢山の患者に来てほしいという意思表示です。この様な場合は、一般的には一番上に書いてあるのが専門診療科で、他は付け足しです)。美容整形やレーシック手術(視力回復手術)では、専門外の不慣れな医師の処置で、後遺症を患った例が少なくありません。治療実績を確認することが賢明です。

 個人病院であっても単科の専門病院には、患者の治療に情熱を持った医師がいる確率が高いように思います。例えば、徳島大学の近くの『藤田眼科』は小さな医院ですが、眼科専門の医師が数人で診察しています。藤田善史院長先生は、白内障手術などではまさに名医です。手術は、メスを入れて濁った水晶体を取り除き、人工レンズを折りたたんで挿入して中で広げ、傷口をふさぐまで、ほんの1~2分位と感じるほどの手際の良さで、神業です。さらに、手術中の様子を録画して患者全員に配っています。万が一に失敗た場合には、録画は決定的な証拠になるわけですから、私は絶対失敗しませんといっているのと同じで、テレビの『ドクターX』を地で行っています。病院スタッフも、院長先生の優しそうな人柄が反映されていて、受け付けは笑顔で挨拶してくれます。30分以上待たされることは殆ど無いようですが、看護師は必ず『お待たせしました。』と一言いってから、検査や診察の準備に入ります。患者は、体の具合が悪くなると気持ちも落ち込んでくるのが常ですが、この様な病院で治療を受けると、体も心も回復が早くなると思います。

 自宅近くに、普段の体調を理解してもらっている『かかりつけ医』がいることが理想であり、出来れば腕の良い医師であってほしいものです。前記のような良い病院を選ぶコツは、近所の評判を聞くことや、治療実績や評判の情報をインターネットなどで収集することでしょう。担当医の経歴や手術実施症例数などを公表している場合は、比較的信用度は高いように思われます。また、実際に病院(医院)に行ってみて、受付の事務スタッフが笑顔で挨拶してるような場合は、院長の人柄が良く、患者思いのことが多いと思います。逆に、玄関のスリッパが汚くて履き替えるのをためらうような場合、トイレなどの清掃が行き届いていない場合などは、ズボラで不勉強な医師の病院(医院)であることが予想されます。後悔しない病院選びは重要ですので、参考になれば幸いです。

 次回は、名医とやぶ医者の見分け方です。

謹賀新年

2015年01月01日


明けましておめでとうございます。

元旦は、朝から飲める特別な日なので、酒飲みには最高です。酒は百薬の長で薬になりますが、飲みすぎると毒にもなるので、飲み方を考えましょう。

統計学的にみると、酒を適量飲む人は飲まない人と比較すると、長生きであることが知られています。その理由は、飲酒が血管を拡張させ血液の流れを改善することや、ストレス解消にもつながることなどが要因と考えられています。では、“適量”とはどの位かというと、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本位が目安です。(酒飲みには少し物足りない量です。)

ただし、日本人は遺伝子的に酒を飲めないタイプが半分ですので、この方たちは無理に酒を飲むのはよくありません。アルコールは、アルコール脱水素酵素で有害なアセトアルデヒドになり、アセトアルデヒド脱水素酵素で無害な形に分解されて、最終的に水と二酸化炭素に代謝されます。飲めない方は、有害なアセトアルデヒドが分解できない体質なので、少量の飲酒でも吐き気や動悸などがするのです。1対2本の染色体の両方に分解できる遺伝子を持ったタイプは酒に強い方で、どちらか1本に分解できる遺伝子を持った方は酒を飲むことで体が慣れるので少しは強くなります。しかし、2<本のどちらの遺伝子にも分解能力のないタイプの方は、決して酒に強くなることは有りません。このタイプの方が無理に酒を飲んでも長生きすることはなく、逆に害になりますので、飲まないことが賢明です。

なお、飲み過ぎた時の肝臓には“ウコン”が良いと思っている方が多いと思いますが、健康食品の中で肝炎を起こす最も多い原因がウコンなのです。ウコンには鉄分が多いので、障害を起こした肝臓は、ウコンの鉄分でよりダメージを受けるのです。シジミも肝臓保護剤のように思われていますが、同じく鉄分が多いので、多量に摂取すると、肝障害が悪化します。健康食品に頼ろうとせずに、飲酒量を考慮して楽しいお酒を飲みましょう。

余談ですが、私は、若い時はウイスキーが好きでした。年齢を重ねた今では、日本酒が好みです。新潟や秋田などの米どころの日本酒を、冷蔵庫で冷やして飲むと、それぞれの味わいが良くわかって最高です。(日本人で良かった!)正月は、子供や孫の顔をみながら、今年も1年皆が健康であるように願って、明るいうちから飲めることが何よりの幸せです。

次回からは、また医療に関する記事になります。最初は、良い病院の選び方、②名医とダメ医者の見分け方、賢い患者になるために、を掲載予定です。ご期待ください。

良いお年をお迎えください!

