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健康管理

朝食抜きは脳出血リスク36%増

2016年03月01日

朝食を抜くことが多い人ほど、脳出血のリスクが上昇することを、国立がん研究センターなどの研究グループが発表しました(Stroke 2016年47;477-481)。

対象は、国内8県の45~74歳の8万2772人(男性38,676人、女性44,096人)で、平均で13年間追跡調査しています。この間に脳卒中を起こした3772人で、朝食の摂取回数と発症の関係を解析しています。その結果、毎日朝食を摂る群と脳出血のリスクを比較すると、朝食の回数が週に「0~2回」では36%増、「3~4回」では22%増、「5~6回」では10%増でした。この結果は、明らかに朝食の回数が少ない方が脳出血のリスクが高いことを示しています。この因子として指摘されているのが、朝食を抜くと空腹によるストレスで血圧が上昇することです。

血圧は、一日の間で常に変動しています。日内変動のパターンとして、昼は仕事で体を動かすので高めになっていて、夜に寝てから徐々に低下します。翌朝に目覚めると徐々に上昇して日中の活動に備えます。この朝の上昇カーブが、朝食を抜くことで急激になります。特に、早朝の急な血圧上昇は脳出血のリスクを高めるのです。

これまでに、朝食を欠食することで高血圧のみならず、肥満、脂質異常症、糖尿病などのリスクが上昇することが指摘されていました。子供では、学力低下を招くことも知られています。本ブログで常に「健康の基本は、バランスの良い食事と適度な運動」と書いています。一般的に、朝食を毎日食べる人は健康的な生活習慣の人が多いので、脳出血のみならず、他の疾患の発症率も低下します。食事の重要性が再確認される発表でした。

受験生の健康管理

2016年01月10日

1月も中旬になって、寒い日が続いています。この時期になると、受験生は追い込みに入ります。私が人生の中で一番勉強をしたのは、博士号取得の受験勉強でした。食事と風呂以外の時間は勉強という生活を、十年以上も積み重ねてきましたが、この間は風邪もひかず、精神的にも大変充実していたと思っています。本ブログの読者の方々にも、お子さんやお孫さんに受験生がいらっしゃるでしょう。受験勉強で知識を詰め込むのは大切ですが、同じ位重要なのは、受験終了までの長期の健康管理です。長期の受験勉強期間をより効果的にするには、上手な睡眠と風邪対策です。

私の受験生時代は、“4当5落”で、4時間の睡眠時間なら合格できるが、5時間寝ると落ちるといわれていました。しかし長期の受験勉強には、少なくとも5~6時間の睡眠時間は確保した方が、良い結果をもたらすと考えられます。昨年8月20日の記事(睡眠と健康:成長ホルモン)のように、体の成長や疲労回復に関与する成長ホルモンは、深夜の1~2時頃に分泌されます。従って、1時より前には就寝して、朝は6時頃に起床するのが理想です。試験は午前中から始まるので、朝型の生活パターンにしておいた方が、実力が発揮できます。良質の睡眠を確保するには、就寝前のスマホやパソコンは控えてください。また、入浴はシャワーではなく、少し温めの湯船にゆっくりと浸かった方がよく眠れます。

2. 風邪対策

2013年12月10日の記事(風邪への対処法)のように、風邪の原因の約90%はウイルスです。受験の時期にはインフルエンザウイルスが蔓延しますが、予防の基本は手洗い、ウガイ、部屋の加湿です。ワクチン注射の効果は、1回注射でおよそ50~60%、2回注射では約80%位ですから、注射をしても絶対に感染しない訳ではありませんが、予防注射はした方が安全です。なお、効果はおよそ5~6ヶ月位です。さらに感染し難くするには、普段から免疫力を高めておくことが必要です。2014年11月20日~12月10日(免疫(1)~(3))の記事のように、バランスの良い食事、睡眠、有酸素運動が有効です。運動の時間がもったいないと思われるかもしれませんが、運動で免疫力の向上以外にも、血流の改善や基礎代謝の向上、ストレス解消などがあるので、勉強の質があがります。

受験生にお奨めは、私の研究している漢方飲料の『美露仙寿:めいるせんじゅ』です。風邪の予防や疲労回復には最適で、その医学的根拠は下の医学論文にまとめてあります。論文のコピーや解説希望の方、健康管理に関するアドバイスをご希望の方は、無料健康相談へお電話ください。満開の桜を家族で楽しめる春になるように、ご両親や祖父母から受験生に美露仙寿をプレゼントしてあげませんか。合格をお祈りします。

【美露仙寿の健康増進効果に関する医学論文】

  1. 7 種漢方成分含有健康飲料の安全性と作用の医薬学検査.医学検査561(3):41-547, 2012
  2. Ergogenic Capacity of a 7-Chinese Traditional Medicine Extract in Aged Mice.Chinese Medicine (3): 223-228, 2012.
  3. 7 種漢方健康飲料の未病改善効果.未病システム学会雑誌21(3): 1-6, 2015

ゆず湯

2015年12月20日

今年もあと僅かになりました。日が短くなり、寒さが増してくると、温かい風呂が最高です。昔から、冬至(12月22日)にゆず湯に入ると、1年間風邪をひかないといわれています。ゆずには血行を促進して冷え性、神経痛、腰痛の緩和、風邪の予防効果などがあります。さらには、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果、香りによるリラックス効果もあるため、元気に冬を越すために役立ちます。ゆず湯にのんびりとつかると、体も心もリラックスして長生きできそうな気分になれます。

