健康維持(3:運動)

2014年01月20日

健康や若さの維持には、激しい運動は必要ありません。楽な運動、軽い運動でも、十分に効果があります。運動をするときの主なエネルギー源は、糖と脂肪です。この2つは運動の強度によって、使われる比率が違ってきます。激しい運動では糖が多く使われ、軽い運動だと脂肪が多く使われるのです(ジョギング程度の強さの運動でほぼ50%ずつ)。つまり脂肪を効率よく燃焼させ、肥満や生活習慣病を予防するには、たまに強い運動をするよりも、軽い運動を続けるほうが効果的なのです。適度な運動をすると、血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させ、反対に善玉コレステロール(HDL)を増やしてくれます。またインスリンの働きをよくして、血糖値の上昇を抑えてくれます。その結果、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の予防に効果があるほか、動脈硬化を防ぐので心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気の予防にもつながります。

運動の中でも特にお勧めは、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリングなど、運動の強度はあまり高くなくても、ある程度の時間行うことができる有酸素運動です。歩くことが健康に良いことはよく知られていますが、その理由はあまり知られていません。そのメカニズムは、心臓から出た血液は手足に送られます。この血液が心臓に帰るには、筋肉の運動によるのです。全身の筋肉の半分以上は足にあるので、足の筋肉を鍛えると、足の血液がスムーズに心臓に帰ってくるのです。すると、血液循環が良くなり、血圧も安定し、基礎代謝が上がるので、免疫力も向上するのです。健康維持のために、毎日30分~1時間のウォーキングを心がけましょう。

私のお奨め運動は、水泳です。遊泳(水泳)はリズミカルで全身的な有酸素運動ですから、呼吸・循環系に非常に良い運動で 心肺機能の強化が出来ます。遊泳(水泳)は軽い心疾患や高血圧の運動療法としても利用でき心筋梗塞や狭心症の予防効果があります。遊泳中はからだが水平の位置にあり水圧が加わるので静脈血が心臓に戻りやすいので、心室に多量の血液が充満して、少ない心拍数で血液を送り出すことが出来て心臓の負担が少なくなります。全身をくまなく使う運動ですが特に普段あまり使わない上半身の運動ができます。クロールの水泳時の推進力の70から100パーセント近くが上肢のかきによるものです。浮力作用によって身体が浮くために脚や腰に強い衝撃が加わらないので膝・関節の障害のある人や 肥満の対策の人、あるいは妊婦にもまた喘息の人にも好都合の運動のようです。また水泳は水平位での運動であるため脊椎に重力をかけず筋肉を鍛えられる唯一の運動です。中高年者は骨格や筋肉が加齢により衰えてきますが遊泳はもっとも軽い負荷で弾力性のある運動なので 筋力維持のトレーニングや骨の若さを保つことによる造血作用を高進させることができます。また 子供から80才を越えたお年寄りまで全年齢で行なえる運動です。そしてさらに、特筆すべきことですが水中で運動した場合は、水の抵抗があるため陸上を使う運動に対して、なんと4倍もの消費カロリーがあり、おおよその目安としては、例えば体重が50kgの人であれば、1kmの距離を泳ぐと200キロカロリーの消費となりますが、ウォーキングやジョギングの場合では、1kmだと50キロカロリーしか消費されません。水泳はダイエットにも効果的なのであります。

健康維持(2:睡眠&入浴)

2014年01月10日

健康維持に重要なものとして、睡眠があげられます。最も病気のリスクが少ない睡眠時間は、6時間30分~8時間未満で、統計的には7時間が最適とされていて、これより短くても長くても健康被害のリスクは高くなるという調査結果が出ています。下のグラフは、2002年、米国カリフォルニアのKripkeらが行なった「睡眠時間と健康リスク」に関する調査ですが、見てわかるように、もっとも病気のリスクが少ない睡眠時間は、6時間30分~8時間未満で、睡眠時間がこれより短くても長くても健康被害のリスクは高くなるという結果でした。

しかし、一部にはその平均値から大きくかけ離れた睡眠時間を最適とする人達も存在します。短い睡眠時間でも十分に脳や体の疲れが取れる「ショートスリーパー」(短眠者)と呼ばれる体質の人や、平均よりも長い睡眠をとらなければ十分に疲れが取れない「ロングスリーパー」(長眠者)と呼ばれる体質の人がいるのです。歴史上の有名人では、ナポレオン・ボナパルト(平均3時間)、トーマス・アルバ・エジソン(平均4時間)、野口英世(平均3時間)、レオナルド・ダ・ヴィンチ(平均90分)などで、逆にアルベルト・アインシュタインは平均10時間の睡眠を必要とするロングスリーパー体質だったようです。睡眠時間は遺伝的な要因によって決定されているため、根性や生活習慣で安易に長さを変えられるものではありません。もともと平均かそれ以上の睡眠を必要とする人が無理に睡眠時間を短くしようとすると、健康に悪影響を及ぼす危険性があります。

