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ダイエット

減量よりはるかに難しいリバウンド防止

2015年07月10日

最近、メタボの体が短期間で筋肉質の締まった体型に変身するテレビCMが放送されています。最も病気に罹り難い体型は、男女ともにBMI=22であることは、2013年9月10日の本ブログで紹介しました。飲み過ぎ・食べ過ぎで体に蓄積された脂肪は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の原因になるので、食事の管理や運動で減量するのは健康にとって重要です。しかしながら、短期間での急激な減量は、維持できずにリバウンドして逆に肥満を助長してしまいます。減量よりも難しいのは、その体型を維持できるかどうかなのです。

リバウンドが更なる肥満を招くメカニズムは、ホメオスタシス効果です。この効果とは、過度の食事制限で空腹状態になると、少しの栄養でも生き延びられるように、栄養分の吸収効率が高くなり、加えて栄養の消費効率を下げるように体が変化していくのです。ダイエットに挫折して以前と同じ食事量に戻ると、ホメオスタシス効果で失敗毎に太り易くなっていくのです。

減量に挫折する最も大きな理由は、空腹に耐えられなくなること(ストレス)なので、短期間である程、減量が大きければ大きい程に、これを継続するストレスは大きくなり、失敗する確率が高くなるのです。減量を成功させて、その体型を維持するには、無理をしないことが重要です。1ヶ月の目標として1~2 kgの減量が、ストレスを感じないで、体にも無理がないペースです。これでも1年間の継続で12~24 kgになる計算で、十分な減量です。減量の基本である食事は、糖尿病の食事療法の本(糖尿病患者のみならず、健康な人の食事の基本になります。)を1冊購入して、低カロリーで栄養バランスが良いうえに、腹持ちの良いメニューを考えます。自分で出来そうにない人向けには、糖尿病患者用の低カロリーな宅配食などもあります。運動は、続けることが重要なので、楽しい種目を選択します。スポーツクラブなどで、友人や家族と一緒にダンス、水泳、テニスなどを楽しむと継続できるので、無理のない減量に繋がります。

『減量よりもリバウンド防止の方がはるかに難しい』ことは、リバウンドしている大勢の失敗例が物語っています。繰り返しますが、大切なのはストレスを感じないで、如何に楽しみながら減量し、それを維持できるかなのです。減量を目指すからには、1回で成功するような方法にしましょう。

謹賀新年

2014年01月01日

明けましておめでとうございます。今年も健康で過ごせるように、役に立つ情報をお送りしますので、宜しくお願いいたします。

1年の健康の計は元旦にあります。今年の健康目標をたてましょう!健康を維持するためには、薬や根拠のないサプリメントには頼らないで、バランスの良い食事と適度な休養、加えて適度な運動といえるでしょう。今月はこの3つをお送りします。

まず、バランスの良い食事です。人間の体は、多くの栄養素のバランスによって維持されています。ですから、必要な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。○○ダイエットなどと称して、偏った食事を勧めるのを見かけます。これは、偏った栄養素で体調をくずして、その結果として痩せるものですので、不健康の極みです。病気の民間食事療法でも、極端に偏った栄養素を推奨するものがありますが、これも良くありません。バランスの良い食事の典型は、糖尿病の食事療法の本で勉強するのが良いでしょう。これは、栄養バランスを重視していますので、糖尿病患者だけではなく、健康な方も当てはまります。腎臓病や肝臓病では、これに塩分やたんぱく質などの調整をすれば良いのです。具体的には、食品は、それぞれの持つ栄養素によって6つのグループに、働きによって3つのグループに分かれます。それぞれのグループから食品を選び、糖質を6~7割程度、脂質2割程度、たんぱく質を1割くらいに、ビタミンやミネラルを追加します。この組み合わせてバランスのよい食事をつくることが大切です。

病気に罹りにくい体型は BMI = 22

2013年09月10日

前のブログで、長生きなのは小太りと書きました。では、太めの方が絶対的に良いのでしょうか?実際に、太めの方が長生きであることは事実です。ただし、BMIが25以上の肥満の場合は、病気になる率(有病率)が高くなるのです。上図のように、最も病気になりにくいのは、男性は22.2で、女性は21.9になっています。すなわち、男女ともにBMIを22位にコントロールしておくのが病気に罹らないのです。従って、病気にならずに、しかも長生きするためには、BMIを22~25位に保つべきなのです。

