健診データの読み方・考え方(3:血圧:単位)

2019年04月20日

健康の指標として最も知られている項目の一つである血圧ですが、単位をご存じですか?

血圧の単位は、mmHg(ミリメートル水銀)です。病院の診察室の血圧計には水銀が入っていて、この水銀を何ミリ押し上げる圧力であるかが血圧値になります。例えば、血圧が130 mmHg とすると、血圧計の水銀を130 mm (13 cm)押し上げる圧力です。

では、何故に水銀を使っているのでしょうか?もしも、水で測定すると単位は mmH2O になりますが、比重の軽い水では水銀の約13倍の高さまで押し上げてしまいますので、2~3メートルくらいの高さの血圧計が必要になり、現実的ではないからです。

尚、家庭用の血圧計はデジタル式です。医師や看護師などの訓練を受けた医療従事者は、水銀計で正確に血圧を測定できますが、一般家庭では失敗無く簡易的に測定できるようにデジタル計が用いられています。デジタル血圧計は、水銀計とほぼ同じ値になるように作られています。

次回は、血圧の変動に関与する因子についてです。

 

 

健診データの読み方・考え方(2:子供のデータ)

2019年04月10日

検査データを見るときは、年齢を考慮します。

子供と大人の血液検査データで大きく異なるのは、ALP(アルカリフォスファターゼ)です。ALPは、感動の検査にも用いられますが、骨にも多く分布しています。子供は骨の成長が大きいので、ALPは高くなっています。他には、LDHが高く、クレアチニンは低値の特徴があります。妊婦はALPだけが高くなりますが、これは胎児の骨が成長中だからです。

また、血圧や呼吸数などのバイタルサインも異なります。子供は、呼吸数や脈拍は多いのですが、血圧は大人よりも低くなっています。体温は、子供で高く、加齢とともに低くなっていきます。

健診データの読み方・考え方(1:検査前は絶食)

2019年04月01日

今日4月1日は、新学期・新年度の始まりです。私が講義を担当している短大では、毎年この日に健康診断があります。

本ブログは、知っていると役に立つ「健診データの読み方・考え方」について、今回からシリーズでお送りします。第1回は、何故に検査前は食事をしてはいけないかを説明します。

健診の前日は夜9時までには食事を済ませ、当日も食事をしないように注意があります。その理由を、上の図に示しました。血液検査では、中性脂肪や血糖値が上昇しますので、正確な判断が出来なくなります。食事の影響は長時間残りますので、前日の深夜まで飲食していると、当日に食事をしていなくても、中性脂肪や血糖値は影響されます。

また腹部の超音波検査(エコー)では、食べ物と一緒に空気が入るので、検査が不可になります。その理由は、超音波は空気で遮断されるためです。さらに、食事をすると膵液が分泌されて、膵臓が萎縮しますので、検査しても判定不能になってしまいます。

検査前に激しい運動をすると、筋肉細胞が壊れて中の酵素(CK:クレアチンキナーゼ)が血液中に出てくるので、結果としてCKが高値になります。検査当日は、運動も控えて下さい。

 

食中毒の件数でアニサキスが最多

2019年03月20日

厚生労働省より、18年度の食中毒の件数が発表になりました。最多件数はアニサキスで468件(患者数478人)、2番目はカンピロバクターで319件(1995人)、3番目はノロウイルスで256件(8475人)でした。

アニサキスが寄生した魚介類を生または生に近い状態で食べると、アニサキスがヒトの胃や腸壁に侵入し胃腸炎を起こす原因となります。

患者数ではアニサキスは少なく、ノロウイルスで多い理由は、アニサキスは人から人へと感染することがないのに対し、病原菌のカンピロバクターやウイルスのノロは周囲に感染して広がるので、1件の感染で患者数が増えるためです。

アニサキスの件数が増えた理由は、鰹の刺身からの感染が増えたためです。治療は、内視鏡で除去しますが、予防策としては、十分に加熱処理することやマイナス20℃以下で1日以上冷凍処理することです。酢締めや醤油では死にません。

 

透析治療の中止は是か非か?

2019年03月10日

東京都の公立病院で、透析治療を中止した40歳代の女性患者が死亡した件が話題になっていますが、皆様は如何お考えでしょうか?

人工透析治療とは、低下した腎機能に代わって人工的に血液の浄化を行うものです。上図の左のように、腕の血管にチューブをつなぎ、ポンプで血液を透析装置の中に誘導します。機械の中は右図のようになっていて、ダイアライザー(透析する機械)の中の透析膜には小さな穴が開いていて、周りは透析液が流れています。身体に必要な血球やタンパク質などは、透析膜の穴よりも大きいので、そのまま通過して身体に帰って行きます。一方、不要なものはこの穴から通り抜けて、透析液の方に移動します。透析液は、1回の治療で約120~150㍑必要で、使用後は廃棄します。この様な仕組みで、人工的に腎臓の代わりをしています。

腎不全患者が透析治療を中止すると、身体にとって不要なものが除去できないので、死亡してしまいます。日本透析医学会が2014年に発表した透析を中止するガイドラインでは、「多臓器不全などで、透析措置が生命を著しく損なう場合」や「がんの末期などで全身の状態が極めて不良」状態などを定めています。

疾患時にどの様な治療を選ぶかは、患者自身の意思で決めるべきです。ただし、病気の時は多くの人はネガティブな思考回路になるので、的確な判断が出来ない場合も多いために専門的なアドバイスが必要です。患者が透析治療を拒否した場合は、医師は治療の必要性を説明することは出来ても、強制的に透析治療をすることは難しいでしょう。今回のケースでは、担当医が40代の女性患者に対し人工透析治療をやめる選択肢を提示し、患者は透析治療をしないことを希望しています。しかし、治療を中止した結果として苦痛が大きくなってきたために、治療の再開の意思を示したと報道されています。この場合には、担当医が治療中止の選択肢を提示しても良いのか?と言う点に問題が残されます。また医師の立場としては、患者が透析治療を再開することを求めた時点で、希望通りにすべきと考えられます。

人間は、永遠には生きることはできないので、必ず死が訪れます。臨終に際して、患者としてどの様な治療を望むのか、また医師はどの様な治療をすべきかは、難しい問題です。(安楽死を認めるべきか?

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