同じ7時間でも、入眠する時間が重要です。もちろん、早寝早起きが健康にはよいのです。その理由は、成長ホルモンが関係しています。成長ホルモンは子供が成長するときのホルモンです。ところが、大人になってもこれはとても大切なホルモンなのです。成長ホルモンは、新陳代謝を活発にし、疲労を回復させ、肉体を再生させます。身長の伸びが終了した後でも、分泌量は低下するものの生涯分泌されつづけ、たんぱく質の合成やエネルギー代謝、筋肉や臓器の能力や機能、免疫能等の維持強化、身体的損傷の治癒促進等において重要な役目を果たしているのです。成長ホルモンはお肌にも重要で、これが出ないと顔色が悪くお肌はカサカサ、目の下にクマができます。成長ホルモンは寝ているときに多く作られます。その作られる時間帯が9~11時で、眠りにつくと約2時間で成長ホルモンが分泌され、深い睡眠を取れば取るほどよく、成長ホルモンが活発に分泌されます。午前0時にノンレム睡眠の谷間があるとき、一番成長ホルモンの出る量が多いことがわかっています。つまり11時頃眠りはじめると一番効率よく成長ホルモンがゲットできるのです。これが、早寝早起きが健康に良いとされる所以です。

入浴は健康維持にとって重要なのですが、最近では冬でも湯船につからずシャワーだけの入浴が増えています。湯船にゆっくりつかることに意義は、次のようです。湯船につかると、体温が上がり、皮膚の毛細血管が広がって血流がよくなります。それにより、新陳代謝が高まって体内の老廃物や疲労物質が取り除かれ、疲労回復やコリ、痛みがやわらぎます。湯船の温度は、心身ともに休息させてリラックスしたいときは、ぬるめが正解。夏なら38~40℃、冬なら41℃位のややぬるい湯にじっくりつかりましょう。ぬるめの湯につかると、脳内の副交感神経が刺激されます。副交感神経とは、体を緊張からときほぐしてリラックスさせる神経。入浴以外では、睡眠中や食事中に強く働き、心身を休ませて疲れを癒してくれます。不眠の方は、就寝の1時間くらい前にぬるめの湯にゆったりとつかると、寝る時間には体温が入眠に適したところまで低下しますので、入眠しやすくなります。反対に、42℃以上の熱い湯は、交感神経が優位になります。心臓の鼓動が高まり、血の巡りが活発になって、体はいわゆるエネルギッシュ状態に。仕事をしているときなどは、この交感神経が活発に働いていると考えられます。つまり、気分をリラックスさせてストレス解消したいときは、ぬるめの湯、しゃきっとしたいときは熱めの湯が効果的といえる訳です。

謹賀新年

2014年01月01日

明けましておめでとうございます。今年も健康で過ごせるように、役に立つ情報をお送りしますので、宜しくお願いいたします。

1年の健康の計は元旦にあります。今年の健康目標をたてましょう!健康を維持するためには、薬や根拠のないサプリメントには頼らないで、バランスの良い食事と適度な休養、加えて適度な運動といえるでしょう。今月はこの3つをお送りします。

まず、バランスの良い食事です。人間の体は、多くの栄養素のバランスによって維持されています。ですから、必要な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。○○ダイエットなどと称して、偏った食事を勧めるのを見かけます。これは、偏った栄養素で体調をくずして、その結果として痩せるものですので、不健康の極みです。病気の民間食事療法でも、極端に偏った栄養素を推奨するものがありますが、これも良くありません。バランスの良い食事の典型は、糖尿病の食事療法の本で勉強するのが良いでしょう。これは、栄養バランスを重視していますので、糖尿病患者だけではなく、健康な方も当てはまります。腎臓病や肝臓病では、これに塩分やたんぱく質などの調整をすれば良いのです。具体的には、食品は、それぞれの持つ栄養素によって6つのグループに、働きによって3つのグループに分かれます。それぞれのグループから食品を選び、糖質を6~7割程度、脂質2割程度、たんぱく質を1割くらいに、ビタミンやミネラルを追加します。この組み合わせてバランスのよい食事をつくることが大切です。

