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インフルエンザ

抗インフルエンザ薬はコスパ悪し ⇒ 感染防止が重要

2016年11月20日

11月の終盤になり、インフルエンザが流行する季節になってきました。現時点では、例年の5倍も感染者が増えているそうですので、要注意です。インフルエンザに感染した場合には、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)が汎用されています。抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスを殺す薬ではなく、増殖を抑えるものです。従って、インフルエンザに感染した初期の段階で投与することで、ウイルスの増殖が抑えられるので、回復までの期間が短縮し、重症化を防ぐために使用されます。感染してからの期間が長くなると、既にウイルスの量が増えてしまっているので、抗ウイルス薬としての効果はありません。

インフルエンザの感染で、抗インフルエンザ薬を使用しなかった場合に重症化して入院する確率は2.11%ですが、抗インフルエンザ薬を使用することで0.37%に低下させることになります。従って、抗インフルエンザ薬が重症化を防いで入院患者を減らしていることは間違いありません。ですが、入院患者を1人減らすために必要な抗インフルエンザ薬の値段を計算すると、約20万円にもなるのです。製薬会社や医療機関の収入面からみればOKですが、コスパとしては決して良いものではありませんので、感染しないように防御することが重要です。

風邪をひいて熱を出した時には、抗生物質と解熱剤とおもわれている方もいるようですが、風邪の90%程度はウイルス性なので、抗生物質は効きません。また、熱が出るのはウイルスが熱に弱いので、体の防御反応として熱を出しています。故に、解熱剤で平熱にしてしまうと、免疫力が低下して回復が遅れます。高熱で解熱剤を使用する場合は、37~38℃位までの薬量にします。(本ブログ2013年12月10日の風邪への対処法、2014年6月1日の解熱剤で免疫力低下)

インフルエンザは、予防注射で感染する確率を下げることができます。1回の注射では感染を約50%程度減少させ、2回注射では70~80%程度低下させるのですが、予防注射を2回しても4~5人に1人は感染します。予防注射は、午後よりも午前中にすると抗体価が高くなりやすくてより感染しにくくなりますので、午前中に実施している病院を選んでください。。

私たちの防衛策として、うがい、手洗い、水分補給、部屋の加湿、有酸素運動やバランスの良い食事による体力増強などで、感染しないようにしましょう。うがいは、喉が腫れて痛い時などはうがい薬を使いますが、通常の健康状態のときは水道水でOKです。殺菌作用のあるうがい薬を健康時から常用していると、有用菌まで殺してしまうので、逆効果になるからです。こまめな水分補給は、喉の菌やウイルスを洗い流すのに有効で、飲み込んで胃に入ると胃酸で死んでしまいます。食事は、体を温めるものを摂って、食後にはヨーグルトなどの乳酸菌で免疫力を鍛えましょう。私の研究している漢方飲料の“美露仙寿”(めいるせんじゅ)は、免疫細胞の活性化や基礎代謝の向上、乳酸菌の増加作用などが確認されています。多くの愛飲者から、風邪をひかなくなったとのお声をいただいています。特にこの時期は、受験生にもお勧めです。

受験生の健康管理

2016年01月10日

1月も中旬になって、寒い日が続いています。この時期になると、受験生は追い込みに入ります。私が人生の中で一番勉強をしたのは、博士号取得の受験勉強でした。食事と風呂以外の時間は勉強という生活を、十年以上も積み重ねてきましたが、この間は風邪もひかず、精神的にも大変充実していたと思っています。本ブログの読者の方々にも、お子さんやお孫さんに受験生がいらっしゃるでしょう。受験勉強で知識を詰め込むのは大切ですが、同じ位重要なのは、受験終了までの長期の健康管理です。長期の受験勉強期間をより効果的にするには、上手な睡眠と風邪対策です。

