早いもので、もう年末です。一年間に渡り本ブログをお読みいただきまして、有難うございました。皆様の健康増進に役立つ記事を書きたいと願っていますが、健康状態も欲しているものも十人十色ですので、全員の方々には満足頂いていないのかもしれません。ご要望にお応えすべく、色々な内容を入れるのと、その時の話題について書いていきたいと思っています。
本年の最終回は、年末の医学の記事で、私が注目したものを3つ紹介します。
1つ目は、大腸がんの転移の可能性を示す「Trio」というたんぱく質が見つかったことです。発表したのは、京都大学などの研究グループ。Trioの特定部位に変化が有ると無しとで、大腸がんの転移で亡くなるか又は予後良好かが予測できるというものです。他のがんでも転移の予測が可能になったら、手術の仕方から術後の治療まで、より的確に出来るようになります。早期の実用化が望まれます。
2つ目は、殆どの抗生物質が効かないMRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)を、僅か1分で殺菌してしまう新しい抗生物質(ライソシンE)が発見されたことです。発表したのは、東京大学などの研究グループ。MRSAは、普段は無害な細菌ですが、免疫力が低下した病人や高齢者には命とりの細菌です。これで助かる命が増えるなら喜ばしいことです。ここで知っておいていただきたいのは、MRSAが出来てしまったのは、抗生物質を使いすぎたために、細菌が抗生物質に対して抵抗力を持ったためなのです。新しい抗生物質(ライソシンE)も使いすぎれば、いずれは抵抗力を持った細菌が出現することになり、イタチごっこになるのです。薬は必要最低限に使うことが重要です。
3つ目は、9月から販売されている前立腺がん用の抗がん剤「ジェブタナ」を使用した患者5人が死亡しました。亡くなった5人は、60歳代3人と70歳代2人で、肺炎や敗血症(細菌が血液中に入り込み、全身に重篤な症状を起こす)が原因です。この抗がん剤の使用で、細菌をやっつける好中球という種類の白血球が減ることが報告されています。従って、細菌感染が起こりやすく、肺炎や敗血症を発症しやすくなります。前立腺がん患者は、高齢化とともに増えています。病院は商売なので、手術や投薬治療を勧めてきますが、その多くは良性で、手術や抗がん剤の必要がない場合も多々あります(癌の進行度や悪性度で総合的な判断が必要)。亡くなった5人の病状はわかりませんが、抗がん剤の影響で寿命を縮めた可能性は高いようです。抗がん剤は、がんを治してくれる可能性よりも、寿命を縮める可能性の方が高いのが現実です。抗がん剤の使用は、慎重にしなければいけません。
人生で最も大切なものは、自分と家族の健康です。健康な良いお年をお迎えください。