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降圧剤

降圧薬の管理

2019年09月10日

血圧は、高すぎるのは良くないのは当然ですが、低すぎる場合もふらついて転倒事故や、血栓や認知症の原因になるので、適切な範囲にコントロールすることが必要です。

血圧に影響を与える因子は多々ありますが、自然現象では気温があります。夏は気温が高く暑いので、体温を逃がすために血管が太くなり、血圧は低下します。逆に、冬は寒いので体温を逃がさないように血管を細くするので、血圧が上昇します。

人為的な変動因子で注意が必要なのが、降圧剤の使用です。高齢者が入院中に一過性に血圧が上昇した場合は、主治医が退院時に降圧剤を多く処方することがしばしばあります。この降圧剤が効きすぎると、転倒事故や他の健康上のリスクが高まると言う研究結果が報告さてています(JAMA Internal Medicine)。従って、退院後は自分の血圧が適切にコントロールされているか、低すぎないかなどのチェックをすることが必要です。朝晩に血圧を測定してノートに記録し、高過ぎや低すぎる場合は、主治医に相談して下さい。

自身での血圧コントロールの良い方法は、朝のウォーキングを30分行うことが報告されています(Hypertension)。心臓から押し出された血液は、全身へ移動します。この血液が心臓に戻るのは、筋肉が担当します。特に、低い場所に位置する足の血液は、足の筋肉が押し戻します。普段からウォーキングなどで足の筋肉を使うと、血液がスムーズに流れるようになり、血圧が安定します。普段が低血圧な人も、ウォーキングで血流が向上するので有効です。

ホームページからの健康相談 (降圧剤を飲むべきか?)

2015年11月01日

『ホームページからの健康相談』で2番目に多い相談内容は、降圧剤(高血圧の薬)を飲むべきか?です。

高血圧に関する記事は、

です。これらの内容をまとめます。

  1. 中高年には低すぎる基準値

現在の基準値は130 mmHg以下ですが、1987年から2000年までの老人基本健診での高血圧の基準値は180 mmHgでした。その後、2000年には年代別になり、80歳代では160 mmHgで59歳以下は130 mmHgとなったのです。2004年、2008年と変更があり、現在の130 mmHgが採用されています。この様に、20年で血圧の基準値は50 mmHgも低くなっています。

前回も書いたように、基準範囲とは、健康な人(健常者)を沢山集めて、その内の95%の人が入る範囲ですので、5%は基準値を越えます。現在の血圧の基準値である130 mmHg以下では、60歳以降の健常者の約80%は高血圧になってしまいます。低すぎる基準値であることは明白で、この基準値で約3000万人が高血圧患者になっています。降圧剤の年間売り上げは約1兆円と莫大な金額で、医療機関や製薬会社の大事な収入源です。血圧は年齢とともに上昇するので、本来は年齢別に基準値を作るべきであり、中高年は2000年の基準値が正解と考えています。

  1. 血圧と寿命の関係

血圧は、低い方が元気で長生きできるのでしょうか? 一般に、高血圧になると脳出血を起こすので危険であると宣伝し、降圧治療を勧めています。確かに、血圧が200 mmHg を超えるような場合には、降圧治療は正解です。しかし、脳卒中の内、出血による死亡は約3割なのですが、脳血栓による死亡はその倍の約6割もあるのです。薬剤による過度な降圧治療は血流障害を引き起こし易く、脳血栓の可能性を高めているのです。実際、80歳の老人の5年生存率と血圧の関係では、血圧を130 mmHg 以下の基準値内に保った場合の5年生存率は低く、逆に160 mmHg以上の高血圧と診断されている方が長生きなのです。降圧治療は、長生きするよりも、体調を崩し、命を縮めている場合の方が多いことを知るべきです。

  1. 降圧剤は一生やめられないはウソ!