私の受験生時代は、“4当5落”で、4時間の睡眠時間なら合格できるが、5時間寝ると落ちるといわれていました。しかし長期の受験勉強には、少なくとも5~6時間の睡眠時間は確保した方が、良い結果をもたらすと考えられます。昨年8月20日の記事(睡眠と健康:成長ホルモン)のように、体の成長や疲労回復に関与する成長ホルモンは、深夜の1~2時頃に分泌されます。従って、1時より前には就寝して、朝は6時頃に起床するのが理想です。試験は午前中から始まるので、朝型の生活パターンにしておいた方が、実力が発揮できます。良質の睡眠を確保するには、就寝前のスマホやパソコンは控えてください。また、入浴はシャワーではなく、少し温めの湯船にゆっくりと浸かった方がよく眠れます。

2. 風邪対策

2013年12月10日の記事(風邪への対処法)のように、風邪の原因の約90%はウイルスです。受験の時期にはインフルエンザウイルスが蔓延しますが、予防の基本は手洗い、ウガイ、部屋の加湿です。ワクチン注射の効果は、1回注射でおよそ50~60%、2回注射では約80%位ですから、注射をしても絶対に感染しない訳ではありませんが、予防注射はした方が安全です。なお、効果はおよそ5~6ヶ月位です。さらに感染し難くするには、普段から免疫力を高めておくことが必要です。2014年11月20日~12月10日(免疫(1)~(3))の記事のように、バランスの良い食事、睡眠、有酸素運動が有効です。運動の時間がもったいないと思われるかもしれませんが、運動で免疫力の向上以外にも、血流の改善や基礎代謝の向上、ストレス解消などがあるので、勉強の質があがります。

受験生にお奨めは、私の研究している漢方飲料の『美露仙寿:めいるせんじゅ』です。風邪の予防や疲労回復には最適で、その医学的根拠は下の医学論文にまとめてあります。論文のコピーや解説希望の方、健康管理に関するアドバイスをご希望の方は、無料健康相談へお電話ください。満開の桜を家族で楽しめる春になるように、ご両親や祖父母から受験生に美露仙寿をプレゼントしてあげませんか。合格をお祈りします。

【美露仙寿の健康増進効果に関する医学論文】

  1. 7 種漢方成分含有健康飲料の安全性と作用の医薬学検査.医学検査561(3):41-547, 2012
  2. Ergogenic Capacity of a 7-Chinese Traditional Medicine Extract in Aged Mice.Chinese Medicine (3): 223-228, 2012.
  3. 7 種漢方健康飲料の未病改善効果.未病システム学会雑誌21(3): 1-6, 2015

免疫(1)

2014年11月20日

 月日の経つのは早いものです。ハロウィンの仮装も終わって、街はクリスマスの雰囲気に染まってきました。毎年、この時期になると流行るのが風邪です。周りにも風邪ひきさんを見かけるようになりました。マスクをしている方も多く見かけます。何時も不思議に思っているのは、鼻を出してマスクをしている人です。何のためにしているのでしょうか?全く意味をなしていません。質問したいと思いつつも、失礼なのでそれも出来ずに、?????ばかりです。

昨年の12月10日のブログに書きましたが、風邪の原因の80~90%はウイルスです。ウイルスには抗生物質は効きません。ウイルスを殺す薬は無いので、治すには免疫力しかありません。(インフルエンザに使うタミフルやリレンザは、ウイルスの増殖を抑えているだけで、殺している訳ではありません。また、風邪薬は、症状は強制的に抑えますが、原因となるウイルスをより長い期間体内に留めることになります。)美露仙寿の集いに参加されている会員さんは、免疫について専門家並みの知識を持っておられる方も多いのですが、一般の方は殆ど知識が無いようです。今回から、シリーズで免疫を勉強していただき、風邪などひかない身体作りを目指しましょう。初回は、免疫細胞の役割分担です。

免疫力とは?

