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高血圧・高脂血症・高血糖

ホームページからの健康相談 (降圧剤を飲むべきか?)

2015年11月01日

『ホームページからの健康相談』で2番目に多い相談内容は、降圧剤(高血圧の薬)を飲むべきか?です。

高血圧に関する記事は、

です。これらの内容をまとめます。

  1. 中高年には低すぎる基準値

現在の基準値は130 mmHg以下ですが、1987年から2000年までの老人基本健診での高血圧の基準値は180 mmHgでした。その後、2000年には年代別になり、80歳代では160 mmHgで59歳以下は130 mmHgとなったのです。2004年、2008年と変更があり、現在の130 mmHgが採用されています。この様に、20年で血圧の基準値は50 mmHgも低くなっています。

前回も書いたように、基準範囲とは、健康な人(健常者)を沢山集めて、その内の95%の人が入る範囲ですので、5%は基準値を越えます。現在の血圧の基準値である130 mmHg以下では、60歳以降の健常者の約80%は高血圧になってしまいます。低すぎる基準値であることは明白で、この基準値で約3000万人が高血圧患者になっています。降圧剤の年間売り上げは約1兆円と莫大な金額で、医療機関や製薬会社の大事な収入源です。血圧は年齢とともに上昇するので、本来は年齢別に基準値を作るべきであり、中高年は2000年の基準値が正解と考えています。

  1. 血圧と寿命の関係

血圧は、低い方が元気で長生きできるのでしょうか? 一般に、高血圧になると脳出血を起こすので危険であると宣伝し、降圧治療を勧めています。確かに、血圧が200 mmHg を超えるような場合には、降圧治療は正解です。しかし、脳卒中の内、出血による死亡は約3割なのですが、脳血栓による死亡はその倍の約6割もあるのです。薬剤による過度な降圧治療は血流障害を引き起こし易く、脳血栓の可能性を高めているのです。実際、80歳の老人の5年生存率と血圧の関係では、血圧を130 mmHg 以下の基準値内に保った場合の5年生存率は低く、逆に160 mmHg以上の高血圧と診断されている方が長生きなのです。降圧治療は、長生きするよりも、体調を崩し、命を縮めている場合の方が多いことを知るべきです。

  1. 降圧剤は一生やめられないはウソ!

降圧剤を飲み始めると一生止められないといわれていますが、これは間違いです。ただし、服薬を急に止めると反動で血圧が不安定になる可能性があります。止め方は、以下を参考にしてください。

* ストレスの除去

高血圧の原因の多くは、肉体的または精神的ストレスが原因です。休養や気分転換などでストレスを除去することが必要です。

* 禁煙

煙草は、血管を硬くし、収縮させることで血圧を上昇させます。百害あって一利無しです。

* 体重を減らす

肥満がある場合は、食事療法と運動療法で減量すると、体重1 Kg当たり2 mmHg低下します。

* 有酸素運動

有酸素運動は、血流を改善するので、血管の抵抗が減り、血圧が低下します。日常生活に取り入れることが不可欠です。

上記をしばらく実行して、血圧をチェックして以前より安定していたら、薬を1/2に減らします。この状態でまたしばらく様子をみます。さらに安定してきたら、薬の量を最初の1/4に減らして、様子をみます。この様に、半年~1年単位の期間をかけて、徐々に薬を減らしていけば、止められる可能性が高くなります。

  1. まとめ

* 中高年の血圧130~150 mmHg位は、加齢による生理的変動範囲内で問題ない。

* 180 mmHg位までは服薬よりも、禁煙、減量、運動で改善をはかる。

医者の薦める薬を飲んでいれば健康でいられると思っておられる方は、健康長寿は望めません。上記の記事を参考にして、降圧剤を飲むべきかを考えてください。

(お勧めの本: 薬をやめれば病気は治るー岡本裕)。

ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

2015年10月20日

『ホームページからの健康相談』を利用していただく方が、増えてきました。担当者としてはうれしいことです。相談内容で最も多いのは、総コレステロールまたはLDLコレステロールが正常値を越えたために薬を処方されたが飲むべきか?というものです。この内容に関してこれまでに本ブログに掲載してきた記事は、

などがありますので、これらの記事の内容を理解しやすく短くまとめてみます。

1: コレステロールの役割とは?

