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残薬(飲み残しの薬)が年475億円分

2015年05月01日

  薬の「飲み残し」や「飲み忘れ」は、処方された薬全体の24%にあたり、年間では475億円にもなります。何故に、これほど多くの薬が無駄になるのでしょうか?いくつかの要因があるのでしょうが、その中の1つには、高齢者が多種類の薬を処方されて「何をどう飲めば良いのか分からない」ことがあります。高齢者の場合、10種類以上の薬を処方されていることは珍しくありません。それらの薬の全てが、朝昼夕に1錠という処方であれば、飲み間違いや残薬は少なくなるのですが、現実には、A剤は朝昼夕の3回で、B剤は朝夕の2回、C剤は朝のみ1回服用といった内容なので、高齢者は正しく服用できないことは容易に想像できます。この対策としては、薬の一包化(一回に飲む複数の薬を、1つの袋に入れるサービス)があります。当然ながら手数料がかかり、医師の指示がある場合と無い場合では薬局での支払い額に差が出ますが、1回の服用分が1袋に入れてもらえるので、飲み間違いや飲み忘れの防止になり、無駄が省けることになります。

 しかしながら、一包化だけでは残薬の問題は解決できません。何故なら、残薬の根本的な原因は、不必要なほど沢山の薬を処方する医師と、薬を沢山飲んでいると安心する高齢者が多いことにあります。そこで、無駄を省くという観点から残薬について考えると、475億円分の薬を最初から処方しない方が良策ではないでしょうか。何故なら、処方された薬を正しく飲まなかったために病状が悪化した症例も存在するでしょうが、これは極一部の患者であると考えられます。大部分の患者においては、飲み忘れても全く影響が報告されていません。故に、最初から必要がないと考えることができます。逆に、「薬をやめれば病気は治る:岡本裕(幻冬舎)」に書かれているように、服薬を減らすことで体調が改善することの方が多いと思われます。薬の常用は、一時的な症状の改善には有効ですが、その代償として回復力や免疫力を低下させます。また、効果とは裏腹に副作用が存在して、新たな病気を誘発します。薬は最小限にして、節約した薬代でスポーツクラブに行って体力や体調に適した運動をしたり、旬の食材をバランスよく食べた方が、健康維持には良い薬になります。無駄になっている薬代の475億円は、高齢者の年金や少子化対策のための託児所建設などに使って欲しいものです。

子宮頸がんワクチン被害者の救済が滞り

2015年04月20日

子宮頸がんワクチンの接種は、2010年から公費助成で始まり、2013年からは定期接種になりました。このワクチン接種に関しては、昨年の6月20日の本ブログで、「予防効果が低く、副作用の心配あるワクチンは私の娘や孫娘には受けてほしくありません。」と書きました。これまでの接種者は約338万人で、2475件の副作用の報告があります。また、アメリカのワクチン有害事象報告制度によると、副作用被害者は世界で28661人、そのうち死亡者は130人となっています。これは報告例なので、未報告も含めるとこの10倍以上が副作用に苦しんでいるであろうと推測されています。

副作用は、現代の医学では説明できないさまざまな症状が次々と起こっていますが、全身の痛み、月経異常、体の震え、歩行困難、下痢、記憶障害などがあり、約3割の患者で高次脳機能障害、けいれん、意識レベル低下などの中枢神経症状が認められています。また、副作用は接種直後に起こる場合と、半年から1年後に遅れて起こる場合も多数報告されています。副作用の原因は、現時点では明らかにはなっていませんが、自然感染した場合の抗体価と比較すると、このワクチンの接種では4年後でも20~40倍の高い抗体価が測定されているので、ワクチンの効果を長持ちさせるために添加されている免疫増強剤が影響している可能性が考えられています。

ワクチンの接種で健康被害が起きた場合には、責任者である国は誠意をもって治療と補償をしなければなりません。しかしながら、国の救済手続きはストップしたままで、この半年以上に渡って1件も処理されていません。ワクチンを多くの女性に接種させることで製薬会社の売り上げを伸ばし、天下り先を確保するやり方は、お役人の常とう手段でありますが、利用されている一般庶民の声は、今回も届くことは無いのでしょうか?健康被害で人生を壊されてしまった沢山の若い女性たちが、自分の娘や孫であったらと考えて対処していただきたいものです。

昨年の6月20日の本ブログで書いたように、HPVウイルスに感染した場合でも90%は自己免疫がウイルスをやっつけるので、子宮頸がんを発症することはないのです。運悪く発症しても、定期検診を受けて早期に処置をすれば問題は有りません。危険を冒してワクチンを打つよりも、バランスの良い食事と適度な運動で免疫力を高めるのが一番です。

線虫(寄生虫の仲間)がガンを見つける!

