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痛風

健診データの読み方・考え方(6:痛風とアルコール)

2019年05月20日

痛風にビールが良くないことは、広く知られています。その理由は、ビールに含まれるプリン体の構造が尿酸に似ているので、尿酸が合成されやすいからです。そこで酒飲みは、「プリン体のない蒸留した焼酎ならいいだろう!」と言い訳を考えます。しかしながら、アルコール自体にも尿酸を増やす作用があるのです。

アルコールは、肝臓で解毒されます。その処理に使うエネルギーはATPと言う物質で、使用後には尿酸の原料になるのです。さらに、アルコールの分解の過程で乳酸ができるのですが、これは尿酸が尿中へ排泄される量を減らしてしまいます。さらに、アルコールには利尿作用があるので、体内の水分をオシッコとして排泄します。その結果、血液の水分量が減るので、結果として血液中の尿酸濃度が高くなります。

この様に、ビール以外のアルコール飲料も尿酸値を上昇させる作用があります。また、酒に合う美味しいツマミはプリン体を多く含む物が多いので、摂取量が多くなりがちです。適量の酒は百薬の長ですが、飲み過ぎて毒にならないように注意しましょう。

 

健診データの読み方・考え方(5:痛風の検査データ)

2019年05月10日

痛風を発症した状態の典型的な検査データを示しました。

特徴は、①患者の99%は男性。②尿酸値は10 mg/dl 以上。③白血球数が増加。④CRPが陽性。です。他には、γーGTが高値で脂肪肝が認められることが多いという特徴があります。

①痛風の患者は殆どが男性です。何故に女性は痛風にならないかというと、女性ホルモンが痛風の原因である尿酸を尿中に排泄するためです。

尿酸は、食べ物から約2割、体内で約8割が合成されます。その後、尿中へ約8割が排泄され、約2割は便中に排泄されます。合成と排泄の量が等しければ、血中の尿酸値は正常値に保たれます。肉類などのプリン体の多い食品を多量に摂取すると、排泄量よりも合成量の方が大きくなるので、血中の尿酸値が高くなります。女性は、ホルモンの影響で尿中への尿酸排泄量が大きいので、血中に溜まりにくくなっています。

②尿酸値が10 mg/dl 以上になると、血液中に溶ける量をオーバーしてしまうので、栗のイガのような先の尖った結晶になります。この結晶が、指などの関節を刺激するので、痛みを感じるのです。

③すると、異常を察した白血球が痛みのある患部に急行して炎症状態になり、④CRPが陽性化します。

尿酸値が基準値を超えた場合は、食生活を改善しましょう。