根拠のない健康食品(特に水素水)にご注意

2017年03月20日

消費者庁は、健康食品の水素水の販売会社のうたい文句に根拠がないとして、景品表示法違反で再発防止の措置命令を出しました。

水素水の3社の商品(ビガープライドEX、水素たっぷりのおいしい水、ナチュラ水素)ではダイエット効果や抗炎症作用など、医学的根拠がないにもかかわらずあたかもあるかのようなに表現をしていました。水素水関連は問題の多い商品が多くあり、マイナスイオン水やミネラル還元水素水などが、これまでにも公正取引委員会から排除命令を受けていた経緯があります。また水素水は、活性酸素と結合して無害な水にするとのうたい文句ですが、この反応が生体内で起こるという医学的根拠はありません。水素水の商品には水素自体を全く含まないものなども多いのが実態です。水素水は、水分補給としての摂取にはOKですが、がんの予防や改善などの効果は全く根拠がありませんので注意してください。

他にも、アスタキサンチンアイ&アイでは目の症状が改善する効果が根拠がないとして、同様に再発防止の措置命令を受けています。特定保健用食品(トクホ)でさえも、ダイエット効果をうたった500 ml の○○コーラ1本のカロリー低下作用は僅かに50 kcal 程度ですから、ご飯にすると茶碗に4分の1程度しかありません。これ以上余計に食べれば、ダイエットどころか肥満につながります。

2年前から始まった機能性食品は、健康に良い成分が含まれていると表示できる制度ですが、その製品が実際に健康を維持・改善しているか否かに関係なく取得できる表示です。健康食品に関しての注意点は、以前のブログをご覧ください。2016年3月10日:健康食品トクホ表示やうたい文句に騙されるな。2014年9月01日&9月10日:特保のウソ(1&2)

健康食品を選ぶにあたっては、①テレビなどで宣伝していることと有効性は無関係。②医師、薬剤師や看護師などの医療職が健康相談の窓口を持っている販売会社は信用性が高い。③製品の安全性と有効性を研究して、その情報を公開しているものを選ぶ。などを参考にしてください。健康の基本は、バランスの食事と運動であり、健康食品はあくまでの補助として考えてください

 

中高生のピロリ菌検診

2017年03月10日

中高生を対象としたピロリ菌の検診をする自治体が拡大しています。佐賀県は2016年度から始め、鹿児島県は今年度から高校生を対象に実施の予定です。大分県や北海道でも計画中です。

ピロリ菌が胃がん発症のリスク因子であることは知られていますが、感染経路や感染による胃がん発症率などは比較的知られていないので解説します。感染経路は、子供のころに感染者の箸などからの感染が主です。一度感染すると、除菌しない限り一生涯に渡って胃の中に住み続けます。

感染率は、生まれたときはゼロですが、加齢とともに上昇して、中高年では約8割が感染しています。感染すると炎症を起こすことがありますが、症状が全くない人が殆どです。ピロリ菌に感染すると胃がんを発症すると思っている方も多いのですが、実際に胃がんを発症する確率は0.5%程度(感染者の200人に1人)です。なお、胃がんを発症しても初期段階ならばほぼ100%治癒できますので、年に1度の定期検診は必須です。

除菌は、抗生物質を1週間程度投与すれば約8割の確率で菌を除去できます。除去できなかった残りの2割の人は、抗生剤の種類を変えてさらに投与します。除菌には健康保険が適用になりますので、経済的な負担は小さくなっています。

ピロリ菌の感染率は、除菌処置などにより年々低下しています(上図)。中高生からの検診の広がりで、感染率はさらに低下することが期待されます。

 

“妊娠うつ”は大豆製品やヨーグルトで抑制

2017年03月01日

うつ病は、年々患者数の増加している疾患であり、その発症要因は精神的・肉体的なストレスによるホルモンバランスの崩れにあります。しかしながら、幸せいっぱいで幸福感を感じているはずの妊娠期間中に、“妊娠うつ”を発症する患者さんも存在します。“妊娠うつ”になり易い妊婦さんの特徴は、まじめで几帳面な性格の方です。今まで仕事や家事をバリバリこなせていたのに、妊娠を機に出来なくなったことで、自信を無くしてうつ状態に入り込んでしまうケースなどです。この“妊娠うつ”は、大豆製品やヨーグルトの摂取で発症率が低下することが、愛媛大学の研究で明らかになりました。

妊婦約1700人において、150種類の食品の摂取量と精神状態を解析しました。その結果、大豆製品(納豆、豆腐など)やヨーグルトを多く摂取したグループでは、“妊娠うつ”の発症が約6割に押さえられていました。逆に、肉(飽和脂肪酸)を多く摂取したグループでは、“妊娠うつ”になり易い傾向が見られています。

