線虫(寄生虫の仲間)がガンを見つける!

2015年03月20日

九州大学などの研究グループが、線虫(寄生虫の仲間)がガンの有無を見分けられることを発表し、数年後の実用化を目指しています。

線虫とは、寄生虫の回虫の仲間で、土壌中や水中に住むものなど多種います。遺伝子研究などに汎用されるエレガンス線虫は、土中に住み体長1mm位の虫で、寿命は3週間位です。

この線虫は、犬と同程度の嗅覚受容体を持っていて、好きな匂いに集まり、嫌いな匂いからは逃げる習性が確認されています。この習性により、がん患者の尿の匂いは好きなので寄ってくるのですが、健常者の尿の匂いは嫌いで逃げるので、その動きから約95%の高確率でガンの有無を判定できるのです。

現在用いられている代表的なガンの検知方法には、腫瘍マーカーやPET-CTなどがあります。汎用される腫瘍マーカーはCEA、AFP、CA-19-9、PSAなどです。PSAは、比較的早期の前立腺がんにも反応しますが、他のマーカーはある程度の進行後に陽性となるので、経過観察の指標としては有用ですが、初期段階でのガン発見の確率は低いといえます。PET-CTは、ガン細胞がブドウ糖を大量に消費することを利用して、目印を付けたブドウ糖がガン細胞に集まったところをCTで画像化するので、比較的小さいガンも発見できます。注意点は、CT撮影の際に胸部レントゲンの200~300倍位のX線を浴びるので、度々行うと逆にガンを誘発する可能性があることです。

現在進行中のガン発見方法は、マイクロRNA法やガン探知犬です。マイクロRNA法は、昨年の10月10日の本ブログでも紹介しましたが、ガンの発症によりタンパク質を作らない小さなRNAの種類や量が変化する事で測定します。1回の採血で13種類のガンを検査できるので、健診の際に有効利用できると考えられます。なお、検査費用は10<~15万円位ですので安くは有りませんが、色々な検査を受ける手間や費用を考えれば、納得できる金額といえます。ガン探知犬は、線虫と同じで、匂いでガンの有無を見分ける方法で、千葉県の「ガン探知犬育成センター」の探知犬は、ごく初期段階であっても、90%以上の確率でガンの有無をかぎ分ける能力を持っています。訓練に手間と費用が掛かり、1頭当たりの訓練費は約500万円ですが、沢山の探知犬が医療チームの一員として活躍すれば、ガン治療には有用な戦力に成り得ます。

今回の線虫を用いた方法は、尿を摂るだけで簡単に検査できることと、検査費用が数百円程度と格段に安いので、普及が望まれます。なお、科学者的な視点では、匂いの物質を同定して、分析器で測定できるようになると、さらに迅速に大量の検体が処理できて、費用も安くなると考えられるので、研究者の先生方には是非とも頑張っていただきたいと思っております。

(いつも、医療や製薬業界の批判の記事を書いていますが、医療の全てを否定している訳ではありません。真の健康作りではなく、不必要な投薬などで金儲けをしていることが納得できないだけなのです。この様な有益な研究をなされている先生方には敬意を持っておりますし、より研究が進むような環境整備や待遇改善などがなされることを祈っています。)

群馬大学病院の会見

2015年03月10日

  群馬大学病院の腹腔鏡手術について、病院が過失を認め、謝罪しました。報告書は、①手術前の検査が不十分、②執刀医の未熟な技術、③術後措置の不十分、が重なって8人が死亡したとの内容でした。一般的に大学病院などでは、患者の検査結果と今後の治療方針について、主治医は医療チーム内で十分な討論をしてから治療を行いますが、殆どがこの執刀医の独断で行われていたようです。しかも、手術は自分の能力をはるかに超えているのに、その自覚が全くありません。また、この医師は学会で「手術成績は概ね良好」と虚偽の発表していたので、患者を手術の練習台として扱い、患者の安全よりも手術の実績作りを優先したとみられても仕方がありません。他にも、“がん”と診断して手術したところ、“がん”ではないと判明しても遺族には知らせず、死亡診断書にも“がん”とうその記載をした例、術後に腹水が溜って救急外来を受診した患者を入院させず帰宅後に死亡した例など、多数の不手際が報告されました。医師としての適性を欠いているばかりか、人間としても問題があります。さらに、教授や病院の管理体制にもかなりの不備があるようです。上司の教授は、どのような手術がなされて、経過はどうか報告を受けて確認するのが常識です。ここまで気が付かないのは、通常はあり得ません。

