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MERS

MERS(中東呼吸器症候群)の予防薬を京都府立大グループが作成

2015年06月20日

韓国でのMERS感染者は、6月19日現在166人、死者も24人となり、隔離対象者は約5930人に上っています。韓国での感染拡大には、病院職員の対応の悪さと韓国人の慣習が影響していると考えられます。最初の感染者の男性は、3か所の病院を訪れ感染を広めました。サムスンソウル病院でも、5月27~29日に入院した男性(35)から感染が広がったのですが、この男性が病院の中を歩き回っていたことや、他の病院へも行って計80人に感染させています。病院の受け入れシステムが、感染症の患者も他の患者と一緒に大部屋に入れることや、自由に動きまわれることなどに問題があります。また、患者を搬送する職員が発熱を自覚しながら9日間も勤務して、感染を広げるなど、医療職としての自覚が足りないと思われます。患者も、風邪などの軽傷の疾患でも、救急搬送で複数の病院で診察を受ける習慣があります。また、感染症予防に関する知識のない家族が看病することや、親族や友人が直接病院に見舞いに行って患者と接触する習慣があるので、ここで感染が広がる可能性が高いのです。病院のシステムや国民の医療意識を改革しないといけないでしょう。

MERSが恐れられている理由は、致死率が約40%と高いことに加え、予防薬や治療薬が無いことです。京都府立大の塚本康浩教授のグループが、予防薬の大量作成に成功し、韓国と米国で大量生産に入っています。作成方法は、蚕の細胞で作成したMERSコロナウイルスの表面たんぱくをダチョウに投与します。ダチョウの体内で生成された抗体を、ダチョウが生んだ卵から取り出して、生成します。この抗体は、人の体に侵入しようとしているウイルスを覆って感染力を奪ってしまうので、感染から免れるというものです。この抗体をマスクに塗布しておけば、感染する危険性が格段に小さくなりますし、病院などで散布しておけば2次感染の危険性を軽減できます。まだ、体内への直接投与が承認されていないのですが、速やかな臨床試験での実用化が望まれます。