20日から招集される通常国会で、飲食店や駅構内は原則として禁煙(喫煙室の設置は可)とし、医療機関や小中学校は敷地内が全面禁煙とする改正案が提出されます。違反した喫煙者や施設管理者には、過料の罰則も追加されます。この改正案は、非喫煙者が煙草の煙を吸い込む“受動喫煙”を防止するための対策です。
喫煙は肺がんの危険因子であることは、これまでの多くの研究により明白です。さらに、喫煙により全身の血管で動脈硬化が進展することが、滋賀医科大学の大規模研究により再確認され「Journal of American Heart Association」に掲載されています。この研究は、血管病のない健康な40~79歳の男性1019名で行われ、喫煙状況と心臓、大動脈、頸動脈および末梢血管における動脈硬化との関連を分析しています。その結果、非喫煙者と比較して喫煙者では全ての部位で動脈硬化が進行すること、並びに禁煙すれば動脈硬化の進展を予防できることが示されています。この様な喫煙の害は、自分では喫煙しない受動喫煙でも同様に生じますので、健康管理の観点から今回の改正案が提出されている訳です。
また、非喫煙者の生命保険の掛け金を割引する保険会社の商品が、健康志向者の支持を集めています。この保険は、喫煙していないことや血圧に問題がないことなどを条件に、約30%も割引されます。裏を返せば、この割引率は非喫煙者は30%も死亡リスクが減ることを示しています。
昨年度の喫煙率の調査では、男性は29.7%で緩やかに減少気味ですが、女性は9.7%で横ばいです。喫煙は、喫煙者のみならず受動喫煙で非喫煙者や家族までもリスクを高めることから、飲食店や公共機関での禁煙は世界的な流れになっています。海外からの旅行者が急激に増加していることや、オリンピックを控えていることから、日本も海外のような禁煙の流れに沿った法整備を進めようとしています。