健診データの読み方・考え方(1:検査前は絶食)

2019年04月01日

今日4月1日は、新学期・新年度の始まりです。私が講義を担当している短大では、毎年この日に健康診断があります。

本ブログは、知っていると役に立つ「健診データの読み方・考え方」について、今回からシリーズでお送りします。第1回は、何故に検査前は食事をしてはいけないかを説明します。

健診の前日は夜9時までには食事を済ませ、当日も食事をしないように注意があります。その理由を、上の図に示しました。血液検査では、中性脂肪や血糖値が上昇しますので、正確な判断が出来なくなります。食事の影響は長時間残りますので、前日の深夜まで飲食していると、当日に食事をしていなくても、中性脂肪や血糖値は影響されます。

また腹部の超音波検査(エコー)では、食べ物と一緒に空気が入るので、検査が不可になります。その理由は、超音波は空気で遮断されるためです。さらに、食事をすると膵液が分泌されて、膵臓が萎縮しますので、検査しても判定不能になってしまいます。

検査前に激しい運動をすると、筋肉細胞が壊れて中の酵素(CK:クレアチンキナーゼ)が血液中に出てくるので、結果としてCKが高値になります。検査当日は、運動も控えて下さい。

 

食中毒の件数でアニサキスが最多

2019年03月20日

厚生労働省より、18年度の食中毒の件数が発表になりました。最多件数はアニサキスで468件(患者数478人)、2番目はカンピロバクターで319件(1995人)、3番目はノロウイルスで256件(8475人)でした。

アニサキスが寄生した魚介類を生または生に近い状態で食べると、アニサキスがヒトの胃や腸壁に侵入し胃腸炎を起こす原因となります。

患者数ではアニサキスは少なく、ノロウイルスで多い理由は、アニサキスは人から人へと感染することがないのに対し、病原菌のカンピロバクターやウイルスのノロは周囲に感染して広がるので、1件の感染で患者数が増えるためです。

アニサキスの件数が増えた理由は、鰹の刺身からの感染が増えたためです。治療は、内視鏡で除去しますが、予防策としては、十分に加熱処理することやマイナス20℃以下で1日以上冷凍処理することです。酢締めや醤油では死にません。

 

透析治療の中止は是か非か?

2019年03月10日

東京都の公立病院で、透析治療を中止した40歳代の女性患者が死亡した件が話題になっていますが、皆様は如何お考えでしょうか?

人工透析治療とは、低下した腎機能に代わって人工的に血液の浄化を行うものです。上図の左のように、腕の血管にチューブをつなぎ、ポンプで血液を透析装置の中に誘導します。機械の中は右図のようになっていて、ダイアライザー(透析する機械)の中の透析膜には小さな穴が開いていて、周りは透析液が流れています。身体に必要な血球やタンパク質などは、透析膜の穴よりも大きいので、そのまま通過して身体に帰って行きます。一方、不要なものはこの穴から通り抜けて、透析液の方に移動します。透析液は、1回の治療で約120~150㍑必要で、使用後は廃棄します。この様な仕組みで、人工的に腎臓の代わりをしています。

腎不全患者が透析治療を中止すると、身体にとって不要なものが除去できないので、死亡してしまいます。日本透析医学会が2014年に発表した透析を中止するガイドラインでは、「多臓器不全などで、透析措置が生命を著しく損なう場合」や「がんの末期などで全身の状態が極めて不良」状態などを定めています。

疾患時にどの様な治療を選ぶかは、患者自身の意思で決めるべきです。ただし、病気の時は多くの人はネガティブな思考回路になるので、的確な判断が出来ない場合も多いために専門的なアドバイスが必要です。患者が透析治療を拒否した場合は、医師は治療の必要性を説明することは出来ても、強制的に透析治療をすることは難しいでしょう。今回のケースでは、担当医が40代の女性患者に対し人工透析治療をやめる選択肢を提示し、患者は透析治療をしないことを希望しています。しかし、治療を中止した結果として苦痛が大きくなってきたために、治療の再開の意思を示したと報道されています。この場合には、担当医が治療中止の選択肢を提示しても良いのか?と言う点に問題が残されます。また医師の立場としては、患者が透析治療を再開することを求めた時点で、希望通りにすべきと考えられます。

人間は、永遠には生きることはできないので、必ず死が訪れます。臨終に際して、患者としてどの様な治療を望むのか、また医師はどの様な治療をすべきかは、難しい問題です。(安楽死を認めるべきか?

オプジーボの効果は筋肉量に左右される

2019年03月01日

がんの免疫療法として話題となったオプジーボですが、本ブログでも紹介したように、投与した患者の約2割しか効果はありません(オプジーボの効果は2割のみ超高額抗がん剤オプジーボの使用は如何にあるべきか?)。従って、効果のある患者とそうでない患者を如何に予測するかが必要でした。その予測因子として、患者の筋肉量が関係していることを、大阪大学の研究チームが英国の科学誌に発表しています。

この研究では、患者を筋肉量が多い群と少ない群で比較しています。筋肉の多い患者群では薬の効果が7ヶ月継続しているのに対し、筋肉量が既に少なくなっている患者群では2ヶ月ほどしか効果が継続せず、投与後にがんが進行するリスクは3倍も高い事が報告されています。このメカニズムはまだ明らかにはなっていませんが、筋肉からがんの増殖を抑える物質が分泌されていることが考えられています。

健康維持の基本は、バランスの良い食事と適度な運動ですが、この報告からもいえることは、普段から運動をして、筋肉の衰えを防いでおくことが大切です。

 

若者の約半数にヘッドホン難聴のリスク

2019年02月20日

世界保健機構(WHO)は、世界の12~35歳の人口の約半数にあたる11億人に難聴のリスクがあると指摘しています。これは、スマホやMP3などで大音量で音楽を聴く若者が増えているためです。ヘッドホンやイヤホンを使用して大ボリュームで音楽を聴くと、大きな音が直接に耳に入るために、ダメージを受けます。障害のはじめは高い音域が聞こえにくくなるのですが、普通の生活には支障が無いので気づかないことが多くあります。これを放っておくと、会話の音域まで聞こえが悪くなり、難聴に気がつくのです。一度傷害されてしまった聴力は、元に戻らないので要注意です。

予防法は、音量を小さくすることと、長時間連続で聞かないことです。音量は、ヘッドホンで音を聞きながら人と会話出来る位の音量です。時間は、ヘッドホンを使用して聞いた時間の3倍以上は耳を休ませることです。

ヘッドホンやイヤホンの使用では、難聴以外の危険性もあります。駅のホームや道路で大音量での音楽などにより、電車や車の接近に気がつかずに事故に遭遇する危険性です。音楽は、楽しく安全に楽しみましょう。

 

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