健康寿命を延ばす老人会活動

2018年09月10日

先週は、千葉県の老人会からお声がかかり、健康講演に行ってきました。このグループは毎月、防災、歴史、経済、健康などについて専門の先生方を講師に勉強会をもっています。平均年齢は75歳くらいとのことでしたが、皆さんそろって年齢よりは若くハツラツとしています。最高齢の91歳の方は、歩き方もしっかりとしていて、質問や会話も明確で、認知症や介護とは全く無縁の印象でした。この様なグループに講演に行っていつも感じるのは、活動に参加している方は身体も心も健康状態が良いということです。

平均寿命は年々延びて男性80.21歳、女性86.61歳になりました。他人の介護を必要としないで生活が出来る健康寿命も年々伸びて男性71.19歳、女性74.21歳ですが、平均寿命と健康寿命の差である要介護期間(男性9.02年、女性12.40年)は、2000年以降も全く短くなっていません。この期間には多額の医療費や介護費が必要で、また適当な介護施設を見つけることも容易ではありません。一度しかない人生を楽しむためには、平均寿命と健康寿命の差を小さくして健康で長生きが理想です。健康長寿には、今回の老人会のように、価値観の合う仲間達と楽しんで出来ることを持つことも有効な方法です。老後こそポジティブに!

多種類の食品が健康寿命を延ばす

2018年09月01日

食品の種類が多いほど健康寿命が延びることを、名古屋学芸大学健康栄養研究所の研究グループが報告しました。健康寿命(日本人:男性71.2歳、女性74.2歳)とは、他人の世話にならずに自分自身で生活ができる期間で、平均寿命(日本人:男性80.2歳、女性86.6歳)から介護が必要な年数(男性9.0年、女性12.4年)を差し引いた期間です。2010年度において、世界各国の摂取する食品の数の上位は、1位がニュージーランド、2位が日本、3位がスペインでした。この年の健康寿命は、1位が日本で、2位がスペイン、3位がスイスとイタリアでした。この様に、摂取する食品の数と健康寿命は有意に相関関係にあり、摂取する食品数が多いと健康寿命が長くなっています。

テレビの健康番組で、ヨーグルト、トマト、納豆などが健康に良いと放送すると、翌日にマーケットから商品が無くなることがしばしばありました。確かに、これらの食品は健康には良いのですが、一度にこの食品だけを大量に食べても健康にはなりませんし、逆に栄養成分が偏ってしまいます。沢山の種類の食物を、少しずつ食べることが健康へつながるのです。摂取する食品の数が多いと健康寿命が延びる理由として、食品の種類が多いと栄養素がまんべんなく摂取できるので、体力や免疫力が向上して、疾患を防止していると考えられます。

サマータイムは健康リスク増

2018年08月20日

2020年のオリンピック・パラリンピックを期に、サマータイムを導入して2時間早める検討がなされています。しかし、この時間のズレは健康へのリスクを高める可能性が高いとえます。

人間の身体の中には体内時計が存在していて、この時計により日中は交感神経を働かせて活動し、夜間は副交感神経に切り替えて睡眠に入るリズムをコントロールしています(睡眠と健康:体内時計)。サマータイムを導入して2時間早めた時間にすると、体内時計とのズレが生じることで自律神経のバランスを崩し、不眠、めまい、心筋梗塞などのリスクが高まることが多くの研究で知られています。

2007年にドイツで55000名で行われた研究では、サマータイムで1時間早めたときに、身体がなれるのに導入時には4週間、終了時には3週間が必要との結果でした。サマータイムの終了時よりも導入時でリスクが高くなる理由の一つは、体内時計は1日が24時間ではなく24時間10分(以前は25時間と考えられていましたが、最新の研究では24時間10分)なので、毎日10分間のズレが存在します。このズレを日光や食事で毎日修正しているのです。サマータイムが導入されて2時間早まった場合は、2時間10分の大きなズレを修正しなければいけなくなるので、様々な障害が生じます。サマータイムの終了時には2時間遅くなるので、1時間50分のズレを修正することになり、導入時よりは修正時間は小さくなります。2つ目は、旅行での時差ボケが東方向で大きく、太陽の進行方向の西側では小さいのと同じで、時間を遅くする方が体内時計のズレは小さいのです。いずれにしても、ヨーロッパでの1時間の変更でさえも身体への負担が大きいのに、約2時間のズレを修正するのはより大きな負担であり、健康リスクが高まるのは明白です。健康管理には、規則正しい生活が基本ですので、サマータイムはこれに逆行します。

東京医科大の女子一律減点問題

2018年08月10日

東京医科大の入試で、女子受験生が一律に減点されていたことが連日報道されています。その減点の理由には、女性医師が結婚や出産での離職や、育児による当直勤務の拒否などが挙げられています。

確かに、女性医師の産休や育児による当直勤務の回避では、男性医師に負担がくるので、そのような言い分が出てきます。しかしその根本を考えると、育児や家事などを女性の仕事と考えて、任せきりにしている男性が多いことに行き着きます。

医療現場においては、医師として女性が劣っているということは全くなく、むしろ内科では女性医師の方が患者の死亡率や再入院率は低い結果になっています(女性医師の担当で死亡率・再入院率は3%も低くなる)ので、女性医師は必要な戦力であるのです。この傾向は医療関係ばかりで無く、他の多くの業種にも共通しています。超高齢化社会に直面している日本という船が世界の荒波の海を渡っていくためには、女性のパワーが必要不可欠なことは容易に理解できます。

患者のためには、男女関係なく優秀な人に医師になってもらうことであり、医師のみならず全ての女性が働きやすい環境整備を、国レベルで改善していくことが必要です。

コレステロール:糖質制限により急上昇のメカニズム

2018年08月01日

糖質制限により脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が上昇したとの相談を複数の方からいただきましたので、その機序を説明します。

コレステロールは、食事から20~30%、体内合成が70~80%で成り立っていて、食事で摂取する量が多ければ、体内合成が減って、トータルで一定になるように調整されています。ところが、極端な糖質制限をするとエネルギー源の殆どが脂質とタンパク質になります。食事からの脂質の摂取量が極端に増えると、体内の合成を減らす調節が対応出来ずに、脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が増えていきます。

糖質は取り過ぎるといけないのですが、極端な糖質制限は栄養バランスを崩すので、健康を害する因子になります(糖質制限で糖尿病のリスク増)。理想的で健康的な栄養の取り方は、糖質50%でタンパク質と脂質で50%です(健康長寿は炭水化物の減と脂肪の増)。

なお、LDLが高いと血管を詰まらせて心筋梗塞などを引き起こすというのは、単なる脅しで医学的根拠はありません。アメリカではコレステロール値の測定は必要ないし、高くても治療はしません。(遺伝性の高脂血症を除く)(コレステロール:アメリカでは検査も治療も必要なし )しかしながら、何事もバランスが大事です。
私の意見は、極端な糖質制限を止めて、食事のバランスを糖質50%とタンパク質と脂質で50%にすることです。理想的な食事のバランスは、糖尿病の食事療法であり、これは健康な方にも適用されます。

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