免疫力とは文字通り、疫(流行性の病気、はやりやまい、疫病などの病気)から免れる(まぬがれる)力のこと。病原菌などが体内に入っても、この免疫力が高ければ発症には至らず、発症した場合でも免疫細胞が病原菌やウイルスと闘い体を守ってくれます。

免疫力は、20歳前後をピークに年齢とともに衰え低下していきます。さらに偏った食生活や運動不足などの生活習慣やストレスなどによっても低下します。免疫力が低下すると、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなり、心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病、さらにはガンなど命を脅かす病気を招くことにもなります。免疫力を向上させることは、より元気な体を維持するためには不可欠なのです。

免疫と白血球

免疫細胞とは、血液中に含まれる白血球のこと。血液を通じていたるところに存在し、全身をくまなくパトロールすることで、常に病原体から体を守ってくれているのです。白血球には種類ごとに、「外敵を発見する」「その情報を伝達する」「外敵を攻撃する」など、異なった役割があります。例えるなら、日本の国(身体)を守る自衛隊(免疫細胞)のようなシステムが機能しています。司令官(ヘルパーT細胞)が外敵への攻撃を指示すると、陸、海、空の部隊(好中球、NK細胞、B細胞、T細胞)が敵(病原菌やウイルス)と戦うのです。それぞれの役割分担を説明します。

  • マクロファージ

アメーバ状の細胞。体内に侵入してきた異物(抗原)を発見すると急行し、自分の中に細菌、ウイルス、ホコリなど次々と取り込んで貪食処理します。貪食処理し切れない場合は、「外敵が来た!」とヘルパーT細胞に敵の情報を伝え、助けを求めます。また、ヘルパーT細胞と共同で、がん細胞などを攻撃するNK細胞を活性化(元気)します。

  • 好中球

好中球は強い貪食・殺菌能力を持っていて、主に細菌やカビを貪食します。好中球が戦に勝った後に、名誉の戦死したものが“膿”です。

  • リンパ球

リンパ球には、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞、B細胞、NK(ナチュラル・キラー)細胞などがあり、それぞれ役割分担があります。会社でも、社長、営業、経理、庶務に掃除をしてくれるおばちゃんがいます。それぞれの役割が全部機能しないと、会社は回りません。

1. ヘルパーT細胞

免疫の司令塔です。マクロファージ(偵察&初期攻撃隊)から敵(病原菌=抗原)の情報を受け取り、B細胞に抗体(抗原をやっつける武器)を作るよう指令を出します。また、マクロファージと共同で、キラーT細胞、NK細胞を元気にさせます。

2. B細胞

B細胞は、骨髄で産生され胸腺を経由することなく血液中に入ります。ヘルパーT細胞の攻撃指令を受けて、敵をやっつけることができる抗体(武器)を作るリンパ球です。

3. サプレッサーT細胞

ストッパー役。抗体が外敵撃退に成功したら、もうこれ以上抗体を作らなくてよいと、B細胞に指示します。これで身体は、外敵侵入前の状態にリセットします。サプレッサーT細胞の指令が不完全で、攻撃停止の命令が正確に伝わらずに攻撃をし続けている状態がアレルギーです。アレルギーは、免疫作用が強すぎて起こるイメージがありますが、実はサプレッサーT細胞がその役割を果たせないことに起因しているので、免疫の未成熟状態なのです。

4. キラーT細胞

ヘルパーT細胞から指令があると、ウイルス感染細胞、がん細胞などを認識して破壊します。殺し屋という意味で、キラーT細胞と呼ばれます。

5. NK細胞(ナチュラル・キラー)

NK細胞は、常時、独自に体内をパトロールし、がん細胞やウイルスなどの外敵が侵入すると、攻撃命令なしに単独で立ち向かい、ウイルスなどを殺す強力なリンパ球です。キラーT細胞は、外敵と味方を勉強して判別できるようになるのですが、NK細胞は生まれつき外敵を攻撃する能力を持っているので、ナチュラル・キラーと名付けられたのです。

次回は、免疫力を高めるための知識です。