BMIを理想的な体格である22~25位にするためには、食事と運動が基本になります。間違っても『みるみる痩せる』などの宣伝文句の薬品や健康食品類は使ってはいけません。特に、海外からの輸入品は要注意です。後の項でも説明しますが、これらの商品の中には日本では承認されていない医薬成分が混入していることもあり、肝障害などの健康被害や、最悪では死亡例もあるのです。
これまでに沢山のダイエット方法が出ては消えていきました。これは何を意味しているかというと、今まで登場したダイエット方法は全て失敗しているということです。その原因として、大きく2つあると言えます。1つ目は、健康に悪いダイエット方法で、その代表がリンゴ、バナナ、キャベツなど、1種類の食品だけを食べ続けるダイエット方法です。この方法の原理は、この食品だけでは偏った栄養成分であるために、体内の蓄積した成分を使い切って不健康になり、痩せていくものです。健康状態を保つための栄養バランスは、糖質(ごはん類)が6~6.5割、脂質が2~2.5割、蛋白質(肉、魚類)が1~1.5割に加え、ビタミンとミネラルが必要なのです。ですから、1つの食品だけを食べ続ければ、栄養が偏って、健康を害して痩せるのですが、こんなバカなことが体に良いわけがありません。さらに、1つの食品だけを食べ続ければ、当然のことながら飽きが来ますので、必ず挫折します。
2つ目の失敗の理由は、急激に痩せようとするので失敗して、リバウンドで逆に太ってしまうケースで、圧倒的に多いのです。それは、1か月で10キロや20キロも痩せたなどという宣伝文句に踊れされてしまうからです。ダイエット希望者の心理として、早く結果を出したと思うものです。そこに付け込んで、業者は短期間で痩せられると宣伝すれば、客を得やすいのです。実際は、短期間で急激に痩せたとしても、体の内部の代謝が追い付いていないので、多くはリバウンド状態になるのです。
失敗しないダイエット方法は、1か月当たり1~2キロずつ、カロリー制限と有酸素運動を組み合わせての減量です。これは、糖尿病の食事と運動療法をそのまま取り入れれば良いのです。健康な状態なのに糖尿病の療法?と思われるかもしれませんが、糖尿病の食事療法や運動療法は、健康維持や多くの病気の治療時の基本に使われるのです。糖尿病の食事療法は、前述の糖質、蛋白質、脂質のバランスを崩さずに、カロリーを制限するもので、最も健康的なダイエット方法なのです。また、エネルギー代謝を高めるための有酸素運動は、糖尿病の運動療法をそのまま利用できます。何故に最も確実な方法が見向きもされないのかといえば、多くの肥満者は、この方法に派手さが無いので、たったの1キロや2キロでは焼け石に水を思うからでしょう。しかし、月に1.5キロ痩せたとしたら、1年では18キロで、2年なら36キロ確実にやせるのです。しかも、リバウンドの危険性も極めて少ないのです。確実に、しかもリバウンドなく痩せたい方は、糖尿病治療の本を買って、実行してください。

長生きの体型は小太り

2013年08月30日

では、実際に長生きなのはどんな体型なのでしょうか?脳卒中や心臓病の既往歴のない30歳以上の日本人8924名を対象として、BMIと死亡率の関係を19年間にわたり調査すると、BMIが23~24.9で死亡率が最も低く、BMIが21.0~22.9ではこれとほぼ同等でした。これらの範囲より太っていてもやせていても死亡率が高く、特にやせている方が太っているよりも死亡率が高くなることが分かったのです。つまり、日本では肥満とされるBMI25より少し下で死亡率が低いのです。健康な65~79歳の日本人26747名を対象として平均11.2年の追跡調査でも、BMI 20~29.9の死亡率が低いことが分かりました。また、この範囲より太っていてもやせていても死亡率が高く、壮年者を含めた先の研究結果と同様、特にやせている方が太っているよりも死亡率が高くなることが確認されました。

他にも沢山の研究があります。1995年~2006年に宮城県内の40歳から79歳の男女約5万人を対象に追跡調査を行い、BMI別の平均余命を割り出したところ、最も長生きできるのはBMI25以上30未満の人でした。米疾病対策センターが医学誌に発表した最新のレポートでも、肥満指数(BMI)が25~30未満の「過体重」のグループの方が、BMIが18.5~25未満の「普通体重」のグループよりも死亡リスクが6%も低いという結果でした。この研究は、北米や欧州、南米、アジアの100件近い研究データから成人約290万人を分析したもので、信頼度が高いうえに、あらゆる人種で普遍的に認められる結果といえます。

*BMI:ボディマスインデックス(body mass index)の略で肥満度の指標です。BMIは、「体重(kg)/身長(m)の二乗」から求められ、世界的な基準では25以上が過体重、30以上が肥満とされていますが、日本では25以上を肥満と定義しています。

つまり、どちらかと言えばやや太めの方が長生きするので、過度なダイエット志向に警鐘をならすものです。長生きしたけば、やせ過ぎは避けるべきなのです。なぜ肥満者のほうが長生きするのでしょうか?その説として、