コレステロールの主な役割は、①細胞膜の原料、②ホルモンの原料、③胆汁酸の原料です。コレステロールは大切な栄養素で、これが無いと生命を維持する事が出来ません。また、LDLコレステロールの役割はコレステロールを必要な場所へと運ぶ運搬係として重要で、悪玉ではありません。HDLコレステロールは、余分な分を持ち帰る係です。

2: コレステロールの誤解

コレステロールが悪者扱いをされる発端は、ウサギにコレステロールを与えたら動脈硬化を起こしたといういい加減な実験報告でした。何故にいい加減かといえば、ウサギは草食動物であり、動物性のコレステロールは食べません。無理に与えれば具合が悪くなるのは当たり前ですし、このウサギの動脈硬化は血管の外側にできていたので、内側に付いて血管を詰まらせるとの根拠にはなりません。確かに、動脈硬化を起こした人の血管にはコレステロールの付着が認められるのですが、この付着は動脈硬化の炎症をコレステロールが修復していることが近年の研究で明らかになっています。コレステロールは血管を詰まらせるのではなく、修復しているのです。

3. 基準値(正常値)の不適切さ

基準値(正常値)とは、健康な人の集団において、全体の95%が入る範囲をいいます。現在の総コレステロールの基準値は、220 mg/dl以下になっています。この基準値では、中高年の約半数が異常高値になってしまいますので、基準値の上限の設定が低すぎることは一目瞭然です。昨年の人間ドック学会の報告では、健康な数万人の中高年の統計で、総コレステロールは男性254mg/dl、女性で280mg/dl、LDLは男性178mg/dl、女性で190mg/dl位までになっています。

4: 基準値設定の経緯

1976年(昭和51年)の基準値の上限は260 mg/dlだったのですが、1990年(平成2年)に高脂血症薬のメバロチンが発売された直後に、基準値は220 mg/dl に引き下げられ、一夜にして約2000万人が高脂血症患者になりました。現在のコレステロール関連の年間医療費は、なんと7500億円以上です。

5: 高脂血症で低死亡率

現在の基準値で高脂血症と診断されている人と正常域の人とを比較すると、脳卒中で入院した場合の死亡率は、高脂血症の方が逆に2分の1から3分の1に低いと報告されています。また、テレビのコマーシャルでは、有名人を使ってLDLが高いと心筋梗塞になるので“LDLが高い人はお医者さんへ”と宣伝しています。実際には、LDLコレステロールと心臓病死ならびに総死亡率との統計的関係を調べると、逆にLDLコレステロールが高い方が総死亡率は低い結果を示しています。LDLコレステロールは、基準値より高めで、男性は100~180 mg/dl位、女性は120 mg/dl 以上の方が長生きの傾向があります。現在の高脂血症の定義の矛盾は明らかです。

6.コレステロールは食事の影響なし

本年2月にアメリカの厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」から、「コレステロールは、過剰摂取を心配する栄養素ではない」との報告書が公開されました。即ち、食事と血清コレステロールの間には明らかな相関は無いので、食事制限は必要ないということです。コレステロールの約70%は、体内で合成されます。従って、卵やイカなどの食事から沢山のコレステロールを摂取した場合には、吸収量を落としたうえに体内で合成量を減少させるので、血中のコレステロール濃度は一定に保たれます。動物性の脂肪には体内で合成できない必須脂肪酸も含まれているので、高齢者も適量の動物性脂肪を摂取する必要があります。

