人工甘味料で脳卒中・認知症のリスク3倍

2017年05月11日

人工甘味料入りのダイエット飲料を1日に1本以上飲んでいた人は、全く飲まない人よりも脳卒中や認知症に3倍なり易いことを、米国ボストン大学の研究チームが発表しました。なお、砂糖入りの飲料を飲んでいる人では、飲まない人との差は認められませんでした。

人工甘味料は、血糖値を抑えたい人や、肥満を心配する人がカロリー制限を目的として摂取されています。しかしながら、現実には逆の結果を招いています。例えば、人工甘味料入りの水を飲んだマウスでは、糖尿病につながり得る耐糖能障害を起こすことが報告されています。また、人工甘味料のカロリーはゼロに近いにもかかわらず、脂肪を蓄積して体重の増加を招くことも知られています。これらの人工甘味料による身体への影響の機序は不明な点は多いのですが、耐糖能障害や体重増加の原因として、膵臓が砂糖と同じように人工甘味料にも反応してインスリンを分泌することにより、インスリン抵抗性や脂肪の蓄積を招く結果と考えられます。

人工甘味料で脳卒中や認知症のリスクが高まる機序は明らかではありませんが、私の個人的見解としては次のように考えます。身体が活動するエネルギーとして血糖が利用されていますが、特に脳細胞の活動には多量の糖分を消費しています。糖が身体にとって重要なエネルギーであることから、“甘い=美味しい”と感じることで必要な糖分を補給するシステムが成り立っているのです。ところが、人工甘味料では実際の“糖”は補給されていないにもかかわらず、脳は“甘い”と感じて錯覚が引き起こされることで、感覚と現実の乖離が生じます。その結果、脳のエネルギー不足などの障害が起きて、脳卒中や認知症などが発症すると考えます。上記の耐糖能障害や肥満を引き起こすことと同じメカニズムが、脳にも影響を与えている可能性です。

化学的に合成された物質が、身体に良い訳がありません。自然の食品をバランス良く摂ることが大切です。

多すぎる薬での副作用防止へ指針策定(厚労省)

2017年05月01日


薬局で、買い物カゴ一杯に沢山の薬を処方された方をよくみかけます。あんなに沢山の薬を飲んだら、病気が回復するどころか逆に副作用で健康を害してしまいます。本ブログでは以前より、服薬量を減らすために、薬の副作用の問題点や減薬について、下のような記事を書いてきました。

2016年5月20日:新薬の副作用調査で不正

2016年1月20日:薬の副作用死

2015年7月20日: ジェネリック医薬品の普及率向上のみならず投薬量を削減すべき

2015年5月1日: 残薬(飲み残し薬)が年475億円分

2014年3月10日:抗がん剤の副作用(3)

2014年2月20日:抗がん剤の副作用(2)

2014年2月10日:抗がん剤の副作用(1)

この様に、薬には作用の他に副作用があるので、投薬は必要最小限にすべきことを主張してきました。

現実を見てみると、高齢者は高血圧や糖尿病など複数の持病を抱えることが多く、平均で6種類の薬が処方されており、複数の医療機関から10種類以上の投薬を受けている場合も多くあります。高齢者は、薬を分解する能力が低下していることから多剤投与の副作用を受けやすいために、体調を崩して入院するケースも増えています。そこで、厚生労働省は、高齢者が複数の薬を服用した際の副作用のリスクを減らす対策について、検討を始めました。他にも、飲み間違いや飲み忘れによる残薬の問題についても検討する方針です。

今回の厚生労働省の動きは“今更ながら”という感じはしますが、まともな方向は向いているようです。ただし、製薬業界は利益第一主義で抵抗してくるでしょうし、ダメ医師ほど沢山の薬を処方する傾向がありますので(2015年1月20日:ダメ医師の見分け方)、今後の推移を見守っていきましょう。

iPS細胞による治療が一歩前進

2017年04月20日

iPS細胞による治療の最大の研究課題はがん化の抑制でしたが、理研での「加齢性黄斑変性」の治療で安全宣言が出されました。この安全宣言により、iPS細胞治療は大きな前進をしました。

