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肥満

朝食抜きが太るメカニズム

2018年11月10日

朝食を抜くと太りやすいことは、以前から経験的に知られていました。その典型的例が、相撲取りの食事です。相撲取りは太っていた方が有利なので、太るのも大事な稽古となっています。食事は、朝食は摂らずに朝と昼の兼用食と夕飯の2回です。

朝食を摂らないと何故に太りやすいのかのメカニズムは、これまで解っていませんでしたが、名古屋大学の研究グループが、ラットを使った実験で明らかにしました。実験方法は、ラットを「午前8時に朝食を摂る人」と「朝食を抜いて正午に最初の食事を摂る人」を想定した2つのグループに分け、それぞれに同じ量の高脂肪食を14日間与えました。その結果、朝食を抜いたラットのグループは、体重と体脂肪の両方が増えていました。この時、脂肪の代謝に関わる肝臓の体内時計が乱れていたこと、体温の上昇時間が短くてエネルギー消費が小さくなっていることが認められていました。

人間の身体は、朝起きて太陽の光を浴びることや朝食を摂ることで、活動をする準備が始まりますので、忙しい朝でも食事を摂ることは健康に欠かせません。(朝食抜きは脳出血リスク36%増睡眠と健康

 

消毒剤の多用で肥満児

2018年10月20日

家庭で消毒剤を多用すると、子供が肥満になりやすいことを、カナダの小児科医などの研究チームが医学専門誌に(CMAJ)に発表しました。

乳児757人において、家庭で掃除に使用する ①消毒剤、②合成洗剤、③天然素材の洗剤と、肥満度を反映するBMIおよび腸内細菌叢との関連を、3歳時点で調べています。その結果、殺菌作用のある洗剤で拭き掃除を多くする①群では「ラクノスピラ科」の腸内細菌が優勢になり、3歳時点でのBMIが高くなる肥満傾向が認められました。逆に、③の天然素材の洗剤を使用している群では、ラクノスピラ科の細菌が減少して肥満のリスクが半分に低下していました。

腸内細菌のバランスは3歳ころまでに決まるのですが、殺菌作用の強い消毒剤は腸内細菌のバランスに影響を与えている可能性が示唆されます。また、腸内のラクノスピラ科の細菌群が多いと、脂肪が蓄積しやすいことが動物実験で明らかになっていますので、結果として肥満になり易いと考えられます。

小児期は、抗生剤の多用で肥満になり易いこと(抗生剤で肥満児)や、アレルギー疾患が発症しやすい体質になること(抗生剤使用の乳幼児はアレルギー疾患の発症リスクが1.7倍)も報告されています。これらも同じように、抗生剤で腸内細菌が死んで細菌叢のバランスが崩れる事が原因と考えられています。大切な家族を衛生的な環境で生活させたい気持ちは理解できるのですが、化学薬品を必要以上に使用することは、逆に健康を害することになります。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですので、程々に。

 

女子高生の過半数が「自分は太っている」と考える

2018年05月01日

日本の女子高生の過半数(51.9%)が、「自分は太っている」と考えていることが国立青少年教育振興機構の調査で報告されています。しかしながら、実際にBMIが25以上の肥満はわずかに2.7%のみでした。この結果は、女子高生が必要以上にダイエット思考が強いことを示しています。ちなみにアメリカの女子高生では19.7%で、日本よりもはるかに低値であり、日本ほど痩せることに執着はないようです。
この調査結果は、本ブログ(イソフラボンで痩せるは根拠無し、消費者庁が改善措置命令、2017.11.10)で示したように、太っていないのに自分は太っていると思い込んでいるケースや、痩せているのが美人と勘違いして、痩せたいと願う女性が多いことに原因があります。私が講義に行っている短大の女学生からも、「痩せるにはどうすれば良いでしょうか?」という質問を度々受けますが、全く肥満はありません。

美人(魅力的な女性)の第一条件は健康であり、そして生き生き、ハツラツしていることです。痩せすぎは不健康で、逆に女性の魅力を落としてしまいます。

 

健康クイズ ③  食事と健康

2018年03月20日

健康クイズの第3回目は、健康の基本である食事に関する問題です。

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問題① 痩せは

a.  健康で長生き

b.  病気しやすく短命

 

問題② 朝食抜きは

a.  痩せやすい

b.  太りやすい

 

問題③ 小児の肥満は成長すると

a.  肥満が残る傾向がある

b.   改善する

 

問題④ アルコールは

a.  肥満とは関係ない

b.  エネルギーに変換され肥満のもとになる

 

問題⑤ 肥満と血圧の関係は

a.  関係ない

b.  肥満で血圧が上昇

 

問題⑥ 痩せの大食い(ギャル曽根、もえアズなど)が肥満しないのは

a.  栄養分が吸収されにくい特異体質

b.  トクホのウーロン茶やコーラを飲んでいる

 

問題⑦ 肥満解消には

a.  キャベツダイエット、リンゴダイエット

b.  多種類の食べ物でカロリーは制限

 

問題⑧ 肥満解消の減量は

a.  短期間で行う

b.  月に1~2kg位ずつ

 

問題⑨ 卵の摂取でコレステロール値は

a.  影響ない

b.  上昇する

 

