健常人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)
前項の様に、多項目の検査をすれば大部分の健常者を病人に仕立て上げることが出来るのです。
これに加えて、多くの病人を作る方法がもう一つあるのです。
それは、基準値を厳しく設定することなのです。
前項で説明しましたように、基準値は健常者の95%が入る範囲なのですが、例えば、健常者の半分が入る範囲に狭めれば、残りの半分は病人になります。この最も典型的なものは、総コレステロールと血圧なのです。
では、何時から何故にこの基準値が設定されたのでしょうか?
私が就職した1976年(昭和51年)には、総コレステロールの基準値は260mg/dlだったのです。
それが1990年(平成2年)には250 mg/dlになり、その後に基準値は220mg/dlに引き下げられているのです。
何故にこの様な基準値の変更があったのでしょうか?
その要因は、高脂血症薬メバロチンの発売が関係しているとしか考えられません。
メバロチンの発売時期は1990年(平成2年)で、総コレステロールの基準値が220mg/dlに引き下げられたのが、その半年前なのです。
総コレステロールの基準値が220mg/dlに変更されると、一夜にして約2000万人に高脂血症という病名が付けられ、病人にされたのです。
一部の心ある医療関係者の間では、メバロチンを販売するために、御用学者に総コレステロールの基準値を引き下げるための研究報告をさせたという話題があったのです。実際、現在のコレステロール関連の年間医療費は、なんと7500億円以上なのです。
では、本当に総コレステロールの基準値は220mg/dl が妥当なのでしょうか?長生きした人の総コレステロールの値を統計的にみてみると、240~280 mg/dl が最も長生きしているのです。即ち、上図で示した健常人の2SDの範囲である95%の健常人が入る範囲が良いことになります。ですから、1916年に示された260mg/dl の基準範囲が適切であるのです。
逆に、高脂血症と診断されている人の方が、高脂血症でない人と比較して、脳卒中で入院した場合の死亡率は2分の1から3分の1に低いと報告されています。
脳梗塞では、高脂血症のない人約9900人の内で死亡は5.5%であるのに対し、入院時に高脂血症と診断された人約2300人の死亡は2.4%でした。
脳出血では、高脂血症のない人約2800人の内で死亡は13.4%であるのに対し、入院時に高脂血症と診断された人約440人の死亡は6.3%でした。
くも膜下出血では、高脂血症のない人約1300人の内で死亡は17.3%であるのに対し、入院時に高脂血症と診断された人約2300人の死亡は6.3%でした。
いずれも高脂血症患者で低かったのです。
この要因として、コレステロールが血管を作る材料になるので、高脂血症患者の方が血管の状態が良いことが挙げられます。となると、高脂血症の定義自体が怪しいことは明らかです。
コレステロールは、何故か悪者扱いされて、その危険性がアピールされています。しかし、コレステロールの生体内での役割は全くと言っていい程に示されていません。実際、皆さんはコレステロールが体の中でどの様な働きをしているのかご存知ですか?
コレステロールの最も重要な働きは、生体内で細胞膜や各種ホルモンの材料となることなのです。従って、コレステロール150 mg/dl 以下にしてしまうと、これらの材料が十分に提供できなくなってしまうのです。また、うつ病の発生率が高くなるとの報告や、発がん率がとの報告もあるのです。同様に、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの基準値は140mg/dl以下になっています。
テレビのコマーシャルでは、有名人を使ってLDLが高いと心筋梗塞になるので“LDLが高い人はお医者さんへ”と宣伝しています。
統計的には、LDLコレステロール値と心臓病死との間には相関は無いのです。
逆に、総死亡率はLDLコレステロールが高い方が低い結果を示しています。LDLコレステロールは、基準値より高めで、男性は100~180 mg/dl、女性は120mg/dl 以上が長生きの傾向があるのです。日本脂質学会では、血中脂質を薬で下げすぎると危険であると警告していますが、まさにその通りなのです。
私は日本脂質学会の言い分が正しいと考えています。基準値を少々超えても問題ありません。もし、下げようとする場合には、先ずバランスの良い食事と適度な有酸素運動を試みるのが健康的と言えます。
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