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飲酒

謹賀新年

2015年01月01日


明けましておめでとうございます。

元旦は、朝から飲める特別な日なので、酒飲みには最高です。酒は百薬の長で薬になりますが、飲みすぎると毒にもなるので、飲み方を考えましょう。

統計学的にみると、酒を適量飲む人は飲まない人と比較すると、長生きであることが知られています。その理由は、飲酒が血管を拡張させ血液の流れを改善することや、ストレス解消にもつながることなどが要因と考えられています。では、“適量”とはどの位かというと、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本位が目安です。(酒飲みには少し物足りない量です。)

ただし、日本人は遺伝子的に酒を飲めないタイプが半分ですので、この方たちは無理に酒を飲むのはよくありません。アルコールは、アルコール脱水素酵素で有害なアセトアルデヒドになり、アセトアルデヒド脱水素酵素で無害な形に分解されて、最終的に水と二酸化炭素に代謝されます。飲めない方は、有害なアセトアルデヒドが分解できない体質なので、少量の飲酒でも吐き気や動悸などがするのです。1対2本の染色体の両方に分解できる遺伝子を持ったタイプは酒に強い方で、どちらか1本に分解できる遺伝子を持った方は酒を飲むことで体が慣れるので少しは強くなります。しかし、2<本のどちらの遺伝子にも分解能力のないタイプの方は、決して酒に強くなることは有りません。このタイプの方が無理に酒を飲んでも長生きすることはなく、逆に害になりますので、飲まないことが賢明です。

なお、飲み過ぎた時の肝臓には“ウコン”が良いと思っている方が多いと思いますが、健康食品の中で肝炎を起こす最も多い原因がウコンなのです。ウコンには鉄分が多いので、障害を起こした肝臓は、ウコンの鉄分でよりダメージを受けるのです。シジミも肝臓保護剤のように思われていますが、同じく鉄分が多いので、多量に摂取すると、肝障害が悪化します。健康食品に頼ろうとせずに、飲酒量を考慮して楽しいお酒を飲みましょう。

余談ですが、私は、若い時はウイスキーが好きでした。年齢を重ねた今では、日本酒が好みです。新潟や秋田などの米どころの日本酒を、冷蔵庫で冷やして飲むと、それぞれの味わいが良くわかって最高です。(日本人で良かった!)正月は、子供や孫の顔をみながら、今年も1年皆が健康であるように願って、明るいうちから飲めることが何よりの幸せです。

次回からは、また医療に関する記事になります。最初は、良い病院の選び方、②名医とダメ医者の見分け方、賢い患者になるために、を掲載予定です。ご期待ください。

がん・予防(3)

2014年10月20日

5. 日常生活でのがんの予防
がんには、医学的に確立された予防法は存在しません。しかしながら、がんの発症には喫煙(30%)、食事(30%)、運動不足(5%)、飲酒(3%)などの生活習慣が間接的に関与すると考えられています(ハーバード大学がん予防センター)。従って、がんを予防するには次の項目の生活習慣の改善が望まれます。

5-1. 体型(BMI)
肥満は、直接的にがんの発症には関与しないと言われています。しかし、最近に国立がん研究センターが発表した研究では、肥満は日本人女性が乳がんになる危険性を高めるとのことです。調査結果では、閉経前でも後でもBMIが大きいほど危険性は高まり、閉経前にBMI 30以上の肥満では基準値内(23~25)の人の2.25倍で、閉経後ではBMIが1上がるごとに危険性が5 %上昇しました。なお、欧米では、閉経前は肥満が乳がん発症リスクを下げる調査結果が報告されているので、人種により異なることが考えられます。
BMIの計算式は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です。
実際に長生きしている方のBMIは、基準値の25を少し超えたやや肥満です。しかし、病気になる確率が最も低いのは、男女ともに22で、痩せも肥満も病気をする確率が高くなります。従って、健康で長生きするためには、BMIが22~25位の範囲になる事が望まれます。

