ダメ医師の見分け方

2015年01月20日

 病気になった時、ダメ医師にあたると悲惨な結果になりかねないので、出来るなら名医に受診したいものです。では、ダメ医者はどの様に見極めればよいのでしょうか?

 ダメ医者の特徴は、

   薬を大量に処方する

   検査が多い

   診察時間が3分以内と短い

   パソコンばかり見て患者を見ない

   「とりあえず○○しましょう」が口癖

   コレステロール値と血圧は低い程良いという

等です。

 ダメ医者の最大の特徴は、薬を沢山だすことです。昨年、お客様からの電話で、健診で糖尿病を指摘され(HbA1c 6.7%)、標準体重を10kg 程オーバーの肥満がありました。HbA1cが6.7%で肥満があれば、食事療法のカロリー制限で体重(脂肪)を落とし、運動療法で代謝を上げると、ほとんどの患者で改善が見込めます。この方は体重を5kg程落としたら、病院で怒られた上に、3種類の飲み薬を処方されたと伺いました。??????。この医師は、薬さえ飲めば良いといった考えのようです。しかも、最初から3種類も処方するのは、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の典型例ですので、糖尿病の専門医に変えるべきです。これまでに書いてきたように、薬には効果ばかりではなく副作用もあるのです。副作用が出た場合、新しい病名をつけて薬を追加するので、10種類以上にもなり、薬局で買い物かご一杯の薬をもらう方を見受けます。こんなに沢山の薬を飲んだら、健康な人でも薬の副作用で病気になります。最近の例では、2型糖尿病の新薬「SGLT2阻害薬」で、昨年4月以降、約3700人で約4800件の副作用報告があり、10人が死亡していました。薬は、食事療法と運動療法で改善が出来ない状態の時に用いるべきなのです。

 検査が多い理由は、患者の状態が把握できていない場合、検査料で儲けるため、研究材料としてデータを収集している場合などが考えられます。1年ほど前に、がんで大学病院から余命宣告された方が、美露仙寿を日15本飲んだ例がありました。みるみる回復して元気になったら、毎週CT検査をしているというのです。せっかく回復したのに、CTの放射線(胸部レントゲンの200~300倍くらいの被ばく)で新たながんが発症する可能性から、CT検査は拒否するようにアドバイスしたことがありました。この様な回復症例は珍しいので、大学病院の担当医が研究材料としてCT画像を収集しているとしか考えられません。前回書いたように、大学病院の医師は、患者を研究材料として見ている場合が多々あります。

検査の出し方を見ているだけでも、医師のレベルがわかります。ベテラン医師はピンポイントで正確に的を突いてくるのですが、研修医レベルでは投網を広げるような検査依頼(多項目の検査を度々)をしています。このような検査依頼の仕方は、患者の状態が把握できていないことを意味しています。逆に、沢山の検査をしているにもかかわらず、病名や薬から判断して当然するべき検査がなされていない例もしばしばあります。このように検査項目から医師のレベルを判断することは、経験を重ねた医療関係者でないとできないのですが、皆様からわかりやすいのは、沢山の検査項目を度々している医師は、ダメ医師の可能性が高いということです。

 病院に行くと、朝方受付をしたのに診察は昼過ぎということがしばしばあります。しかも、診察はほんの1~2分で、前回と同じ処方箋を書いて終わりといった経験は有りませんか?さらに、長時間待ったのに、患者の顔も見ずにパソコンばかり見入っている場合は、なおさらのこと信頼関係は築けません。

 また、「とりあえず○○しましょう」が口癖の場合は、診断と治療に対して自信が無いというように解釈できます。とりあえずの前に、“違うかもしれないが”という単語が省略されているようです。能力もないのに自信だけが過剰なのが一番始末が悪いのですが、腕も自信もない医師には受診はしたくありません。

