透析治療の中止は是か非か?

2019年03月10日

東京都の公立病院で、透析治療を中止した40歳代の女性患者が死亡した件が話題になっていますが、皆様は如何お考えでしょうか?

人工透析治療とは、低下した腎機能に代わって人工的に血液の浄化を行うものです。上図の左のように、腕の血管にチューブをつなぎ、ポンプで血液を透析装置の中に誘導します。機械の中は右図のようになっていて、ダイアライザー(透析する機械)の中の透析膜には小さな穴が開いていて、周りは透析液が流れています。身体に必要な血球やタンパク質などは、透析膜の穴よりも大きいので、そのまま通過して身体に帰って行きます。一方、不要なものはこの穴から通り抜けて、透析液の方に移動します。透析液は、1回の治療で約120~150㍑必要で、使用後は廃棄します。この様な仕組みで、人工的に腎臓の代わりをしています。

腎不全患者が透析治療を中止すると、身体にとって不要なものが除去できないので、死亡してしまいます。日本透析医学会が2014年に発表した透析を中止するガイドラインでは、「多臓器不全などで、透析措置が生命を著しく損なう場合」や「がんの末期などで全身の状態が極めて不良」状態などを定めています。

疾患時にどの様な治療を選ぶかは、患者自身の意思で決めるべきです。ただし、病気の時は多くの人はネガティブな思考回路になるので、的確な判断が出来ない場合も多いために専門的なアドバイスが必要です。患者が透析治療を拒否した場合は、医師は治療の必要性を説明することは出来ても、強制的に透析治療をすることは難しいでしょう。今回のケースでは、担当医が40代の女性患者に対し人工透析治療をやめる選択肢を提示し、患者は透析治療をしないことを希望しています。しかし、治療を中止した結果として苦痛が大きくなってきたために、治療の再開の意思を示したと報道されています。この場合には、担当医が治療中止の選択肢を提示しても良いのか?と言う点に問題が残されます。また医師の立場としては、患者が透析治療を再開することを求めた時点で、希望通りにすべきと考えられます。

人間は、永遠には生きることはできないので、必ず死が訪れます。臨終に際して、患者としてどの様な治療を望むのか、また医師はどの様な治療をすべきかは、難しい問題です。(安楽死を認めるべきか?

オプジーボの効果は筋肉量に左右される

2019年03月01日

がんの免疫療法として話題となったオプジーボですが、本ブログでも紹介したように、投与した患者の約2割しか効果はありません(オプジーボの効果は2割のみ超高額抗がん剤オプジーボの使用は如何にあるべきか?)。従って、効果のある患者とそうでない患者を如何に予測するかが必要でした。その予測因子として、患者の筋肉量が関係していることを、大阪大学の研究チームが英国の科学誌に発表しています。

この研究では、患者を筋肉量が多い群と少ない群で比較しています。筋肉の多い患者群では薬の効果が7ヶ月継続しているのに対し、筋肉量が既に少なくなっている患者群では2ヶ月ほどしか効果が継続せず、投与後にがんが進行するリスクは3倍も高い事が報告されています。このメカニズムはまだ明らかにはなっていませんが、筋肉からがんの増殖を抑える物質が分泌されていることが考えられています。

健康維持の基本は、バランスの良い食事と適度な運動ですが、この報告からもいえることは、普段から運動をして、筋肉の衰えを防いでおくことが大切です。

 

若者の約半数にヘッドホン難聴のリスク

2019年02月20日

世界保健機構(WHO)は、世界の12~35歳の人口の約半数にあたる11億人に難聴のリスクがあると指摘しています。これは、スマホやMP3などで大音量で音楽を聴く若者が増えているためです。ヘッドホンやイヤホンを使用して大ボリュームで音楽を聴くと、大きな音が直接に耳に入るために、ダメージを受けます。障害のはじめは高い音域が聞こえにくくなるのですが、普通の生活には支障が無いので気づかないことが多くあります。これを放っておくと、会話の音域まで聞こえが悪くなり、難聴に気がつくのです。一度傷害されてしまった聴力は、元に戻らないので要注意です。

予防法は、音量を小さくすることと、長時間連続で聞かないことです。音量は、ヘッドホンで音を聞きながら人と会話出来る位の音量です。時間は、ヘッドホンを使用して聞いた時間の3倍以上は耳を休ませることです。

ヘッドホンやイヤホンの使用では、難聴以外の危険性もあります。駅のホームや道路で大音量での音楽などにより、電車や車の接近に気がつかずに事故に遭遇する危険性です。音楽は、楽しく安全に楽しみましょう。

 

腸内細菌叢が認知症に関与

2019年02月10日

腸内細菌の「バクテロイデス菌」が少ない人は18倍も認知症になりやすく、逆に多い人は認知症の罹患率が10分の1に低下することを、国立長寿医療センターが発表しました。

腸内細菌は、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌、ウェルシュ菌やブドウ球菌などの悪玉菌、バクテロイデスや連鎖球菌などの日和見菌があり、健康な状況ではそれぞれ 2:1:7 の割合でバランスを保っています。バクテロイデスなどの日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の内の強い方に味方する菌ですから、善玉菌を優位にしておくことが認知症予防に不可欠ということになります。その方法は、乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルト、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品を献立に入れ、ウォーキングなどの適度な運動で腸を刺激することです。

長寿社会を生きていくには、健康寿命を延ばして、介護無しで自活出来る健康状態を維持しましょう。

 

「頭の良くなる薬」は危険

2019年02月01日

厚生労働省は、「頭が良くなる」などの触れ込みで海外で販売されている「スマートドラッグ」を、健康被害や乱用の恐れがあるとして、医師の処方が無い場合の個人輸入を認めない規制措置をとりました。

スマートドラッグとは、本来はてんかんや睡眠障害などの治療に使われる医薬品が、脳の血流量を増やす成分が含まれていることから、集中力向上や学習能力改善などと宣伝して個人輸入業者が販売しています。これらの薬品は、専門医の指導の下に使用されるべき医薬品ですので、異なった目的での服用は危険です。

頭の良くなる薬やサプリは存在しません。頭が良くなりたいなら、勉強するしかありません。

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