7: まとめ

*現在の基準値である総コレステロール220 mg/dl、LDLコレステロール140 mg/dl は、設定が低すぎるので、健康な中高年の約半数の人が異常値になる。

*現在の基準値を少し超えた人の方が、元気で長生きしている。

*コレステロールは食事に影響されないので、肉、魚、野菜、果物など、バランスよく摂ることが必要。

*薬でコレステロールを下げ過ぎると、うつ病やアルツハイマー病に罹りやすくなる。

負のイメージばかりが強調されているコレステロールですが、実際は大切な栄養素です。何が本当で何が嘘なのか、基準値を超えた場合に薬を飲むか飲まないかは、よく考えてご判断ください。

コレステロールは食事制限の必要性なし!

2015年04月10日


コレステロールは、重要な栄養成分であるにもかかわらず、“血液ドロドロ”の原因などの濡れ衣で悪者扱いをされ、摂取制限がいわれてきました。しかしながら、本年2月にアメリカの厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」から、「コレステロールは、過剰摂取を心配する栄養素ではない」との報告書が公開されました。即ち、食事と血清コレステロールの間には明らかな相関は無いので、食事制限は必要ないということなのです。なお、コレステロールが血管をつまらせる原因物質との説も、誤解なのです。

上記を議論するに当たって、最初にコレステロールの働きを示します。主な役割は、①細胞膜の原料、②ホルモンの原料、③胆汁酸の原料です。コレステロールが無いと、生命を維持する事が出来ません。また、
LDLコレステロールの役割はコレステロールを必要な場所へと運ぶ運搬係として重要で、悪玉と呼ばれるのは心外です。HDLコレステロールは、余分な分を持ち帰る係です。

 次に、何故にコレステロールが無実の罪で悪者扱いをされるか説明します。発端は、ウサギにコレステロールを与えたら、動脈硬化を起こしたとの実験報告でした。ここで良く考えてください。ウサギは草食動物であり、動物性のコレステロールは食べません。無理に与えれば具合が悪くなるのは当たり前ですし、このウサギの動脈硬化は血管の外側にできていたので、内側に付いて血管を詰まらせるとの根拠にはなりません。これは、食塩が高血圧の原因であるとした実験と同じ間違いです。ネズミに通常の20倍位の食塩(ヒトに換算すると、1日当たり約300g)を半年間摂取させた結果から導かれたもので、現実には有り得ない実験条件なのです。実際は、多めの食塩摂取が原因で高血圧になるのは極一部の人(塩感受性を持った人)だけで、他の大部分の人では食塩は尿中に排出されて高血圧になることはありません。(ただし、既に高血圧を発症している人や、腎機能が低下している人は、摂取制限が望ましい。)この様に、間違った実験結果からコレステロールが動脈硬化説の犯人として濡れ衣を着せられ、そのコレステロールを組織に運ぶLDLコレステロールが“悪玉”になったのです。LDLコレステロールは、決して悪玉ではなく、生命維持に必要な働きをしているのです。確かに、動脈硬化を起こした血管にはコレステロールの付着が認められるのですが、この付着は動脈硬化の炎症をコレステロールが修復していることが近年の研究で明らかになっています。コレステロールは無罪であり、善人なのです。

 コレステロールの約70%は、体内で合成されます。従って、食事から沢山のコレステロールを摂取した場合には吸収量を落とし、さらに合成量を調整するので、血中のコレステロール濃度は一定に保たれます。動物性の脂肪には体内で合成できない必須脂肪酸も含まれているので、高齢者も適量の動物性脂肪を摂取する必要があります。逆に、薬でコレステロールを下げ過ぎると、うつ病やアルツハイマー病に罹りやすくなることが報告されています。コレステロールは悪者ではありません。このブログでは何度も繰り返していますが、肉、魚、野菜、果物、米も、バランスよく食べることが、健康長寿の秘訣です。

基準値(正常値)のウソが修正される?