注意すべきは、冬の風呂場には危険が潜んでいることです。最も多いのは、ヒートショックです。寒い脱衣所で急激に上昇した血圧が、熱い湯で一気に低下することで失神して溺れる事故です。入浴中の急死は年間1万7000人程度で、そのうち浴槽内で溺死と確認された人は年間4000人以上もいるのです。昨年の交通事故の死者数は4100人ですから、入浴中の死亡者数は非常に高い数字です。なお、入浴中の死亡者は60歳以上の高齢者が殆どで、高血圧の人ほど血圧変動が大きいので注意が必要です。また、飲酒のあとの入浴も、血管が拡張するので血圧が下がり易く、危険性は増加します。年末年始はお酒を飲む機会が増えるので、酔った状態での入浴は控えましょう。

今年も1年間にわたり、本ブログをご愛読いただきまして、有難うございます。読者の皆様の健康増進のお役にたてていれば幸いです。また、無料の健康相談も実施していますのでご利用ください。では、良いお年をお迎えください。

トイレ後に手を洗わない人は15%

2015年11月20日

食中毒の原因で過半数を占めるノロウイルスは、12月から3月の冬場に多く発生し、嘔吐や下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスにはワクチンが無いので、感染した場合は輸液などの対症療法しかありません。従って、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は、重症化し易いので注意が必要です。ノロウイルス感染者の糞便には、1 g 当たり数億個のウイルスが含まれています。このうち、僅か10~100個程度が感染すると発症します。主な感染経路は、経口感染ですから、頻繁な手洗いが有効な防御手段になります。

消費者庁が2000人の男女を調査した結果、トイレ後に手を洗わない人は、大便後、小便後、大小便後を合わせると15%にもなっていました。また、家庭での食事の前に必ず手を洗うのは52.6%のみで、約半数の方は手洗いをしていませんでした。

駅やスーパーマーケットのトイレでは、用便後に手洗いをしない人をよく見かけるので、上記の倍くらいはいる様に感じています。なお、トイレで手洗いをした後でも、ドアノブや照明スイッチなどは感染源になる可能性が高い場所です。従って、食事の前には更に手洗いが必要です。また冬場になると、デパートや公共施設などの入り口にアルコールが設置してある場合があります。ウイルスは、アルコールでは死なないので、手洗いがより有効です。感染防止の観点から、手洗いを習慣化してください。

歯と健康長寿

2015年10月10日

先月の敬老の日に、2014年の100歳以上の高齢者数の発表がありました。総数は58820名で、女性が87.1%を占めています。県別では、島根県、高知県、鳥取県の順で、西日本が上位でした。平均寿命は、9月10日記載のように、男性80.21歳、女性が86.61歳ですから、日本は世界一の長寿国になりました。

私の持っている健康長寿者のイメージは、歯が丈夫で何でも良く食べることです。高齢者に肉類は良くないと思っておられる方もいますが、人間の体はタンパク質でできているので、新しい細胞と入れ替えるには、良質なタンパク質を補う必要があります。ですから、長生きするには魚、やさい、果物、野菜などの他に肉類も摂取することとが不可欠です。肉類を含む多種類の食品を摂るには、丈夫な歯が欠かせません。さらに、歯は単に「食品をかみ砕く」ばかりでなく、「発音を助ける」、「表情を作る」、「体の姿勢やバランスを保つ」などの働きや、「ものを噛むことで脳に刺激を与える」ことで認知症の予防などの役割もあります。

歯がなくなる最大の要因として歯周病がありますが、その結果として肥満や糖尿病、心臓病や脳卒中の危険性が高まります。例えば、歯周病患者の心疾患での死亡率は健常者の2~3倍高いことが知られています。そこで、歯の専門家のアドバイスがあると、健康管理に良い結果を及ぼします。例えば、デイケアに通う在宅介護高齢者で、歯科衛生士によるオーラルケアおよび口腔衛生指導を週1回受けた人たちと自分でやるだけの人たちを比べたところ、インフルエンザの感染率が低下しています。また、介護施設入所者を、看護師や介護者によるオーラルケアを受ける人たちと受けない人たちにわけて比べたところ、肺炎になった率がオーラルケアを受けた人の方が少なかったことが報告されています。病院の入院患者でも、オーラルケアをすることで、回復の経過が良いことから、実施する施設が増えています。この様に、歯や口内の健康維持が、体全体の健康維持に直結していることは明らかです。

口内を清潔に保ち歯周病や虫歯を予防するには、毎食後の歯磨きが欠かせません。2011年の厚生労働省による歯科疾患実態調査では、歯磨きの回数は、1日1回が21.9%、2回が最も多く48.3%、3回以上は25.2%でした。この歯磨きを多くする習慣が、日本人の長寿の要因の一つとも考えられます。ちなみに私は、朝起きた時と毎食後の計4回歯磨きをしています。歯磨きで、健康な歯と清潔な口内を維持することが、長寿につながります。皆さんも、100歳超の長寿者の仲間入りを目指しましょう!