降圧剤を飲み始めると一生止められないといわれていますが、これは間違いです。ただし、服薬を急に止めると反動で血圧が不安定になる可能性があります。止め方は、以下を参考にしてください。

* ストレスの除去

高血圧の原因の多くは、肉体的または精神的ストレスが原因です。休養や気分転換などでストレスを除去することが必要です。

* 禁煙

煙草は、血管を硬くし、収縮させることで血圧を上昇させます。百害あって一利無しです。

* 体重を減らす

肥満がある場合は、食事療法と運動療法で減量すると、体重1 Kg当たり2 mmHg低下します。

* 有酸素運動

有酸素運動は、血流を改善するので、血管の抵抗が減り、血圧が低下します。日常生活に取り入れることが不可欠です。

上記をしばらく実行して、血圧をチェックして以前より安定していたら、薬を1/2に減らします。この状態でまたしばらく様子をみます。さらに安定してきたら、薬の量を最初の1/4に減らして、様子をみます。この様に、半年~1年単位の期間をかけて、徐々に薬を減らしていけば、止められる可能性が高くなります。

  1. まとめ

* 中高年の血圧130~150 mmHg位は、加齢による生理的変動範囲内で問題ない。

* 180 mmHg位までは服薬よりも、禁煙、減量、運動で改善をはかる。

医者の薦める薬を飲んでいれば健康でいられると思っておられる方は、健康長寿は望めません。上記の記事を参考にして、降圧剤を飲むべきかを考えてください。

(お勧めの本: 薬をやめれば病気は治るー岡本裕)。

ジェネリック医薬品の普及率向上のみならず投薬量を削減すべき

2015年07月20日

医療費が年々増加して、国の財政圧迫の一因になっています。国民1人当たりの平均医療費は年間で約30万円、75歳以上の高齢者では約100万円になるので、医療費の合計は約40兆円になります。この内、薬剤費は1/4の約10兆円です。膨らむ一方の医療費抑制の一環として、厚労省は医薬品の新薬からジェネリック薬への変更を奨めています。新薬は、開発に10~15年位の年月と数百億円の研究費がかかるので、そのコストが上乗せされて高価になのですが、ジェネリック薬はこのコストがかからないので、新薬と比較すると約半額です。現時点のジェネリック薬の普及率は、アメリカでは約90%、ヨーロッパでは60~80%程度と高いのですが、日本では約40%なので、平成30年までに60%までに高めることを目標にしています。この切り替えで1.3兆円位の節約が出来る計算です。

医療費削減という観点から、ジェネリック薬の使用頻度の向上は賛成です。しかし、これだけでは大幅な医療費削減にはなりません。根本的な解決には、上記に加えて投薬量を削減すべきではないでしょうか?これまで度々書いてきたように、降圧剤や高脂血症薬などは、不必要な人たちに飲ませることにより、莫大な医療費を浪費しています。人間ドック学会の発表した基準値にすれば、医療費は直ぐに削減できるのです。年齢を考慮すると、血圧は140~150 mmHg 位、総コレステロールも240~260 mg/dl位の適正値の健康高齢者が、病院で脅されて薬を飲まされています。高齢者の血圧を薬剤で110~120位に下げると、ふらついたり、力が入らなかったりして、逆に調子が悪く感じます。コレステロールが血管に付着して詰まらせるというのはウソで、多くの方では投薬治療は必要ありません。医師会や製薬会社が、『医は仁術』の精神になっていただければ、医療費は必然的に減少します。さらなる根本的な医療費削減策は、薬を飲まなくても良いように、国民全員がバランスの良い食事と適度な運動を心がける予防医学を普及させることです。投薬量を減らすことで縮小した経済は、予防医学系の健康産業を育てて補って欲しいと願っています。

 

製薬会社と大学病院のなれあいの実態

2014年04月10日

これまで、薬についての意見を述べてきましたし、これからも医療の裏側を紹介して、正しく安全な医療の利用方法を考えていきたいと思っています。今日は、製薬会社の利益のみを追究する姿勢についての記事を紹介します。

