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健康寿命

テニスで死亡リスク減

2018年10月01日

前回のブログでは、4人に1人が運動不足になっており、運動不足に起因する死亡者が年間5万人にも及ぶことをお知らせしました(4人に1人が運動不足)。では、運動不足を解消するためにはどの様なスポーツが推奨されるのでしょうか?

英国のオックスフード大学の研究チームの報告では、運動と死亡リスクの関係を平均年齢52歳の8万人の男女で、平均9年間にわたって調査しています。その結果は、テニスなどのラケットを使う運動が死亡リスクを下げる効果が最も高く、リスクを47%も減少させていました。2位は水泳で28%、3位はエアロビクスで27%でした(英国スポーツ医学会誌)。

大坂なおみ選手が全米オープンで優勝したことの反響は大きく、大坂選手の使用しているラケットやウェアーは品切れになるほどに売れているようです。これを機に、小さい子供達ばかりでなく沢山の中高年の方々も健康目的のテニスを始める事でテニスブームが起こると、死亡リスクが下がることも期待できます。

健康寿命を延ばすには、バランスの良い食事と適度な運動です。楽しいと思う運動を長く継続することが必要です。

健康寿命を延ばす老人会活動

2018年09月10日

先週は、千葉県の老人会からお声がかかり、健康講演に行ってきました。このグループは毎月、防災、歴史、経済、健康などについて専門の先生方を講師に勉強会をもっています。平均年齢は75歳くらいとのことでしたが、皆さんそろって年齢よりは若くハツラツとしています。最高齢の91歳の方は、歩き方もしっかりとしていて、質問や会話も明確で、認知症や介護とは全く無縁の印象でした。この様なグループに講演に行っていつも感じるのは、活動に参加している方は身体も心も健康状態が良いということです。

平均寿命は年々延びて男性80.21歳、女性86.61歳になりました。他人の介護を必要としないで生活が出来る健康寿命も年々伸びて男性71.19歳、女性74.21歳ですが、平均寿命と健康寿命の差である要介護期間(男性9.02年、女性12.40年)は、2000年以降も全く短くなっていません。この期間には多額の医療費や介護費が必要で、また適当な介護施設を見つけることも容易ではありません。一度しかない人生を楽しむためには、平均寿命と健康寿命の差を小さくして健康で長生きが理想です。健康長寿には、今回の老人会のように、価値観の合う仲間達と楽しんで出来ることを持つことも有効な方法です。老後こそポジティブに!

多種類の食品が健康寿命を延ばす

2018年09月01日

食品の種類が多いほど健康寿命が延びることを、名古屋学芸大学健康栄養研究所の研究グループが報告しました。健康寿命(日本人:男性71.2歳、女性74.2歳)とは、他人の世話にならずに自分自身で生活ができる期間で、平均寿命(日本人:男性80.2歳、女性86.6歳)から介護が必要な年数(男性9.0年、女性12.4年)を差し引いた期間です。2010年度において、世界各国の摂取する食品の数の上位は、1位がニュージーランド、2位が日本、3位がスペインでした。この年の健康寿命は、1位が日本で、2位がスペイン、3位がスイスとイタリアでした。この様に、摂取する食品の数と健康寿命は有意に相関関係にあり、摂取する食品数が多いと健康寿命が長くなっています。

テレビの健康番組で、ヨーグルト、トマト、納豆などが健康に良いと放送すると、翌日にマーケットから商品が無くなることがしばしばありました。確かに、これらの食品は健康には良いのですが、一度にこの食品だけを大量に食べても健康にはなりませんし、逆に栄養成分が偏ってしまいます。沢山の種類の食物を、少しずつ食べることが健康へつながるのです。摂取する食品の数が多いと健康寿命が延びる理由として、食品の種類が多いと栄養素がまんべんなく摂取できるので、体力や免疫力が向上して、疾患を防止していると考えられます。

健康寿命と要介護期間

2018年04月01日

厚生労働省から、健康寿命(日常生活に支障が無い期間)の最新データが発表されています。男性は72.14歳、女性は74.79歳でした。同年の平均寿命は、それぞれ80.98歳と87.14歳ですから、その差の9.02歳と12.40歳は介護が必要な期間になります。

平均寿命と健康寿命が共に延びているのは喜ばしいことなのですが、その差である要介護期間は2001年と比較すると短くはならずに、僅かにではありますが大きくなっています。介護期間が長いことで問題となるのは、①家族の負担、②金銭的負担、③介護施設の不足などが挙げられます。従って、要介護期間(平均寿命ー健康寿命)を如何に短くして、健康に暮らすかが重要になります。

健康寿命が長かった山梨県では、地域毎にお金を出し合って旅行や飲み会をする無尽(むじん)というシステムがあるそうです。同じく静岡県では、緑茶を沢山飲むことを一因として挙げています。逆に、健康寿命の短い徳島県では、車社会で運動する機会が少ないことが考えられています。これらのデータから、健康で長生きするために、適度な運動とバランスの良い食事に加えて、人との交流が必要ということでしょう。そこで、可能ならば65歳の定年後も負担にならない程度の仕事を続けることで、対外交流や適度な緊張感を維持していきたいものです。仕事をすることで収入があれば生活も安定しますし、税金を払うことで社会も成り立ちます。また、仕事帰りにはスポーツクラブや趣味のサークルへの参加もお勧めです。同じ趣味仲間との交流は楽しいですし、生きがいになります。

近い将来には、人生100年の時代になります。介護などで他人のお世話にならず、人生を楽しむために、健康寿命を延ばす生活を設計しましょう!

身体機能を維持向上した高齢者は死亡リスクが低い

2016年12月20日

今年も残すところあと僅かになりました。人生の流れの中で、最も大切なのは自分と家族の健康です。今年も健康に過ごせたことに感謝し、そして来年も健康が継続するように、生活習慣をチェックしていきましょう!

健康維持には、バランスの良い食事と適度な運動が不可欠なことは、本ブログで度々書いてきました。適度な運動で身体機能を高めておくことが死亡リスクを低減させる研究結果が、東京都長寿医療センター研究所から国際医学誌に発表されています。研究内容は、65歳以上の高齢者1048人を対象にして、視力、歩行速度、片足立ちの時間を測定し、10年の測定期間における死亡数との関係から解析しています。その結果、視力の低い人の死亡リスクは高い人よりも2.4倍、歩行速度の遅い人は2.2倍、片足立ちでは2.5倍、それぞれ死亡リスクが高くなっていました。

この研究が示しているのは、適度な運動をして身体機能を高めておくことで、死亡リスクを低減して元気で長生きできるということです。高齢期に身体機能を高く維持しておくためには、若いうちから運動を習慣づけておく事が大切です。朝夕の散歩や、通勤の途中で一駅前から歩く、職場では階段を昇るなど、忙しい中でも出来ることがあります。もちろん、高齢期に入ってから始めても効果が期待できます。自分のために、そして家族のために、健康寿命を延ばしましょう!

本年も本ブログにお越しくださいまして、有り難うございました。本ブログが、読者の方々の健康の維持増進にお役に立っていれば幸いです。健康で良いお年をお迎えください。