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肥満

肥満ワクチンの研究

2019年10月01日

肥満は、糖尿病や心臓病などのリスクであることが知られています(肥満児対策健診データの読み方・考え方(9:肥満と糖尿病))。最も病気になる確率が低いのは、男女共にBMI=22です(BMI=体重kg÷身長m÷身長m)(病気に罹りにくい体型は BMI = 22)ので、基本的には食事と運動で常に体重をコントロールすることが必要です。しかしながら、現実には食事と運動による体重をコントロールは、実行が難しい現実があります。そこで、太りやすい体質の人への『肥満ワクチン』があれば嬉しいと思う人は少なくありません。

大坂市立大学や東京大学などの研究チームが発表した研究は、肥満に関連した腸内細菌をワクチン注射で減らすことで、肥満を抑える方法でした。腸内細菌の一種であるクリストリジウム・ラモーサムは、肥満や糖尿病の発症に関与することが報告されているので、この腸内細菌に対する免疫を高めるワクチンを開発しました。この腸内細菌を抑えることで、ブドウ糖を吸収する働きが低くなり、肥満や糖尿病を抑制することを期待しています。実験結果は、高脂肪食を与えたマウスに注射すると、ワクチン接種していないマウスと比較すると、体重の増加が12%抑えられていました。将来は、太りやすい体質の方への肥満ワクチンの開発につながると期待されています。

腸内細菌と肥満との関係の研究には、痩せタイプの人の腸内細菌を肥満体質の人に移植すると、肥満が抑制されています。この様に、腸内細菌は体型とも関係していることが明かです。

しかしながら、この様な方法はまだ研究段階ですから、現時点では肥満防止の基本は、バランスの良い食事と適度な運動です。毎日の生活の中に取り入れましょう。

肥満児の対策

2019年09月20日

幼児期に肥満になると、将来は糖尿病や心臓病のリスクが高いので、小学校の入学前の幼児に肥満対策をするための手引きを、小児関連の学会がまとめました。

小学校の入学前に太っていると、思春期にはさらに肥満が進行することが多くの研究から明らかになっています。肥満は、将来的に糖尿病や心臓病のリスクを高めます。従って、小児期から肥満しないように食事や運動で体型をコントロールすることが必要です。特に、ポテトチップスのような高カロリーのお菓子を大量に与えないようにしましょう。また、夜更かしで睡眠時間が短いと肥満しやすいことも知られていますので、早寝早起きの習慣をつけることも重要です。

健診データの読み方・考え方(9:肥満と糖尿病)

2019年06月20日

肥満とともに糖尿病に成り易くなることは、前々回(7: 糖尿病の検査データ)に示しました。その関係は、以下のように説明されます。


肥満の原因は、栄養の摂り過ぎです。過剰な栄養分は、脂肪細胞に蓄えられます。この脂肪細胞からは、インスリンの効果を弱めてしまう物質が分泌されます。その結果、インスリンの効きが悪くなるので、血糖値が上昇して糖尿病を発症します。

白人の場合は、祖先が狩猟民族で栄養価の高い肉類を多く摂っていたので、インスリンの分泌量が多い体質なので、肥満しても糖尿病の発症率は高くありません。日本人の祖先は農耕民族で、栄養価の低い農作物を主食にしていたので、インスリンの分泌能力は低い体質になっているのです。従って、肥満になるとインスリン抵抗性物質の増加で、糖尿病を発症しやすい体質を持っています。

利用的な体系は、BMI(体重÷身長÷身長)が22です。BMIが25以上は肥満に分類されます。食事と運動でコントロールしましょう。

健診データの読み方・考え方(7:糖尿病の検査データ)

2019年06月01日

糖尿病は、今や国民病になっていますが、その主原因には日本人が糖尿病になりやすい体質があります。その理由は、次のような歴史があります。日本人のルーツは農耕民族なので、カロリーの低い農作物を主食にしていたので、インスリンの分泌量が少しですんでいました。ところが、近年の飽食の時代になりカロリーの高い食べ物が増えたのですが、インスリンの分泌能力は低いままの体質は変わらないので、糖尿病を発症しやすいのです。

糖尿病の典型的な検査データを示します。空腹時の血糖値が142 mg/dl と高値なので、糖尿病が強く疑われます。その原因として、中性脂肪とγーGTが高値であることから、飲酒と過食が挙げられます。BMIも29.1で肥満があるので、長期に渡り不摂生な食生活が想像されます。クレアチニンと尿素窒素の値から、腎症の発症は無いようです。ALT(GPT)がやや高めなので脂肪肝の可能性がありますので、エコー検査や血液のコリンエステラーゼなどでの検査が必要です。また、網膜症の検査もしておくべきです。

今後は、食事療法と運動療法で生活の改善が不可欠です。

健診データの読み方・考え方(4:血圧:変動因子)

2019年05月01日

血圧は常に変化しています。

日内変動:朝の目覚めとともに血圧は上昇し、日中は比較的高くなります。これにより、活動するために必要な酸素や栄養分などを運搬しています。また、夜になると下がり、睡眠中は最も低くなります。正確な血圧の測定は、同じ時間に同じ状態で測定することが必要です。

気候:季節によっても変動し、夏は低く、冬は高くなります。その理由は、人の体温は常に37℃に保たなければいけないので、寒くなると熱を逃がさないように血管を細くするのです。冬場にヒートショックが起きやすいのは、寒い脱衣場で血管が細くなり血圧が上昇すると脳出血などを起こしやすいのと、熱い湯船に入ると急に血管が太くなるので脳に行く血液量が減ることで意識を失い溺死する事故が起きやすいためです。

加齢:血圧は、年齢とともに上昇します。加齢とともに血管が堅くなっていくので、健康に過ごしていても、多くの高齢者の血圧は130 mmHg を超えて140 mmHg 位になります。なお、降圧剤で血圧を下げ過ぎるのは、危険です。血流量が落ちると、血管が詰まって脳梗塞を起こしやすくなり、またフラフラして転倒事故が起きやすくなります。血圧は適度に保つ必要があります。


肥満:血圧は、肥満で高くなります。一般的に、体重1 kgの増加で血圧は 2 mmHg程上昇します。従って、肥満で血圧が高めの方は、食事療法と運動療法で減量すると、血圧も低下します。病院は、血圧高めで直ぐに服薬を勧めますが、先ずは食事療法と運動療法を試して見ましょう。