高血糖

2013年12月20日

    糖尿病の患者とその予備軍は総数約2000万人と推計され、年々増加の一途を辿っています。確かに、現在は高齢化に加え飽食の因子や運動不足などが加わっているので、糖尿病患者が増える社会環境ではあります。しかしながら、6人に1人が糖尿病というのは、余りにも多すぎると思いませんか?例えば、70歳以上では3人に1人が糖尿病なのです。糖尿病患者がこんなにも多い要因は、血圧やコレステロールと同様に、検査の基準値にもあるのです。私が就職した時の空腹時血糖値の基準値は140 mg/dl だったのですが、1999年に日本糖尿病学会は126 mg/dl に引き下げました。この基準値の引き下げで、糖尿病患者数は一気に増加したのです。基準値のからくりの項で説明しましたが、基準値とは健康者の95%が入る範囲なのですが、30%以上が基準値を外れて病的と診断されることが異常なのです。医療費削減と言いながら、実際には如何に患者を作るかを検討していることがご理解いただけると思います。

 なお、2型糖尿病の強化コントロール治療は効果がないどころか、逆に危険との報告があります(ACCORD研究、Gerstein 2008年)。強化コントロール治療とは、糖尿病患者の血糖値を厳しく調整してHbA1c値を基準値以内に抑える治療です。この方法と通常の治療方法を比較すると、強化コントロール治療の方で死亡率が約3割高く、重症の低血糖も2.4倍多くなりました。血糖値も、基準値を少し超えた位が長生きなのです。基準値に無理に入るようにすると、逆に命を縮める結果となるのです。

健常人を病人にする方法(3:血圧、追記)

2013年11月30日

ご存知かもしれませんが、血圧は常に変動しています。例えば、夏と比較すると冬の血圧は、寒さで血管が収縮するために高くなります。入浴の前後で、血圧は大きく変動します。脱衣場が寒いときは上昇し、適温の入浴では下降します。この変化は、高血圧の症状が酷い人ほど大きくなりますので、この様な方は浴室の温度を温めておいた方が賢明です。また、よく耳にするのは、病院高血圧とか白衣高血圧とか言われている症状です。殆どの方は、病院で医師や看護師が血圧を測る時には緊張していますので、家で測った時よりも20~30 mmHg 位高いことがしばしばです。この値で高血圧の診断をされて薬を飲まされているケースも多々あるのです。家でリラックスしている時の血圧を測っておいて、ノートに記録しておくと、自分の正確な状態が分かります。

血圧に関しては、塩分を取りすぎると高血圧になるといわれていましたが、この説は必ずしも正しくありません。すべての人が食塩をとると血圧が上がり、減塩すると血圧が下がるというわけではないのです。食塩の摂取量によって血圧が変動する、食塩感受性のある人と食塩感受性のない人がいるのです。塩感受性で最も広く使われている定義は、アメリカの国立衛生研究所(NIH)のプロトコールで使われているもので、7日間の10 mmolナトリウム摂取量から7日間の240 mmolナトリウム摂取量になった時、平均動脈血圧が10%以上上昇している場合を食塩感受性であるとしています。前者が食塩感受性(salt-sensitive)、後者が食塩非感受性(nonsalt-sensitive)です。東京大学医学部の藤田敏郎教授の研究(1995年)では、日本人の多くは後者であり、塩感受性のある人は約2割と報告しています。食塩感受性の人は、腎臓からのナトリウム排せつ機能に異常が生じ、ナトリウムが体内に蓄積し、その結果、血圧が上昇します。一方、食塩非感受性の人は、腎臓のナトリウム排せつ機能が正常に働くので、体内に入った余分なナトリウムは排せつされやすいため、血圧への影響は少ないのです。このことから、食塩非感受性の人が高血圧の治療で減塩治療を行っても、効果が現れにくく、無理をして極端に塩分を落とすと、塩分不足や栄養不足のため、かえって無気力になったり疲れやすくなったりする可能性がある。特に夏場などは、発汗によって大量の塩分が失われるため、注意が必要となります。高血圧になった人の多くも食塩非感受性で、こういったタイプの人は、いくら塩分を減らしても、それだけでは高血圧症を好転させることは難しいです。最近、欧米では、すべての人に減塩を勧めるのではなく、食塩感受性の人だけに勧めるべきであるという考え方が強くなってきました。この様に、食塩摂取量に関する保健政策は質的な変換を求められるようになった。食塩摂取量に影響される人は注意すべきであるが、少なくとも高血圧家系でない人は注意する必要は少ないと思われます。

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