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中性脂肪

健診データの読み方・考え方(1:検査前は絶食)

2019年04月01日

今日4月1日は、新学期・新年度の始まりです。私が講義を担当している短大では、毎年この日に健康診断があります。

本ブログは、知っていると役に立つ「健診データの読み方・考え方」について、今回からシリーズでお送りします。第1回は、何故に検査前は食事をしてはいけないかを説明します。

健診の前日は夜9時までには食事を済ませ、当日も食事をしないように注意があります。その理由を、上の図に示しました。血液検査では、中性脂肪や血糖値が上昇しますので、正確な判断が出来なくなります。食事の影響は長時間残りますので、前日の深夜まで飲食していると、当日に食事をしていなくても、中性脂肪や血糖値は影響されます。

また腹部の超音波検査(エコー)では、食べ物と一緒に空気が入るので、検査が不可になります。その理由は、超音波は空気で遮断されるためです。さらに、食事をすると膵液が分泌されて、膵臓が萎縮しますので、検査しても判定不能になってしまいます。

検査前に激しい運動をすると、筋肉細胞が壊れて中の酵素(CK:クレアチンキナーゼ)が血液中に出てくるので、結果としてCKが高値になります。検査当日は、運動も控えて下さい。

 

コレステロール:糖質制限により急上昇のメカニズム

2018年08月01日

糖質制限により脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が上昇したとの相談を複数の方からいただきましたので、その機序を説明します。

コレステロールは、食事から20~30%、体内合成が70~80%で成り立っていて、食事で摂取する量が多ければ、体内合成が減って、トータルで一定になるように調整されています。ところが、極端な糖質制限をするとエネルギー源の殆どが脂質とタンパク質になります。食事からの脂質の摂取量が極端に増えると、体内の合成を減らす調節が対応出来ずに、脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が増えていきます。

糖質は取り過ぎるといけないのですが、極端な糖質制限は栄養バランスを崩すので、健康を害する因子になります(糖質制限で糖尿病のリスク増)。理想的で健康的な栄養の取り方は、糖質50%でタンパク質と脂質で50%です(健康長寿は炭水化物の減と脂肪の増)。

なお、LDLが高いと血管を詰まらせて心筋梗塞などを引き起こすというのは、単なる脅しで医学的根拠はありません。アメリカではコレステロール値の測定は必要ないし、高くても治療はしません。(遺伝性の高脂血症を除く)(コレステロール:アメリカでは検査も治療も必要なし )しかしながら、何事もバランスが大事です。
私の意見は、極端な糖質制限を止めて、食事のバランスを糖質50%とタンパク質と脂質で50%にすることです。理想的な食事のバランスは、糖尿病の食事療法であり、これは健康な方にも適用されます。

「ホームページからの健康相談」の上手な利用法 (LDL)

2016年07月01日

ホームページからの健康相談を、沢山の方々にご利用いただきまして、有難うございます。相談の検査項目のみならず状況把握ができる詳細なデータあると、より適切なアドバイスをすることができます。ご相談件数が最も多いLDLと血圧(次回)を例に、上手な相談の仕方を説明させていただきます。

相談例 【LDLが200 mg/dl を越えています。短期間に低下する方法をアドバイスください。】

上記の場合、LDLの記載しかありません。ご相談のLDLの高値の原因として食べ過ぎ、アルコール摂取過多、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣と、体質的なもの(遺伝的)があり、原因により対応が違ってきます。生活習慣なのか体質的なものかを判断する為に、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況などを総合的に見て、どちらが原因かを判断します。生活習慣が原因の場合には生活改善である程度まで低下しますが、遺伝的な場合には服薬が必要です。以下に、A、B、Cの3人の例で説明します。

脂質4

Aの場合は、中性脂肪と他の3項目も全て高いので、暴飲暴食が原因の可能性が強い症例です。このタイプは、カロリーの摂り過ぎなので肥満がある場合が多いです。身長と体重の記載があれば、さらに確定的です。カロリー制限と有酸素運動で、高脂血症の改善が期待できます。

高脂血症改善 Bの場合は、BMI=22.1 の標準体重であることから、暴飲暴食の期間が短いことが推測されます。元々やや高めの脂質に加えて、最近の運動不足と食べ過ぎが原因で値が上昇したと考えられます。1カ月前から始めた運動と食事制限で、中性脂肪は著しく改善していますが、総コレステロールは運動と食事制限で低下するには長期間を要しますので、まだ成果が出ていません。なお、総コレステロールは変動幅が小く極端に低下することは有りませんが、運動により基礎代謝を向上させることで、暴飲暴食をする前の値くらいまでゆっくりと低下していくと予想されます。

Cの場合は、総コレステロールとLDLが高いのですが、中性脂肪は高くはないので、食事が原因とは考え難いです。さらに、HDLが低くてLDLとのバランスが崩れているので、家族性の高脂血症(遺伝性)の可能性が高いと考えられます。このタイプは、肥満は無く痩せている場合も多いです。家族内にも同様の高脂血症者がいる可能性があります。この症例の改善には、高脂血症薬の服用が必要になります。

他には、糖尿病や甲状腺の病気、薬剤が影響して上昇するケースもあります。ですからLDLが高いといっても、食事や運動療法で改善が見込まれる場合、服薬が必要な場合、疾患の治療で低下する場合などがあります。LDL以外にも、罹患している病気、服用している薬剤、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況など、多くのデータを添付してくださることで、より的確なアドバイスが可能になります。

【参考記事】

2015年10月20日:ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

2015年4月10日:コレステロールは食事制限の必要性なし!

2014年5月1日:基準値(正常値)のウソが修正される?

2013年10月30日:健康人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)