2015年03月20日

九州大学などの研究グループが、線虫(寄生虫の仲間)がガンの有無を見分けられることを発表し、数年後の実用化を目指しています。

線虫とは、寄生虫の回虫の仲間で、土壌中や水中に住むものなど多種います。遺伝子研究などに汎用されるエレガンス線虫は、土中に住み体長1mm位の虫で、寿命は3週間位です。

この線虫は、犬と同程度の嗅覚受容体を持っていて、好きな匂いに集まり、嫌いな匂いからは逃げる習性が確認されています。この習性により、がん患者の尿の匂いは好きなので寄ってくるのですが、健常者の尿の匂いは嫌いで逃げるので、その動きから約95%の高確率でガンの有無を判定できるのです。

現在用いられている代表的なガンの検知方法には、腫瘍マーカーやPET-CTなどがあります。汎用される腫瘍マーカーはCEA、AFP、CA-19-9、PSAなどです。PSAは、比較的早期の前立腺がんにも反応しますが、他のマーカーはある程度の進行後に陽性となるので、経過観察の指標としては有用ですが、初期段階でのガン発見の確率は低いといえます。PET-CTは、ガン細胞がブドウ糖を大量に消費することを利用して、目印を付けたブドウ糖がガン細胞に集まったところをCTで画像化するので、比較的小さいガンも発見できます。注意点は、CT撮影の際に胸部レントゲンの200~300倍位のX線を浴びるので、度々行うと逆にガンを誘発する可能性があることです。

現在進行中のガン発見方法は、マイクロRNA法やガン探知犬です。マイクロRNA法は、昨年の10月10日の本ブログでも紹介しましたが、ガンの発症によりタンパク質を作らない小さなRNAの種類や量が変化する事で測定します。1回の採血で13種類のガンを検査できるので、健診の際に有効利用できると考えられます。なお、検査費用は10<~15万円位ですので安くは有りませんが、色々な検査を受ける手間や費用を考えれば、納得できる金額といえます。ガン探知犬は、線虫と同じで、匂いでガンの有無を見分ける方法で、千葉県の「ガン探知犬育成センター」の探知犬は、ごく初期段階であっても、90%以上の確率でガンの有無をかぎ分ける能力を持っています。訓練に手間と費用が掛かり、1頭当たりの訓練費は約500万円ですが、沢山の探知犬が医療チームの一員として活躍すれば、ガン治療には有用な戦力に成り得ます。

今回の線虫を用いた方法は、尿を摂るだけで簡単に検査できることと、検査費用が数百円程度と格段に安いので、普及が望まれます。なお、科学者的な視点では、匂いの物質を同定して、分析器で測定できるようになると、さらに迅速に大量の検体が処理できて、費用も安くなると考えられるので、研究者の先生方には是非とも頑張っていただきたいと思っております。

(いつも、医療や製薬業界の批判の記事を書いていますが、医療の全てを否定している訳ではありません。真の健康作りではなく、不必要な投薬などで金儲けをしていることが納得できないだけなのです。この様な有益な研究をなされている先生方には敬意を持っておりますし、より研究が進むような環境整備や待遇改善などがなされることを祈っています。)