4月2日の記事では、白血病の治療薬の販売促進のため、副作用などのデータを医師ではなく製薬会社の社員が書いていたことが指摘されています。それも東大病院を含む22病院が関与していたことです。

また、昨年の降圧剤の研究では、製薬会社の社員がデータを改ざんして、「ディオバンは血圧を下げる効果に加え、脳卒中などを防ぐ効果が高い」との虚偽の内容の論文を作成し、1000億円もの薬を売り上げていたのです。

東大、東京慈恵会医大、京都府立医大などの有名大学の名前が出ると、患者は信用して薬を飲むのですが、裏では研究者と製薬会社がつるんでいるのです。薬を売りたい製薬会社と、研究費(多くは製薬会社の寄付金)が欲しい大学のなれあいは、今に始まったことではありません。

教訓: ① 薬は副作用を考慮したうえで、必要最小限度にすべき!

          ② 健康を守るのは、バランスの良い食事と適度な運動

健常人を病人にする方法(3:血圧)

2013年11月20日

総コレステロールと同様に、血圧も基準値を下げることによって患者を増やしているのです。現在の基準値は130 mmHg以下ですが、1987年から2000年までの老人基本健診での高血圧の基準値は180 mmHgだったのです。その後、2000年には年代別になり、80歳代では160 mmHgで59歳以下は130 mmHgとなったのです。2004年、2008年と変更があり、現在の130 mmHgが採用されています。この様に、20年で血圧の基準値は50 mmHgも低くなり、約3000万人が高血圧の病名を頂戴することになるのです。

では、本当に健康を維持するのに適切な血圧の基準値はどれなのでしょうか?最初に、年代別の平均血圧を示します。40歳代までは130 mmHgの基準値でぼぼ問題ないのですが、50歳代からは健常者でも130 mmHg を超えて、70歳代の平均値は140 mmHgを超えるのです。
高血圧の基準値である130 mmHgを超える割合は、40歳代で既に半数が高血圧の診断になり、70歳代では正常範囲に入るのは2割にも満たないのです。基準範囲の設定方法の項で説明した様に、本来は健常者の95%が入るように設定すべきなのです。しかしながら、現状の基準値である130 mmHg では、この様に多数の中高年者が病人にされているのが現状なのです。

では、血圧は低い方が元気で長生きできるのでしょうか?80歳の老人の5年生存率と血圧の関係を示しました。これによると、血圧を130 mmHg 以下の基準値内に保っていると5年生存率は低く、逆に160以上の高血圧と診断されている方が長生きなのです。なぜなら、130 mmHgの基準値は若者には適合していますが、老人には合わないのです。老人の場合、加齢とともに血管の弾力が落ちてきますから、ある程度の血圧がないと血液を全身に送れません。だから、図のように、健常者でも加齢とともに血圧は上昇して、70歳代では平均で140 mmHg 以上になるのです。

一般に、高血圧になると脳出血を起こすので危険であると宣伝し、降圧治療を勧めています。確かに、血圧が200 mmHg を超えるような場合には正解です。しかし、脳卒中の内、出血による死亡は約3割なのですが、脳血栓による死亡はその倍の約6割もあるのです。薬剤による過度な降圧治療は血流障害を引き起こし易く、脳血栓の可能性を高めているのです。さらに、高齢者で130 mmHg を少し超えた程度で、全く必要のない薬剤を飲まされて、血圧が100 mmHg 程度になっている方がたくさんいます。この方々の多くは、ふらふらしたり、体に力が入らないなどの症状がある場合がしばしばです。降圧剤を止めるようにアドバイスすると、直ぐに体調を回復されます。降圧治療で長生きするよりも、体調を崩し、命を縮めている場合の方が多いことを知るべきです。何のための薬剤なのでしょうか?