 コレステロール値と血圧は低い程良いという医師の場合は、かなりの不勉強と考えられます。これまでにも度々書いてきたように、コレステロールは細胞膜、ホルモン、胆汁などの材料として使用される大切な栄養成分です。また、血圧の基準値の130mmHg は、若者の値なので、健康な高齢者では140~150 mmHgの血圧は普通ですし、総コレステロールも250 mg/dl位は全く問題ありません(昨年の5月1日の“正常値のウソが修正される?”をご覧ください)。コレステロール値も血圧も、薬で下げ過ぎれば、健康を害することは明らかです。年齢相応の値にすべきなのですが、低ければ低い方が良いと考えている不勉強な医師も実際にいるので、要注意です。

 “医師の言うことを聞いていれば間違いない”、と思っている方もいらっしゃるのですが、上記のようなダメ医師にあたると、寿命を縮めることになりかねません。自分が受診している医師が、上記の項目に当てはまらないかチェックしてみてください。

長くなりましたので、名医の見分け方は次回にします。

病院の選び方

2015年01月10日

 今年も、このブログへアクセスしてくださいまして、ありがとうございます。

 1月も10日になり、ようやく正月モードから仕事モードへと体と頭が慣れてきたところでしょうか?健康で働けるのは、幸せなことです。健康でいるための基本は、バランスの良い食事と適度な運動です。それでも健康状態を保てなくなった時には、病院に行くことになります。しかし、病院の選び方を間違えると、命を落とす可能性があることが、昨年末に報道されました。『群馬大病院第二外科(消化器外科)の腹腔鏡を使った肝臓手術で、60<~80代の男性5人と女性3人の患者が、2011~14年の術後2週間から100日以内の容体悪化で死亡していた。』というものです。詳しい経緯は調査中ではありますが、他の病院で通常の開腹手術を受けていれば、術後に亡くなることは無かったものと考えられます。病院選びが如何に大切かを示しています。

 病院を選ぶ基準として、大学病院が一番優れていて、教授は名医中の名医という印象をお持ちの方が多いと思います。しかし、必ずしも大学病院が良い訳ではなく、教授イコール名医ではありません(一部には名医もいますが、、、)。その理由は、大学病院の目的は第一に研究、第二に学生の教育で、患者の治療は三番目以下なのです。大学病院に勤務する医師の多くは、研究に興味があるから勤務しているのです。多くの研究論文を書いて、その結果として教授になりたい目的があります。教授が選ばれる基準は、名医だからではなく、いかに沢山の論文を書いたかで評価されるのが一般的です。昔、教授の診察を受けるために封筒に札束を入れて渡していた時代がありましたが、ナンセンスなことです。故に、大学病院の医師の多くは、研究材料になりそうな患者には興味があるのですが、(言葉が悪いのですが)それ以外の患者は時間の浪費になっています。さらに、大学病院に行くと、しばしば学生の練習台にさせられます。学生は練習しないと一人前になれないので、仕方がないことなのですが、受診にはそのつもりでいかないといけません。

 次に、開業医の選び方です。開業医が『内科』や『小児科』などの看板を掲げていますが、この看板の診察科の表示はどの様になっているかご存知でしょうか?実は、医師免許さえあれば、診療科の表示は自由なのです。ですから、医師が一人でやっている医院でも、総合病院のように沢山の診療科が表示してある場合があります。これは、専門ではないが、とりあえず沢山の患者に来てほしいという意思表示です。この様な場合は、一般的には一番上に書いてあるのが専門診療科で、他は付け足しです)。美容整形やレーシック手術(視力回復手術)では、専門外の不慣れな医師の処置で、後遺症を患った例が少なくありません。治療実績を確認することが賢明です。