妊娠中は、抗うつ剤の使用が難しいので、ゆっくり休む事が主になりますが、上記のように食事での予防を心がけておく事も大切です。

睡眠不足で肥満

2017年02月20日

睡眠時間が不足すると肥満になる仕組みを、筑波大学と早稲田大学の研究チームがそれぞれ報告しています。筑波大学はレム睡眠との関係を、早稲田大学は食欲抑制ホルモンとの関与を示しており、両研究チームは異なる仕組みではありますが、結果として睡眠不足が肥満になる結果を導いています。

筑波大学の研究では、睡眠不足の人と十分な睡眠時間をとっている人を比べると、睡眠不足の人は高カロリーの食品をたくさん食べて肥満になり易くなることに注目しています。その原因としているのが、睡眠不足の場合は夢を見る浅い眠り(レム睡眠)が減少して、脳の前頭前皮質(思考や創造性を担う脳の中枢部分)の働きに影響を与えることで、砂糖や脂質などの高カロリー食材を過剰に食べたくなる仕組みです。

早稲田大学の研究では、睡眠時間が7時間と半分の3時間半のグループの食欲に関するホルモンを測定しています。その結果、睡眠時間が短いグループでは食欲を抑えるホルモンが減少することで、空腹感が増す結果となっていました。短い睡眠時間の場合は、空腹感から食事量が増えることで肥満につながるのです。

本ブログの2015年8月20日と9月1日の「睡眠と健康」でも書きましたが、睡眠不足では子供は学力低下、大人は糖尿病や心疾患などに罹患する確率が上昇することが知られています。女性では、肌の回復力が低下して肌荒れを起こしやすくなります。健康と美容のために、早寝早起きで十分な睡眠がとれるように心がけましょう。

 

乳がん検診:マンモグラフィーの問題点

2017年02月10日

最近の小林麻央さんや北斗晶さんの闘病の報道で、乳がんへの関心が高まっています。乳がんは、女性のがんでは罹患率が最も高く、女性の全がん患者数(約422,000人)の21%(約89,000人)に達しています。乳がん患者の中で不幸にして亡くなるのは、約16%(約14,000人)です。

全快する方が多い中で、亡くなる方との違いは何処にあるのでしょうか?一つの要因は、発見されるまでの期間です。乳がんは、初期に発見されれば全快する確率が高いのですが、亡くなる方の多くは進行がんでの発見です。進行がんになるのは、検診を全く受けなかった場合や、シコリに気付きながらも放置した場合もあるのですが、検診を毎年受けて陰性の結果を受け取りながらも進行がんになっている例もあるのです。その原因が、マンモグラフィーの欠点にあります。本ブログでも2013年10月10日に、マンモグラフィーは擬陽性(間違って陽性となること)が多く、患者に肉体的および精神的負担が大きい方法であり、乳がんの死亡率低下に寄与しないと記載しました。この他にも、乳がんが進行してしまう原因である偽陰性(間違って陰性としてしまうこと)も多い検査方法なのです。

マンモグラフィーは乳腺とがんの濃密度を区別するのが難しい(苦手)検査方法なのですが、日本人女性の半数以上は乳腺密度が高い「高密度乳房(デンスブレスト)」です。従って、マンモグラフィーの検査を受けて陰性との結果を受け取っても、高密度乳房の場合にはがんの存在を見落としている場合があり、進行がんになってしまう可能性が出てきます。マンモグラフィー検査で判定不可な場合には『陰性』という表記は適切ではなく、『他方法での再検査が必要』と表記すべきなのです。

高密度乳房の検査には、超音波検査(エコー)が適しています。超音波検査は乳腺でのしこりの形や広がり具合を判別する能力が高いので、日本人の乳がん検査には適しています。乳がんの死亡率を低下させるには、現在のマンモグラフィーだけではなく、患者の体質に合わせて超音波検査を使い分けることが必要です。

追記:乳がんの発症確率は、出産回数が少ないほど高い傾向がありますので、少子化にともない乳がんの患者はさらなる増加が予測されます。発症確率を低下させる要因の一つとして運動があります。日常的に運動している人の方が乳がんの発症率は低い傾向にありますので、乳がんの発症予防と健康維持を兼ねて運動を心掛けましょう。私の研究している漢方飲料も、がん細胞を破壊するNK細胞を活性化する(2014年11月1日の「がん・予防4」)ことが確認されていますので、健康維持にお勧めです。