5-2. バランスの良い食事
野菜や果物にはビタミン類や食物繊維など、がん予防だけでなく、健康維持に必要な成分も含まれています。特に、季節の旬の野菜(露地物)は栄養価が高いうえに、暑さ寒さへの対策にもなる成分を含んでいます。毎食毎に野菜を摂取し、果物もデザートとして毎日1回以上は食べるようにしましょう。食後の緑茶は、健康維持やがん予防にも効果的です。なお、中高年にとって肉類はコレステロースや中性脂肪を上昇させるので良くないとの考えから、菜食主義の方もおられます。肉類は、食べすぎるのが良くないのであって、適量をバランスよく食べることが、健康維持には必要です。なお、料理や飲み物が熱過ぎると、食道などの消化管を痛め、がんを誘発しかねません。適温で。
塩分の摂り過ぎは高血圧になると言われていますが、実際には2~3割位の少数の塩感受性を持った人だけで、残りの7~8割では塩分は尿中排泄されるので高血圧にはなりません。しかし、すでに高血圧になっている場合には塩分はさらに血圧を上昇させますし、腎機能が低下している場合には負荷がより大きくなります。また、塩感受性があるか否かは検査をしないとわからないので、塩分制限が必要ということは間違いではありません。

5-3. 有酸素運動
有酸素運動の代表といえば、ウォーキング(早歩き)です。歩くことが健康に良いことは誰でも知っていますが、何故に良いのかご存知でしょうか?その答えは、心臓から全身に送り出された血液が、どの様に心臓に帰ってくるかを考えればわかります。例えば、足の血液は重力があるので、自然に心臓に帰ることはできません。足の筋肉が伸縮を繰り返して、心臓まで押し上げているのです。従って、足の筋肉が発達している程、血液循環が良くなるので、酸素や栄養分を全身に届けやすく、老廃物の回収率も良くなります。また、血液の流れが良くなるので、血圧も安定します。さらに、ラジオ体操で全身の曲げ伸ばしをすることで、効果がアップします。毎日30~60分程度の有酸素運動が、健康維持には必要です。

5-4. 禁煙
タバコは、肺がんとの関連が強く指摘されている上に、血管を細く固くして血圧を上昇させるなど、百害あって一利無しです。近年、禁煙志向が高まっているにもかかわらず肺がん患者が多いのは、肺がん発症には長期間かかるので、以前に喫煙していた人が今発症していると考えられます。今後は、喫煙率の低下で肺がんの罹患率や死亡率も低下していくでしょう。

5-4. 飲酒は適量に
酒は百薬の長といわれるように、1合以内の酒(ビールでは大瓶1本以内)は血行を改善し、血圧を調整するなど、薬として作用します。実際に、適量の飲酒をする人の方が長生きなのは統計学でも証明されています。しかし、1合以上の酒は、肝臓に負担をかけ、血圧を上昇させるなど、毒として作用します。“過ぎたるは及ばざるが如し”です。なお、日本人の半分以上は遺伝的にアルコールを分解する能力がありません。飲めない体質の方には、少量でも薬にはなりませんので、無理に飲む必要はありません。

5-5. C型肝炎ウイルス、ピロリ菌
肝炎ウイルスの内、A型は慢性化しません。B型は、乳幼児期の免疫力の弱い時期の感染か、大人の場合は透析患者のような免疫力が極端に低下した場合以外は、慢性化しません。問題なのはC型肝炎ウイルスで、60~80%位の高い確率で慢性化し、肝硬変、肝がんへと進行します。肝臓がんの約80%は、C型肝炎が原因です。インターフェロンとリバビリンの併用で治療しますが、日本人に多いウイルスのタイプである1型の場合(約70%)には、成功率は50%以下と低いのが現状です。ウイルスタイプが2型(約30%)ならば、約70%以上の確率でウイルスを消去できます。C型肝炎ウイルスに感染しても、肝臓がんに進行するまでには平均30年近くかかりますので、60歳代以上で、軽度の慢性肝炎程度ならば、治療の有無で計算上の寿命は変わらないことになります。治療には、微熱や食欲不振などの副作用が高率で見られます。年齢、ウイルスのタイプと量、肝炎の進行度などを総合的に判断して、治療を考えるべきと思います。
ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)の感染は、上述のように、胃がんの発症に関与します。中高年では7~8割がピロリ菌に感染していますが、その内で胃がんになるのは約0.5%(200人に1人)の割合です。除菌を選択すべきか、または定期検診で初期発見を選ぶかは、本人の考え方でしょう。

以上、がんの予防として述べましたが、これらは生活習慣病の予防と基本的に同じです。免疫力を高めて、健康な生活を送ることが、即ちがん予防につながります。
次回は、美露仙寿のがん予防の研究成果についてです。お楽しみに!