①太めの人は痩せている人に比べて免疫力が高く、感染症にもかかりにくい。

②コレステロール値も高いほうが、頑丈な体を作るのに不可欠な細胞膜やホルモン、ビタミンDを多く作ることができる。
③脂肪の蓄積があったほうが満足に食事の摂れない病気に罹った時でも生き残れる。
④肥満者のほうが平時から体のメンテナンスに気を遣うので、病気を早期発見できるなどの可能性、が挙げられます。

 厚生労働省が如何にいい加減な根拠で病人作りをしているかを、ご理解いただけたことでしょう。後に、沢山の国民を病人に仕立て上げる方法を詳しく説明します。

腹囲(メタボ検診)に根拠なし

2013年08月20日

偉い役人たちが利権を確保するために如何にいい加減なことをしているのかの代表的事項は、メタボ検診です。メタボ検診とは、ご存じの通り、2008年(平成20年)4月1日から義務化され、腹囲(男性 85cm以上、女性 90cm以上)、血糖値(空腹時血糖値100mg/dl以上またはHbA1c 5.2% 以上)、高脂血症(中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール 40mg/dl未満)、血圧(収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上)を測定するものです。メタボ検診を始めるに当たっては、その意義を心血管死亡率の低下などをうたっていました。しかしながら、その根拠は非常に乏しいのです。

例えば、腹囲で考えてみましょう。身長180cmで筋肉質のスポーツマンの腹囲が86cmとします。身長からすると非常にスマートで、何の問題もありませんが、メタボ検診ではアウトなのです。逆に、身長150cmで腹囲が89cmの主婦ではどうでしょうか?これは、メタボ検診の腹囲はクリアーしていますが、どう考えても健康的とは言えません。この様に、腹囲の基準は疑問符が沢山つくのです。しかも、腹囲がメタボ健診の必須項目になっているのは、世界中でも日本だけなのをご存知ですか?海外では、腹囲はメタボ健診の1つの因子にはなっていますが、必須項目ではありません。しかも、アメリカ人は体格が大きいので男性の腹囲は100㎝なのです。ならば、日本人でも体格の良い人は100㎝でなければいけないと思うのですが、、、、、

メタボ検診が有用なのか、根拠の無いものなのか検証すべき事項は、身長、体重、血圧、空腹時血糖、中性脂肪、HDL コレステロール、LDL コレステロールの測定に加えて、腹囲を測定するこが心血管イベントの発生を予測するために有用であるかどうかという解析です。多目的コホート研究*では、危険因子の集積による全死亡と心血管死亡の絶対数と相対危険度を、肥満者と非肥満者で比較した数値を示しています。それによると、男女とも肥満者と非肥満者で相対危険度は差がなくて、絶対数は非肥満者の方が逆に多かったのです。

*(JPHC 研究;生活習慣についての情報を集め、10年以上の長期にわたって疾病の発症に関する追跡を行うことによって、どの様な生活習慣が疾病の発症に関連しているのかを明らかにすることを目的とした研究。全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究)

読売新聞は、平成22年2月9日の夕刊に「メタボ腹囲根拠なし」という見出しの記事を掲載しました。これに対して、厚生労働省は平成22年2月16日にこの報道を批判した通知を出したのです。しかしながら、これまでの研究で、2月9日の読売新聞夕刊の「メタボ腹囲根拠なし」という見出しは的確なことはあきらかです。腹囲測定は無駄であり、メタボ健診も無駄ということになるのです。読売新聞への官僚の報道批判は、逆に官僚の墓穴を掘る結果となっていました。

 では、何故にメタボ検診が制度化されたのでしょうか?それはメタボ検診が病院や製薬会社にとって最もおいしい分野だからです。つまり、①高血圧、高血糖、それに高脂質血症は患者が多いのです。(後に説明しますが、実は患者を多く作っている。)商売をされている方はみなさんが希望するように、沢山のお客さんが欲しいのです。その点では、この項目は千万人単位のお客を抱えている分野なのです。②次に、この疾患は直ぐには完治しません。治療には長期間かかるので、その間はずっとお得意様でいてもらえるのです。特に、高血圧で投薬が始まると、一生薬はやめられませんと言われる患者さんが沢山います。本当は、食事や運動などの生活指導で降圧剤を止められることも多いのですが、そんなことをしてはお得意様を無くすことになるので、殆どの医療機関では生活指導をすることは無いのです。③加えて、これらの患者は緊急性や重症化していないことが殆どなので、命にかかわることがありません。従って、専門でない医師が多少マトを外れた治療をしても死ぬことはないし、訴えられる危険性もありません。この様に、メタボ検診は医療関係者にとって最もおいしいのです。