問題⑩ 健康増進のための糖質制限とは

a.  糖質ゼロを目指す

b.  栄養摂取量の約50%に調整

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正解① 痩せは

b. 病気しやすく短命

BMIが18.5以下の痩せ体型は、免疫力が低いので病気しやすく、体力の蓄えが少ないので短命です。病気になる可能性が最も低く健康な体型は男女ともにBMI=22で、長生きなのはBMIが25前後の小太り体型です。従って、健康で長生きするためには、BMI=22~25位の体型がベストですので、食事と運動でコントロールしましょう。

 

正解② 朝食抜きは

b.  太りやすい

朝食を抜いて昼と夕食の2回は、朝昼夕の3食よりも太りやすい傾向があります。相撲取りは太るために、朝と昼の兼用食と夕食の2食にしています。

 

正解③ 小児の肥満は成長すると

a.  肥満が残る傾向がある

小児の肥満は、脂肪細胞の数を増やし、大人になってもその傾向が残りやすいのです。小さいときから食生活を管理して、肥満を避けましょう。

 

正解④ アルコールは

b.  エネルギーに変換され肥満のもとになる

アルコールは3大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)ではありませんが、エネルギーに変換され体内に蓄積されて肥満の元になります。アルコールは、1グラムあたり7.1キロカロリーなので、ビール中瓶(500ml)のカロリーは200kcalになり、ご飯1杯(100g=160kcal)よりも多いのです。また、アルコールは食欲増進作用もあるので、食べ過ぎて肥満する傾向が出ます。要注意!

 

正解⑤ 肥満と血圧の関係は

b.  肥満で血圧が上昇

肥満すると、体重1kg当たり血圧は2mmHg程度上昇します。肥満体で血圧が高めの人は、食事療法と運動療法で減量することで改善が期待できます。安易に薬に頼らず、食事と運動を試しましょう。

 

正解⑥ 痩せの大食い(ギャル曽根、もえアズなど)が肥満しないのは

a.  栄養分が吸収されにくい特異体質

桁違いの大食いでも太らない体質は、食べたものを素早く胃から腸へ送り、栄養分を少ししか吸収しないで排泄する特別な体質です。特保のコーラやウーロン茶の栄養吸収阻害作用は、気休め程度の小さなものです。

 

正解⑦ 肥満解消には

b.  多種類の食べ物を摂るがカロリーを制限

キャベツダイエットやリンゴダイエットなどのワンフードダイエットは、栄養成分がかたより健康を害することと、変化の少ないことで飽きて失敗します。栄養バランスは崩さずに、食事全体のカロリーを制限する食事にしましょう。糖尿病の食事療法は、糖尿病のみならず一般の人の食事の基本になります。さらに、運動療法も組み合わせることで、効果が大きくなります。

 

正解⑧ 肥満解消の減量は

b.  月に1~2kg位ずつ

短期間で急激に減量すると、精神的ストレスが溜まることで挫折してリバウンドする可能性が高まります。また、急激すぎる体型変化は身体への負担となり、寿命を縮める場合もあります。月に1~2kg位ずつ、無理なく減量することが成功の秘訣です。

 

正解⑨ 卵の摂取でコレステロール値は

a.  影響ない

食事から摂取するコレステロールは全体の20~30%程度で、残りの70~80%は体内で合成されます。卵でコレステロールの摂取量が増えた場合は、合成量が減るので、全体量は変化がありません。

 

正解⑩ 健康増進のための糖質制限とは

b.  栄養摂取量の約50%に調整

3大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)のうち糖質を65%以上摂取すると、血糖値の上昇や肥満などを招くので、50~55%程度に制限すべきです。糖質はゼロまで減らすことが糖質制限と勘違いしている人がいますが、制限しすぎると栄養バランスを崩し健康を害します。

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いかがでしたか?健康長寿のために、備え(勉強)あれば憂い(病気)無しです。バランスの良い食事と、適度な運動が、健康維持には不可欠です。

睡眠不足で肥満

2017年02月20日

睡眠時間が不足すると肥満になる仕組みを、筑波大学と早稲田大学の研究チームがそれぞれ報告しています。筑波大学はレム睡眠との関係を、早稲田大学は食欲抑制ホルモンとの関与を示しており、両研究チームは異なる仕組みではありますが、結果として睡眠不足が肥満になる結果を導いています。

筑波大学の研究では、睡眠不足の人と十分な睡眠時間をとっている人を比べると、睡眠不足の人は高カロリーの食品をたくさん食べて肥満になり易くなることに注目しています。その原因としているのが、睡眠不足の場合は夢を見る浅い眠り(レム睡眠)が減少して、脳の前頭前皮質(思考や創造性を担う脳の中枢部分)の働きに影響を与えることで、砂糖や脂質などの高カロリー食材を過剰に食べたくなる仕組みです。

早稲田大学の研究では、睡眠時間が7時間と半分の3時間半のグループの食欲に関するホルモンを測定しています。その結果、睡眠時間が短いグループでは食欲を抑えるホルモンが減少することで、空腹感が増す結果となっていました。短い睡眠時間の場合は、空腹感から食事量が増えることで肥満につながるのです。

本ブログの2015年8月20日と9月1日の「睡眠と健康」でも書きましたが、睡眠不足では子供は学力低下、大人は糖尿病や心疾患などに罹患する確率が上昇することが知られています。女性では、肌の回復力が低下して肌荒れを起こしやすくなります。健康と美容のために、早寝早起きで十分な睡眠がとれるように心がけましょう。