ヒートショックに注意

2018年12月01日

今日から12月(師走)です。寒さも本番に入りますので、健康管理に注意をしましょう。特に、12月と新年の1月に多いのが、ヒートショックによる入浴中の死亡事故です。

ヒートショックとは、暖房の効いた暖かい部屋から、入浴のために寒い脱衣場や浴室に入ったことや、次に熱い湯船に入ることで血圧が急激に高低変化して起こる死亡事故です。年間で約1万7千人が亡くなっていますが、交通事故の死亡者数は約4万1千人ですから、4倍以上も多いのです。特に高齢者など血圧変動の大きい方は、要注意です。

ヒートショックは部屋の寒暖差によって起こるので、寒い地方に多いと考えられますが、最もヒートショックの事故が少ないのは寒さの厳しい北海道なのです。何故に北海道が少ないかというと、家中の暖房がしっかりしているので、脱衣場や浴室も暖かく、部屋の寒暖差が無いからです。

部屋の温度以外での注意点は、飲酒後の入浴を避けること、41度以上の熱い湯は避けることなどがあります。冬場の入浴は、身体が温まるので天国ですが、危険と隣り合わせであることにも留意しましょう!

 

 

抗インフルエンザ薬:ゾフルーザ

2018年11月20日

11月も終盤になり、これから冬本番に入っていきます。冬に気をつけたいことの一つは、インフルエンザです。最も重要なのは感染しないための予防で、基本はワクチンです。自分で出来ることは、うがいと手洗いですが、水のペットボトルを持ち歩いてこまめに水分補給することで喉を湿らせておくと、感染予防になりますので、是非試してみてください。

運悪く感染してしまった場合は、抗インフルエンザ薬が使われます。これまではタミフルやリレンザが汎用されていましたが、今年は新薬のゾフルーザの使用が増えてきそうです。その理由は、効きが早く、1回の服用で良いことです。

抗インフルエンザ薬の作用機序は、ウイルスの増殖を抑えることです(殺しているのではありません)。これまでの抗インフルエンザ薬は、感染して細胞内で増えたウイルスが他の細胞へ拡散するのを押さえ込む作用でした。従って、増えたウイルスが細胞の外に出てくるまで効果がないので、時間がかかっていたのです。新薬のゾフルーザは、細胞内で増えるのを抑え込むので効果が早く、タミフルなどと比較すると1~2日回復が早まります。尚、インフルエンザウイルスの量は感染から2日で最大になるので、抗インフルエンザ薬を使用する場合は感染から2日以内でないと効果がありません。

本ブログで度々書いている基礎知識ですが、インフルエンザウイルスに抗生物質は効果がありません。一般の風邪の原因も約90%はウイルスです。また、解熱剤で平熱まで下げてしまうと、免疫力が低下して治りが遅れます。以前の本ブログを参考にしてください(風邪への対処法解熱剤で免疫低下風邪とインフルエンザ(予防)風邪とインフルエンザ(罹患時の対処))。

朝食抜きが太るメカニズム

2018年11月10日

朝食を抜くと太りやすいことは、以前から経験的に知られていました。その典型的例が、相撲取りの食事です。相撲取りは太っていた方が有利なので、太るのも大事な稽古となっています。食事は、朝食は摂らずに朝と昼の兼用食と夕飯の2回です。

朝食を摂らないと何故に太りやすいのかのメカニズムは、これまで解っていませんでしたが、名古屋大学の研究グループが、ラットを使った実験で明らかにしました。実験方法は、ラットを「午前8時に朝食を摂る人」と「朝食を抜いて正午に最初の食事を摂る人」を想定した2つのグループに分け、それぞれに同じ量の高脂肪食を14日間与えました。その結果、朝食を抜いたラットのグループは、体重と体脂肪の両方が増えていました。この時、脂肪の代謝に関わる肝臓の体内時計が乱れていたこと、体温の上昇時間が短くてエネルギー消費が小さくなっていることが認められていました。

人間の身体は、朝起きて太陽の光を浴びることや朝食を摂ることで、活動をする準備が始まりますので、忙しい朝でも食事を摂ることは健康に欠かせません。(朝食抜きは脳出血リスク36%増睡眠と健康

 

病院の間仕切りカーテンは危険細菌の温床

2018年11月01日

病室で使用されている間仕切りカーテンは、危険な細菌の温床になっているとの研究を、カナダのマニトバ大学が発表(American Jounal of Infection Control)しました。研究方法は、新しく洗濯された患者ベッド用カーテン8本とスタッフルームのコントロールカーテン2本を比較しています。3日後にはスタッフルームのカーテン(細菌のコロニー数0.19)と比較して、患者用カーテンは細菌汚染が進行(1.17)していました。時間と共にさらに汚染は進行し、17日後では1.86、21日後では5.11まで細菌コロニー数は増加しました。加えて、10日後までに患者用カーテンの1枚は薬剤耐性菌のMRSAに汚染され、14日後では8枚の内5枚がMRSA陽性になり、病室が危険地帯になっていました。

患者のプラーバシーを守るための間仕切りカーテンは、危険な細菌の温床になっている現実があるので、病院としては頻繁に洗濯をしなくてはならないことが示されました。以前に看護師の象徴であったナースキャップが院内感染の汚染源になっていることが明らかになり、今では使用しなくなっています。間仕切りカーテンも同様の汚染にさらされています。患者として入院する場合は、間仕切りカーテンまで頻繁に洗濯するような清潔な病院に入院したいものです。

 

消毒剤の多用で肥満児

2018年10月20日

家庭で消毒剤を多用すると、子供が肥満になりやすいことを、カナダの小児科医などの研究チームが医学専門誌に(CMAJ)に発表しました。

乳児757人において、家庭で掃除に使用する ①消毒剤、②合成洗剤、③天然素材の洗剤と、肥満度を反映するBMIおよび腸内細菌叢との関連を、3歳時点で調べています。その結果、殺菌作用のある洗剤で拭き掃除を多くする①群では「ラクノスピラ科」の腸内細菌が優勢になり、3歳時点でのBMIが高くなる肥満傾向が認められました。逆に、③の天然素材の洗剤を使用している群では、ラクノスピラ科の細菌が減少して肥満のリスクが半分に低下していました。

腸内細菌のバランスは3歳ころまでに決まるのですが、殺菌作用の強い消毒剤は腸内細菌のバランスに影響を与えている可能性が示唆されます。また、腸内のラクノスピラ科の細菌群が多いと、脂肪が蓄積しやすいことが動物実験で明らかになっていますので、結果として肥満になり易いと考えられます。

小児期は、抗生剤の多用で肥満になり易いこと(抗生剤で肥満児)や、アレルギー疾患が発症しやすい体質になること(抗生剤使用の乳幼児はアレルギー疾患の発症リスクが1.7倍)も報告されています。これらも同じように、抗生剤で腸内細菌が死んで細菌叢のバランスが崩れる事が原因と考えられています。大切な家族を衛生的な環境で生活させたい気持ちは理解できるのですが、化学薬品を必要以上に使用することは、逆に健康を害することになります。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですので、程々に。

 

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