 個人病院であっても単科の専門病院には、患者の治療に情熱を持った医師がいる確率が高いように思います。例えば、徳島大学の近くの『藤田眼科』は小さな医院ですが、眼科専門の医師が数人で診察しています。藤田善史院長先生は、白内障手術などではまさに名医です。手術は、メスを入れて濁った水晶体を取り除き、人工レンズを折りたたんで挿入して中で広げ、傷口をふさぐまで、ほんの1~2分位と感じるほどの手際の良さで、神業です。さらに、手術中の様子を録画して患者全員に配っています。万が一に失敗た場合には、録画は決定的な証拠になるわけですから、私は絶対失敗しませんといっているのと同じで、テレビの『ドクターX』を地で行っています。病院スタッフも、院長先生の優しそうな人柄が反映されていて、受け付けは笑顔で挨拶してくれます。30分以上待たされることは殆ど無いようですが、看護師は必ず『お待たせしました。』と一言いってから、検査や診察の準備に入ります。患者は、体の具合が悪くなると気持ちも落ち込んでくるのが常ですが、この様な病院で治療を受けると、体も心も回復が早くなると思います。

 自宅近くに、普段の体調を理解してもらっている『かかりつけ医』がいることが理想であり、出来れば腕の良い医師であってほしいものです。前記のような良い病院を選ぶコツは、近所の評判を聞くことや、治療実績や評判の情報をインターネットなどで収集することでしょう。担当医の経歴や手術実施症例数などを公表している場合は、比較的信用度は高いように思われます。また、実際に病院(医院)に行ってみて、受付の事務スタッフが笑顔で挨拶してるような場合は、院長の人柄が良く、患者思いのことが多いと思います。逆に、玄関のスリッパが汚くて履き替えるのをためらうような場合、トイレなどの清掃が行き届いていない場合などは、ズボラで不勉強な医師の病院(医院)であることが予想されます。後悔しない病院選びは重要ですので、参考になれば幸いです。

 次回は、名医とやぶ医者の見分け方です。

謹賀新年

2015年01月01日


明けましておめでとうございます。

元旦は、朝から飲める特別な日なので、酒飲みには最高です。酒は百薬の長で薬になりますが、飲みすぎると毒にもなるので、飲み方を考えましょう。

統計学的にみると、酒を適量飲む人は飲まない人と比較すると、長生きであることが知られています。その理由は、飲酒が血管を拡張させ血液の流れを改善することや、ストレス解消にもつながることなどが要因と考えられています。では、“適量”とはどの位かというと、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本位が目安です。(酒飲みには少し物足りない量です。)

ただし、日本人は遺伝子的に酒を飲めないタイプが半分ですので、この方たちは無理に酒を飲むのはよくありません。アルコールは、アルコール脱水素酵素で有害なアセトアルデヒドになり、アセトアルデヒド脱水素酵素で無害な形に分解されて、最終的に水と二酸化炭素に代謝されます。飲めない方は、有害なアセトアルデヒドが分解できない体質なので、少量の飲酒でも吐き気や動悸などがするのです。1対2本の染色体の両方に分解できる遺伝子を持ったタイプは酒に強い方で、どちらか1本に分解できる遺伝子を持った方は酒を飲むことで体が慣れるので少しは強くなります。しかし、2<本のどちらの遺伝子にも分解能力のないタイプの方は、決して酒に強くなることは有りません。このタイプの方が無理に酒を飲んでも長生きすることはなく、逆に害になりますので、飲まないことが賢明です。

なお、飲み過ぎた時の肝臓には“ウコン”が良いと思っている方が多いと思いますが、健康食品の中で肝炎を起こす最も多い原因がウコンなのです。ウコンには鉄分が多いので、障害を起こした肝臓は、ウコンの鉄分でよりダメージを受けるのです。シジミも肝臓保護剤のように思われていますが、同じく鉄分が多いので、多量に摂取すると、肝障害が悪化します。健康食品に頼ろうとせずに、飲酒量を考慮して楽しいお酒を飲みましょう。

余談ですが、私は、若い時はウイスキーが好きでした。年齢を重ねた今では、日本酒が好みです。新潟や秋田などの米どころの日本酒を、冷蔵庫で冷やして飲むと、それぞれの味わいが良くわかって最高です。(日本人で良かった!)正月は、子供や孫の顔をみながら、今年も1年皆が健康であるように願って、明るいうちから飲めることが何よりの幸せです。

次回からは、また医療に関する記事になります。最初は、良い病院の選び方、②名医とダメ医者の見分け方、賢い患者になるために、を掲載予定です。ご期待ください。