喘息は、アレルギー反応を起こした病原性免疫細胞が血管の外に出て、気管支に炎症を起こすことで発症します。喘息の治療には主にステロイドが使われますが、その仕組みはステロイドが免疫を抑え込むことを利用しています。従って、喘息の症状は緩和しますが、体全体の免疫力が低下するので感染症などに罹りやすくなる上に、副作用として糖尿病などの内分泌疾患も発症する可能性が高まります。この様に、ステロイドによる治療は症状を緩和するもので、喘息そのものを治療しているのではありませんし、副作用も生じます。
千葉大学の研究チームは、これまで不明だった病原性免疫細胞が血管の外に出るメカニズムを解明しました。その犯人はミル9というたんぱく質で、これが血管に付着して通り道を作ることで、病原性免疫細胞が血管外に出ていきます。従って、ミル9が機能しなくなれば炎症を起こさなくなるので、喘息は根治できるようになります。その方法として、ミル9の働きを止める抗体を作成して実験用の喘息マウスに投与したところ、病原性免疫細胞は血管の外に出なくなることが確認されました。
このミル9抑制抗体の治療法が実用化されれば、喘息のみならず、花粉症やアトピー性皮膚炎などの他のアレルギー疾患も根治の可能性があります。期待の高い研究です。