2014年05月01日


これまで、健康診断の基準は厳しすぎて、健康人を病人にしていると書いてきました。即ち、正常な検査結果を異常値と判定して、健康人を病人にすることにより、必要のない治療や投薬をして病院や製薬会社が儲けていたのです。私の主張が真実であることを証明したのが、2014年4月5日付朝日新聞1面の「『健康』の基準緩和─血圧・肥満度・コレステロール(人間ドック学会)」というタイトルの記事です。

血圧の基準値(正常値)は、年齢に関係なく130 mmHgとされてきましたが、これは若者の値であって、健康な高齢者は140~150 mmHg位あるのです。1987年の高血圧の基準値は180 mmHgだったのをご存知でしょうか?その後、50 mmHgも引き下げて130 mmHgにし、健康な高齢者に降圧剤を飲ませていたのです。なお、血圧は年齢とともに変化するので、本来は年齢別に基準値を作るべきなのです。

肥満に関しては、BMIが肥満と判定される25~26位が長生きであることは統計学的解析から明らかだったのですが、今回は男性が27.7で女性が26.1まで上がっています。ただし、一番病気が少ない体型は男女ともにBMI=22ですので、健康で長生きするには22から25位が適当と考えられます。なお、腹囲の男性85 cm、女性の90cmは全く医学的が根拠がありません。

コレステロールは、男性254 mg/dlまで、女性は280 mg/dlまでを基準値(正常値)としました。昔の基準値は250 mg/dlでした。メバロチンというコレステロールを下げる薬が発売されると同時に、基準値が220mg/dlに変更されていたのです。この基準値では、半分以上の中高年が異常値になります。要するに、薬を飲ませるために基準値を引き下げていたのです。コレステロールは、細胞膜やホルモンの原料となる大切な栄養成分なので、薬で下げすぎると健康を害するのです。

また、LDLは悪玉と宣伝されてきました。実際は、LDLはコレステロールを組織に運ぶ大切な役割をしているので、これまでの基準値を超えた値の人の方が長生きしているのです。LDLは決して悪玉ではないので、今回の大幅な上方変更は当たり前です。

学会はこの新基準を6月に正式に決め、来年4月から運用する予定です。
製薬会社から研究費という名目でワイロを受け取っている御用学者が、薬を沢山売りたい製薬会社と結託したウソの数々が、少し改善されるようです。

高血糖

2013年12月20日

    糖尿病の患者とその予備軍は総数約2000万人と推計され、年々増加の一途を辿っています。確かに、現在は高齢化に加え飽食の因子や運動不足などが加わっているので、糖尿病患者が増える社会環境ではあります。しかしながら、6人に1人が糖尿病というのは、余りにも多すぎると思いませんか?例えば、70歳以上では3人に1人が糖尿病なのです。糖尿病患者がこんなにも多い要因は、血圧やコレステロールと同様に、検査の基準値にもあるのです。私が就職した時の空腹時血糖値の基準値は140 mg/dl だったのですが、1999年に日本糖尿病学会は126 mg/dl に引き下げました。この基準値の引き下げで、糖尿病患者数は一気に増加したのです。基準値のからくりの項で説明しましたが、基準値とは健康者の95%が入る範囲なのですが、30%以上が基準値を外れて病的と診断されることが異常なのです。医療費削減と言いながら、実際には如何に患者を作るかを検討していることがご理解いただけると思います。

 なお、2型糖尿病の強化コントロール治療は効果がないどころか、逆に危険との報告があります(ACCORD研究、Gerstein 2008年)。強化コントロール治療とは、糖尿病患者の血糖値を厳しく調整してHbA1c値を基準値以内に抑える治療です。この方法と通常の治療方法を比較すると、強化コントロール治療の方で死亡率が約3割高く、重症の低血糖も2.4倍多くなりました。血糖値も、基準値を少し超えた位が長生きなのです。基準値に無理に入るようにすると、逆に命を縮める結果となるのです。