上記の臨床研究は、2014年に70歳の女性の皮膚から作成したiPS細胞をシート状の網膜組織にして移植したもので、手術から2年以上経過しても腫瘍ができるなどの問題が起きていないし、視力も維持できているとの論文を発表しました。

iPS細胞の安全性が確認されれば、多くの治療に応用されます。東京大学ではiPS細胞から作成した膵島をサルに移植して血糖値を下げることに成功したと報告しました。5年後にはヒトでの臨床研究が始まる予定です。1型糖尿病は、一生涯にわたってインスリン注射をしなければいけませんが、この治療法が実用化されれば、注射なしで通常の生活が送れます。

iPS細胞バンクの準備も進んでいます。本人から細胞を採取してiPS細胞を作成するには、長期の期間と多額の費用が必要になります。そこで、拒絶反応の少ない体質の人から採取した細胞を用いてiPS細胞を作成しておけば、安価に迅速な移植治療が可能になるのです。

1型糖尿病でのインスリン注射や脊椎損傷で車いす生活を余儀なくされている患者さんが、通常の生活ができる日が近いことを感じます。

 

新学期・新年度を期に朝食の習慣を

2017年04月10日

新学期、新年度が始まりました。特に、小学校の新1年生のご両親やおばあちゃん、おじいさんは喜んでおられることと拝察いたします。お子さんやお孫さんが元気に、そして優秀な学校生活をしていくには、しっかりと朝食を摂ることが必要です。

特に、一日の活動に必要なエネルギーを補給する朝食は重要な意味合いがあるのですが、最近は朝食を摂らない子供が増えています。文部科学省の調査では、小中学生の1割以上が朝食を摂っていません。別な調査では、もっと高い欠食率を報告しているものもあります。朝食を摂らないことによる影響として、第一に学力の低下があります。エネルギー不足により、集中力の欠如や眠気が原因です。多くは、夜更かしが関係しており、朝起きられないことで時間が無いことや空腹感を感じないのです。

子供のみならず中高年でも、朝食抜きのリスクが知られています。朝食を摂らない場合は、血圧の上昇が大きくなります。その結果として、朝食を毎日摂る群と比較すると、朝食が週に2回以下の群では、脳出血のリスクが36%も高くなると報告されています。

新学期・新年度を期に、早寝早起きして朝食を摂る習慣をつけましょう。

「トクホの大嘘」を週刊新潮が特集

2017年04月01日


前回の20日のブログに、「根拠のない健康食品に注意」の記事を書きましたし、これまでも下のような健康食品に関する注意事項の記事を掲載してきました。

2017年3月20日:根拠のない健康食品(特に水素水)にご注意

2016年3月10日:健康食品 トクホ表示やうたい文句に騙されるな

2014年9月20日:健康食品で健康被害(ウコン)

2014年9月10日:特保のウソ(2)

2014年9月1日:特保のウソ(1)

これらの私の記事と同じ主張の特集記事が、3月30日号(13号)と3月30日号(14号)の週刊新潮から「トクホの大嘘」として発売されています。3月30日号では、最も多く使われているトクホの成分である難消化性デキストリンについての特集です。この成分を含んだコーラやお茶のキャッチコピーは、「食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて、食後の中性脂肪の上昇をおだやかにする」というものです。しかし、実際の効き目は摂取量の1.2%の減少のみで、誤差範囲程度の微々たるものであることを解説しています。従って、これを信じて食事量が増えれば逆効果になるのは、前回の本ブログの主張と同じです。

4月6日号(14号)の第2弾の記事では、黒○○茶が脂肪の吸収を抑えると有名な外人女性が宣伝していますが、上記と同様に効果は微々たるものであることを記載しています。また、へ○○○緑茶の茶カテキンは「脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける」とのキャッチコピーですが、摂取過多では肝機能障害の危険性があります。このカテキン摂取過多の危険性は、本ブログの2014年9月10日に記載してあります。

トクホは、表向きは国が効果のある健康食品にお墨付きを与える制度ですが、実際は役人の天下り先を確保するための制度で、トクホを審査する機関と認定する機関の職員の殆どが天下り役人です。トクホの認定を受けるには1件につき約1億円の費用がかかりますが、これが天下り役人の給与となり、この1億円はトクホを信用して購入している消費者から回収しています。また、トクホを取得するには査読委員(審査委員)のいる医学雑誌に研究成果の論文を掲載する必要があるのですが、殆どのケースでは論文の提出者と査読委員がなれ合いになっている医学雑誌への投稿なのです。言い換えると、トクホの論文を掲載するために立ち上げたような医学雑誌への掲載なのです。従って、一流の医学雑誌には受け付けてもらえないような内容であってもOKなので、データの信用性は低い場合が多いのです。

健康食品のうち、本当に効果的な商品はほんの一握りであり、多くはプラセボ効果(思い込みによる効果)しかありませんので、よく吟味することが必要です。毎回の主張ですが、健康は薬やトクホではなく、バランスの良い食事と適度な運動で作るべきです。