2014年12月20日

早いもので、もう年末です。一年間に渡り本ブログをお読みいただきまして、有難うございました。皆様の健康増進に役立つ記事を書きたいと願っていますが、健康状態も欲しているものも十人十色ですので、全員の方々には満足頂いていないのかもしれません。ご要望にお応えすべく、色々な内容を入れるのと、その時の話題について書いていきたいと思っています。

本年の最終回は、年末の医学の記事で、私が注目したものを3つ紹介します。

1つ目は、大腸がんの転移の可能性を示す「Trio」というたんぱく質が見つかったことです。発表したのは、京都大学などの研究グループ。Trioの特定部位に変化が有ると無しとで、大腸がんの転移で亡くなるか又は予後良好かが予測できるというものです。他のがんでも転移の予測が可能になったら、手術の仕方から術後の治療まで、より的確に出来るようになります。早期の実用化が望まれます。

2つ目は、殆どの抗生物質が効かないMRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)を、僅か1分で殺菌してしまう新しい抗生物質(ライソシンE)が発見されたことです。発表したのは、東京大学などの研究グループ。MRSAは、普段は無害な細菌ですが、免疫力が低下した病人や高齢者には命とりの細菌です。これで助かる命が増えるなら喜ばしいことです。ここで知っておいていただきたいのは、MRSAが出来てしまったのは、抗生物質を使いすぎたために、細菌が抗生物質に対して抵抗力を持ったためなのです。新しい抗生物質(ライソシンE)も使いすぎれば、いずれは抵抗力を持った細菌が出現することになり、イタチごっこになるのです。薬は必要最低限に使うことが重要です。

3つ目は、9月から販売されている前立腺がん用の抗がん剤「ジェブタナ」を使用した患者5人が死亡しました。亡くなった5人は、60歳代3人と70歳代2人で、肺炎や敗血症(細菌が血液中に入り込み、全身に重篤な症状を起こす)が原因です。この抗がん剤の使用で、細菌をやっつける好中球という種類の白血球が減ることが報告されています。従って、細菌感染が起こりやすく、肺炎や敗血症を発症しやすくなります。前立腺がん患者は、高齢化とともに増えています。病院は商売なので、手術や投薬治療を勧めてきますが、その多くは良性で、手術や抗がん剤の必要がない場合も多々あります(癌の進行度や悪性度で総合的な判断が必要)。亡くなった5人の病状はわかりませんが、抗がん剤の影響で寿命を縮めた可能性は高いようです。抗がん剤は、がんを治してくれる可能性よりも、寿命を縮める可能性の方が高いのが現実です。抗がん剤の使用は、慎重にしなければいけません。

人生で最も大切なものは、自分と家族の健康です。健康な良いお年をお迎えください。

安楽死を認めるべきか?

2014年11月10日

11月1日、アメリカの29歳の脳腫瘍の女性が安楽死しましたが、その行為は賛否両論の議論になりました。人は、どんなに高度な医療を受けたとしても、永遠に生きることはできません。その死が、老衰のように安らかなものであり、家族に見守られての臨終であれば幸せなことですが、必ずしもそうではありません。この女性のように、“末期がん”の場合には、しばしば壮絶な痛みが伴います。その時に自ら死を選択することに対して、反対することが出来るのでしょうか?もし、自分がその立場だったら、どうするのでしょうか?もし、それが愛する家族であったなら、苦しみながらも生を全うすべきでしょうか?家族には生きていて欲しいと思う反面、苦しみをみるのは非常につらいことなので、死によって楽になった方が本人の幸せではないかとも思います。どちらの考えが正しい答えなのかは、いくら議論しても結論に達しないと思います。何故なら、立場の違いによって、導かれる答えが違うからです。

アメリカでの安楽死の反対意見の理由の1つには、宗教が挙げられます。アメリカ人の多くはキリスト教です。キリスト教の場合は、自ら命を絶つことは、末期がんであっても教義に背くことになるのです。信仰は自由ですので、この方たちは教義のようにすればよいと思います。同じ海外であっても、フランスの尊厳死協会によると、96%の方が積極的安楽死を望んでいるそうです。しかし、フランスは日本と同様に安楽死の法律は有りませんので、耐え難い苦しみがあったとしても、医師による安楽死はできません。安楽死を望む人は、合法化された国(フランスの場合は、隣国のスイスなど)へ行くことも、珍しくは有りません。

日本での考えはどうでしょうか?死と間近で向き合っている医療関係者の考えは、賛否両論あるものの、安楽死の合法化を支持する方も多いと思います。何故ならば、彼らは患者の壮絶な苦しみを日常的に目の当たりにしているので、自分や家族がこの状態になったなら、死の選択の方が幸せと思い、自分の最後は自分で決める権利があると考えるようになっているのでしょう。

しかしながら、私がこの会社に来てから、病院で末期がんの余命宣告をされた患者が美露仙寿で社会復帰まで回復された事例を何人も経験しました。従って、安易に安楽死を受け入れず、回復に向けて最善の努力をすることは不可欠です。その上で、耐え難い痛みとの戦いになった時には、本人の意志が尊重されるべきでしょう。皆様は、如何お考えでしょうか?