群馬大学病院の会見

2015年03月10日

  群馬大学病院の腹腔鏡手術について、病院が過失を認め、謝罪しました。報告書は、①手術前の検査が不十分、②執刀医の未熟な技術、③術後措置の不十分、が重なって8人が死亡したとの内容でした。一般的に大学病院などでは、患者の検査結果と今後の治療方針について、主治医は医療チーム内で十分な討論をしてから治療を行いますが、殆どがこの執刀医の独断で行われていたようです。しかも、手術は自分の能力をはるかに超えているのに、その自覚が全くありません。また、この医師は学会で「手術成績は概ね良好」と虚偽の発表していたので、患者を手術の練習台として扱い、患者の安全よりも手術の実績作りを優先したとみられても仕方がありません。他にも、“がん”と診断して手術したところ、“がん”ではないと判明しても遺族には知らせず、死亡診断書にも“がん”とうその記載をした例、術後に腹水が溜って救急外来を受診した患者を入院させず帰宅後に死亡した例など、多数の不手際が報告されました。医師としての適性を欠いているばかりか、人間としても問題があります。さらに、教授や病院の管理体制にもかなりの不備があるようです。上司の教授は、どのような手術がなされて、経過はどうか報告を受けて確認するのが常識です。ここまで気が付かないのは、通常はあり得ません。

 1月10日のこのブログで紹介したように、大学病院は名医中の名医が最高の医療を与えてくれる病院と思っている方も多いのですが、それは誤解です。大学病院の医師の目的は、研究論文を沢山書いて、教授になる事です。患者の治療に情熱を持っている医師は、出世できません。問題になっているような人間性の極端に歪んだ医師は稀ではありますが、一般世間との触れ合いが少ない狭い世界で生きているので、庶民の感覚と異なる医師も存在します。

 大切なのは、病気にならないように、普段からの健康管理です。何度も書きますが、バランスの良い食事と適度な運動が基本です。他には、楽しめる趣味や規則正しい生活などがあります。もちろん、美露仙寿もお勧めです。そして、病院の選び方の項で紹介しましたように、元気なときから信頼できる病院の情報を集めておきましょう。

大手製薬会社ノバルティスファーマが業務停止処分

2015年02月10日

今回の内容は、「賢い患者」の予定でしたが、製薬会社の行政処分の話題に変更します。「賢い患者」は次回の掲載とします。

これまで度々、薬には効果の他に副作用があるので、使用は最小限度にすべきと書いてきました。その副作用に関して、製薬会社が隠していた事例です。

ノバルティスファーマ社は、3000例以上の薬の副作用情報を国に報告していなかった問題で、業務停止処分(15日程度)を受けることになりました。薬による重い副作用が確認された場合には、製薬会社は30日以内に国に報告しなければならないことが法律で定められています。しかし、白血病治療薬の16例の副作用が報告されなかったために、昨年7月に業務改善命令を受けていました。その後の調査で、26種類の薬で3264例の重い副作用も報告していなかったことが判明しました。

同社の行政処分は2回目ですが、降圧剤バルサルタン(商品名ディオパン)の虚偽広告事件でも社員が起訴されており、再度の業務停止処分がなされる可能性があります。(反省が見えないところが怖い!)

(ディオバン事件: ディオバンは、京都府立医大、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の計5大学が臨床研究を実施。京都府立医大と慈恵医大の論文は、ディオバンが他の高血圧治療薬より、脳卒中や狭心症を防ぐ効果が高いと結論づけている。しかし、同社の広告に利用するために、より効果を高く見せるように改ざんした虚偽の論文であるとして、薬事法違反(虚偽記述・広告)の疑いで逮捕された事件。)

薬の副作用による最近の死亡例は、今週の記事で前立腺がんの新薬「ザイティガ錠」(ヤンセンファーマ社)を服用した患者4人が重症低カリウム血症を発症して1人が死亡した例、昨年12月にも前立腺がんの抗がん剤「ジェブタナ」(一般名カバジタキセル:サノフィ社)を投与後に患者5人が死亡していた例、昨年10月の糖尿病薬SGLT2阻害薬3剤で5人の死亡例が報告されています。薬は、病気を治すためのものであり、薬で命を縮めるのは論外です。

 薬には効果とともに副作用がありますが、副作用の隠ぺいや効果の過大広告などは、氷山の一角のようです。病院での新薬の治験では、副作用などの都合の悪いデータは、依頼した製薬会社の社員によって握りつぶされることは、よく耳にしていました。ですから、副作用が少ないとのうたい文句で発売された後に、多くの事故が起きていることは度々あります。医薬品は、ヒトの健康や生死に直結するものですから、高いモラルの上に製造販売されなくてはならない商品なのですが、製薬会社が利益第一主義に走り過ぎていると思われる現況を理解しましょう。薬は必要最小限に!