厚生労働省は、3歳未満の乳幼児で、風邪や下痢に抗生剤を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬(1件当たり800円)を支払う新たな仕組みを4月からの診療報酬改定に盛り込みます。さらに、病院内で抗生剤を適正に使うよう教育したり、耐性菌の発生率を調べたりする医師や薬剤師らのチームを設置した場合の報酬も新たに設ける予定になっています。その理由は、誤った使い方によって薬が効かなくなる「耐性菌」の広がりを抑えるためですが、本来は処方する必要の無い抗生剤を処方しないだけで報酬を与えるのか、超高齢化社会で医療費が膨れあがっている状況の中で、疑問を感じます(風邪には抗生物質を使わない:厚生労働省の医師向手引き)。この報酬は、私たちが支払っている健康保険料から支払われるのです。
風邪の原因の約9割はウイルスが原因なので、抗生剤は効果が無いことは本ブログで度々書いています(風邪への対処法、風邪とインフルエンザ)ので、読者の皆様は既に理解されている事でしょうし、ましてや医療従事者なら常識です。しかしながら、必要の無い抗生剤が処方され続けるる理由は、患者側と医師側の両方にあります。患者は、約半数がウイルスには抗生剤が効かない事を知らないし、薬をもらうと安心します。医師側は、薬を処方しないと患者からヤブ医者扱いされることや、処方箋で利益がでることなどが挙げられます。
医師は、必要の無い薬は「必要ない」とはっきりと説明しなければいけません。その結果、耐性菌の減少や、飲み残しの薬剤が減少します(残薬(飲み残しの薬)が年475億円分)。患者側も、健康を守るのは自分自身であることを自覚して、基本的な医療の知識を勉強することが必要です。本ブログが活用されることを願っています。