安楽死と尊厳死の違い:苦痛を長引かせないことを主眼に、人為的に死なせるのが安楽死。薬物を使うなどして死期を早めるものを積極的安楽死、積極的な治療の中止によるものを消極的安楽死と呼ぶこともある。尊厳死は患者の意思に基づいた死期の決定で、患者の意思による延命治療の中止を尊厳死と呼んでいる。

 

冷えと健康長寿(3:美露仙寿の冷え症への効果)

2014年08月20日

健康的な冷え性対策は、バランスの良い食事と適度な運動が基本です。これを補うものとして、美露仙寿(メイルセンジュ)がありますので、その冷え性への研究成果をまとめます。美露仙寿は、枸杞子、山渣子、余甘子、菊花、鹿角霊芝、大棗、ヨクイニンの抽出液であり、これまでに基礎代謝の亢進や免疫力の向上をもたらす研究結果を報告してきました。今回は、アンケート調査により女性への冷え症改善効果を認め、さらにマウスを用いた血流量の測定の追試で有用な結果を確認しました。

1: 女性の体温上昇
美露仙寿の継続飲用者群394名(65.2±13.0歳、飲用量2.1±4.9本/日、6.6±4.9年間飲用)と、同地域の非飲用者のコントロール群221名(59.6±14.7歳)の計615名の女性でアンケート調査を行いました。年齢は美露仙寿群でやや高いのですが、BMIによる体格には差はありませんでした。(22.0±5.0:22.3±4.7、P=0.26)日常的な運動習慣率にも差はなく(0.21:0.18、P=0.46)、比較対象として問題ありませんでした。美露仙寿飲用者は飲用前後で、非飲用者は5年前と比較した体温と、前後における改善度を調査しました。

その結果、非飲用者群の体温は、35.98℃から36.08℃と変化は認められませんでした。これに対し、美露仙寿の飲用者(平均で2.1本を6.6年間)の体温は、飲用前の35.89℃から36.12℃に、0.24℃の統計学的に有意な上昇が認められました。

さらに、飲用前と現在の冷え症に対する改善度は、非飲用者では60%以上が変化なしなのですが、美露仙寿の飲用者では少し改善または著しく改善したと答えた女性が合わせて54.5%で、25.0%の非飲用者と比較して統計学的に有意な改善が認められました(P=1.4×10-4)。

2: マウスの血流量ddYマウス(雄、7週令)を、10%美露仙寿群と通常飼料群に2分類し、それぞれの飼料を2週間与え飼育しました。各群のマウスで、ペントバルビタールを腹腔内投与後、12℃の水に頸部まで3分間浸水させ冷水負荷を行いました。その後、各群のマウスで、レーザードップラー血流計を用い、マウスの尾部および足底部の血流量を測定しました。

その結果、血流量の少ない尾部では、通常飼料群(緑△)と比較して10%濃度の美露仙寿群(紫×)では20分以降で平均値が上回る傾向がみられたのですが、有意差には至りませんでした。(飲用期間の延長により、統計学的有意差が得られると考えられます。)血流量の多い足底では、2群間の血流量の回復の差は著しくなり、10%濃度の美露仙寿を摂取したマウス(赤□)では、30分から50分まの間で統計学的に有意な血流量の回復が認められています。従って、美露仙寿を継続的に飲用することにより、寒さで低下した血流量を速やかに回復させることが示されました。

3. まとめ

冷え症の症状は様々ですが、その根本原因は体内の発熱装置(筋肉におけるエネルギー燃焼)と、その熱を全身に運ぶ輸送装置(心臓の血液循環能)の機能が低調なことにあります。従って、冷え症の改善には筋と心臓の機能を改善するための継続的運動と、体質改善を助けるためのバランスの良い食事が不可欠です。これらを補うものとして検討した美露仙寿は、その継続飲用は女性の体温を上昇させ冷え症の症状を緩和し、さらにマウスの血流量も増加させました。これまでの我々の検討(文献1&2)でも、美露仙寿を飲用したマウスでは食欲が増すのですが体重は逆に少ないことから、基礎代謝の増加が示唆され、これに伴う体温の上昇も予想されていました。今回の女性の体温上昇で、この予測が確かめられました。体温の上昇は、免疫力の向上に有益であることから(文献1~3)、美露仙寿の継続飲用は、冷え症の改善と健康長寿に寄与するものと考えられます。

(本研究内容は、崇城大学薬学部との共同研究であり、医学論文として投稿準備中です。)

参考文献

1. 國香清 ほか: 7種漢方成分含有健康飲料の安全性と作用の医薬学検査.医学検査2012; 61: 541-547.

2.  Zhou J-R et al.: Ergogenic capacity of a 7-Chinese traditional medicine extract in aged mice. Chin Med 2012: 3: 223-228.

3.國香清 ほか.7種漢方健康飲料の抗アレルギー剤としての可能性.アレルギーの臨床.2014; 8: 767-772.