 1月10日のこのブログで紹介したように、大学病院は名医中の名医が最高の医療を与えてくれる病院と思っている方も多いのですが、それは誤解です。大学病院の医師の目的は、研究論文を沢山書いて、教授になる事です。患者の治療に情熱を持っている医師は、出世できません。問題になっているような人間性の極端に歪んだ医師は稀ではありますが、一般世間との触れ合いが少ない狭い世界で生きているので、庶民の感覚と異なる医師も存在します。

 大切なのは、病気にならないように、普段からの健康管理です。何度も書きますが、バランスの良い食事と適度な運動が基本です。他には、楽しめる趣味や規則正しい生活などがあります。もちろん、美露仙寿もお勧めです。そして、病院の選び方の項で紹介しましたように、元気なときから信頼できる病院の情報を集めておきましょう。

花粉症

2015年03月01日

今日から3月です。私は3月が一番好きです。日差しが柔らかくなり、庭の水仙やチューリップの芽が伸びていくのを毎朝眺めていると、何か良いことがありそうで(実際には何もなくても)、気分が明るくなるからです。

ですが、世の中には3月と聞くと一気に気分が落ち込む方々が沢山おられます。恐怖の“花粉症”の季節なのです。花粉症は免疫が強すぎるから起こると思っておられる方がいますが、実は免疫の成長不良なのです。昨年11月20日の免疫の項でも説明しましたが、免疫には役割分担があり、敵が来たことを知らせる係、攻撃を命令する係、闘う兵士の係、攻撃を止める様に指令する係などがあります。これらの全ての係が正常に働いて、免疫が成り立っています。会社でも、社長一人が優秀でも、営業や経理、庶務の社員が仕事をしなければ会社は機能しませんし、掃除のおばちゃんがきれいにしてくれるので気分よく仕事が出来るのです。花粉症は、外敵(花粉)から体を守る戦いを止める様に指令を出す係(サプレッサーT細胞)が機能不良なために、防御反応(鼻水、くしゃみ、涙など)が止まらない状態なのです。

最近は花粉症の患者が増えていますが、その要因は大きく2つあります。1つ目は戦後の植林事業で植えられた杉が大量の花粉を出していることです。現在は、スギ花粉の少ない種類の杉に徐々に変えられていますが、成果が出るまでには長期間を要します。2つ目は、子供の時期にきれい過ぎる環境で育つと、細菌やウイルスなどの外敵の勉強をしないために、これらに対抗するための免疫が不出来になってしまうのです。実際、花粉症が疑われる子供の割合は、2012年は25.7%、2013年は32.7%で、年々増加しています。幼少期に牧場などの家畜がいる環境で育った場合には、花粉症は殆ど無いことが知られています。親の心情としては、子供が病気にならない様に清潔な環境を与えたいのですが、きれい過ぎる環境は、子供の免疫を成長阻害にしてしまうのです。外敵への適度な接触が重要ということになりますが、その“適度”が難しいですね。

花粉症への対策では、花粉を吸いこまないようにすることが最も重要です。簡単で最も効果のある方法は、市販の使い捨てマスクです。最も効果の高いのは、不織布製でワイヤーで顔に密着させるタイプ、次いでフィルター付きのガーゼでワイヤー入りのものです。ワイヤーのないタイプは、顔への密着度が低いので、効果は低くなります。ワイヤー入りのマスクでは、花粉の吸入量を10分の1位にまで減らすことが出来ます。注意点は、顔に密着させることです。鼻を出してマスクをしている人を良く見かけますが、何の為にマスクをしているのか不思議です。100%意味がありません。マスクは、毎日使い捨てにすることが望まれます。

ステロイド注射は、危険です。健康保険ではステロイド注射は認められてはいるのですが、副作用がありますので、耳鼻科の専門医はステロイド注射はしません。行っているのは、専門外の医師なのです。ステロイドの副作用は、感染症に罹り易い、副腎機能不全、糖尿病、精神障害、ムーンフェースなど多種です。副作用がでても、ステロイド成分は1ヶ月は体に残りますので、この間はどうしようもありません。

私は、以前は花粉症で鼻水が止まらなかったのですが、この会社にきてから美露仙寿を飲むようになったためか、昨年は花粉症の症状は殆どありませんでした。多くのお客様からも、花粉症が軽くなったとの体験をいただいています。花粉症対策は、短期ではマスクなどによる防御と、長期的には体質改善です。