ホームページからの健康相談を、沢山の方々にご利用いただきまして、有難うございます。相談の検査項目のみならず状況把握ができる詳細なデータあると、より適切なアドバイスをすることができます。ご相談件数が最も多いLDLと血圧(次回)を例に、上手な相談の仕方を説明させていただきます。
相談例 【LDLが200 mg/dl を越えています。短期間に低下する方法をアドバイスください。】
上記の場合、LDLの記載しかありません。ご相談のLDLの高値の原因として食べ過ぎ、アルコール摂取過多、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣と、体質的なもの(遺伝的)があり、原因により対応が違ってきます。生活習慣なのか体質的なものかを判断する為に、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況などを総合的に見て、どちらが原因かを判断します。生活習慣が原因の場合には生活改善である程度まで低下しますが、遺伝的な場合には服薬が必要です。以下に、A、B、Cの3人の例で説明します。
Aの場合は、中性脂肪と他の3項目も全て高いので、暴飲暴食が原因の可能性が強い症例です。このタイプは、カロリーの摂り過ぎなので肥満がある場合が多いです。身長と体重の記載があれば、さらに確定的です。カロリー制限と有酸素運動で、高脂血症の改善が期待できます。
Bの場合は、BMI=22.1 の標準体重であることから、暴飲暴食の期間が短いことが推測されます。元々やや高めの脂質に加えて、最近の運動不足と食べ過ぎが原因で値が上昇したと考えられます。1カ月前から始めた運動と食事制限で、中性脂肪は著しく改善していますが、総コレステロールは運動と食事制限で低下するには長期間を要しますので、まだ成果が出ていません。なお、総コレステロールは変動幅が小く極端に低下することは有りませんが、運動により基礎代謝を向上させることで、暴飲暴食をする前の値くらいまでゆっくりと低下していくと予想されます。
Cの場合は、総コレステロールとLDLが高いのですが、中性脂肪は高くはないので、食事が原因とは考え難いです。さらに、HDLが低くてLDLとのバランスが崩れているので、家族性の高脂血症(遺伝性)の可能性が高いと考えられます。このタイプは、肥満は無く痩せている場合も多いです。家族内にも同様の高脂血症者がいる可能性があります。この症例の改善には、高脂血症薬の服用が必要になります。
他には、糖尿病や甲状腺の病気、薬剤が影響して上昇するケースもあります。ですからLDLが高いといっても、食事や運動療法で改善が見込まれる場合、服薬が必要な場合、疾患の治療で低下する場合などがあります。LDL以外にも、罹患している病気、服用している薬剤、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況など、多くのデータを添付してくださることで、より的確なアドバイスが可能になります。
【参考記事】
2015年10月20日:ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)
2015年4月10日:コレステロールは食事制限の必要性なし!
2014年5月1日:基準値(正常値)のウソが修正される?
2013年10月30日:健康人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)