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朝食

孤食でも鏡をみると美味しくなる

2017年07月01日

孤食(一人での食事)でも鏡で自分の姿を見ると美味しさがアップするという研究結果を、名古屋大学の研究チームがアメリカの医学誌に発表しました。

核家族化や転勤などで、一人で暮らす人が増えています。当然ながら、一人暮らしでは食事も孤食になってしまいますが、一人の食事は何故か美味しくは感じません。そんな時に、鏡に映る自分の姿を見ながら食事をすると、美味しさがアップするとのことです。研究方法は、高齢者と大学生の両チームで塩味とキャラメル味のポップコーンを食べた時に、正面に鏡をおいて自分を見ながら食べた場合と、同じ大きさのモニターに壁を映した場合を比較しています。その結果、高齢者と大学生の両グループ共に、自分の姿を見た時の方が美味しさを感じていました。食事は、一人の時は味気なさを感じますが、好きな人と食べるとより美味しく感じます。たとえ自分の姿であっても、一緒に食べているという感覚が起こることで、美味しさが増すと考えられます。

話は少し異なりますが、孤食(一人で食事)の回数の多い子供ほど非行に走りやすい傾向があります。親が子供に食事を与えるのは愛情表現の一つですが、その愛情を感じ取る機会が少ないことが心の健全な成長を阻害してしまうのです。家族での一家団らんでの食事風景は、今は昔になりつつありますが、共働きで忙しいお父さんやお母さんも、出来るだけ家族と一緒に食事を摂ることでより美味しく感じますし、子供達も心身共に健全に育っていきます。一家団らんの食事ができる世の中になって欲しいものです。

新学期・新年度を期に朝食の習慣を

2017年04月10日

新学期、新年度が始まりました。特に、小学校の新1年生のご両親やおばあちゃん、おじいさんは喜んでおられることと拝察いたします。お子さんやお孫さんが元気に、そして優秀な学校生活をしていくには、しっかりと朝食を摂ることが必要です。

特に、一日の活動に必要なエネルギーを補給する朝食は重要な意味合いがあるのですが、最近は朝食を摂らない子供が増えています。文部科学省の調査では、小中学生の1割以上が朝食を摂っていません。別な調査では、もっと高い欠食率を報告しているものもあります。朝食を摂らないことによる影響として、第一に学力の低下があります。エネルギー不足により、集中力の欠如や眠気が原因です。多くは、夜更かしが関係しており、朝起きられないことで時間が無いことや空腹感を感じないのです。

子供のみならず中高年でも、朝食抜きのリスクが知られています。朝食を摂らない場合は、血圧の上昇が大きくなります。その結果として、朝食を毎日摂る群と比較すると、朝食が週に2回以下の群では、脳出血のリスクが36%も高くなると報告されています。

新学期・新年度を期に、早寝早起きして朝食を摂る習慣をつけましょう。

朝食抜きは脳出血リスク36%増

2016年03月01日

朝食を抜くことが多い人ほど、脳出血のリスクが上昇することを、国立がん研究センターなどの研究グループが発表しました(Stroke 2016年47;477-481)。

対象は、国内8県の45~74歳の8万2772人(男性38,676人、女性44,096人)で、平均で13年間追跡調査しています。この間に脳卒中を起こした3772人で、朝食の摂取回数と発症の関係を解析しています。その結果、毎日朝食を摂る群と脳出血のリスクを比較すると、朝食の回数が週に「0~2回」では36%増、「3~4回」では22%増、「5~6回」では10%増でした。この結果は、明らかに朝食の回数が少ない方が脳出血のリスクが高いことを示しています。この因子として指摘されているのが、朝食を抜くと空腹によるストレスで血圧が上昇することです。

血圧は、一日の間で常に変動しています。日内変動のパターンとして、昼は仕事で体を動かすので高めになっていて、夜に寝てから徐々に低下します。翌朝に目覚めると徐々に上昇して日中の活動に備えます。この朝の上昇カーブが、朝食を抜くことで急激になります。特に、早朝の急な血圧上昇は脳出血のリスクを高めるのです。

これまでに、朝食を欠食することで高血圧のみならず、肥満、脂質異常症、糖尿病などのリスクが上昇することが指摘されていました。子供では、学力低下を招くことも知られています。本ブログで常に「健康の基本は、バランスの良い食事と適度な運動」と書いています。一般的に、朝食を毎日食べる人は健康的な生活習慣の人が多いので、脳出血のみならず、他の疾患の発症率も低下します。食事の重要性が再確認される発表でした。

睡眠と健康: 体内時計

2015年09月01日

今日から9月です。お子さんやお孫さんは、元気に学校に行きましたか?子供の健全な成長や大人の健康維持には、規則正しい生活が不可欠ですが、体内時計を正確に作動させるためなのです。

私たちの体の中には体内時計があり、朝起きると血圧や体温が上昇し、就寝前に低下するなどのスケジュールを24時間の周期でコントロールしています。体内時計の主時計は脳にあり、全身の細胞に存在する末梢時計と連携して働いています。連休などでは夜更かしに成り易いのは、この体内時計は25時間周期なので、毎日リセットしないと1時間ずつ遅れるためです。なお、海外旅行の時差ぼけは、太陽と同じ方向への移動(西向き)では軽く、東方向で酷くなります。東方向では、1日が24時間より短くなるので、体内時計を長い方向に調整することに慣れていないためです。不規則な生活で体内時計が狂うと、肥満や糖尿病、がんなどの発症リスクを高めることが知られていますので、毎日のリセットが不可欠です。25時間周期の体内時計を24時間にリセットする為には、朝日(太陽光)と朝食が欠かせません。

朝日(太陽光)の青い光を浴びると、体内時計に関与する遺伝子のスイッチが入り、1日の活動の始まりを認識します。曇りや雨の場合でも、太陽光は届いていますので、有効です。逆に、スマホやパソコンは、太陽光に似た刺激があるので、夜の使用は体内時計を混乱させ不眠症などの原因にもなります。お子さんやお孫さんの深夜のスマホは、体内時計を狂わせるばかりでなく、前回記載の生長ホルモンの分泌も阻害しますので、成長や健康維持には悪影響があります。早寝して、起床したらカーテンを開け、体内時計をリセットしましょう。

起床後1時間以内に朝食を摂ると、抹消時計がリセットされ、主時計と同調するので、体内時計は規則正しく作動します。体内時計をリセットするのに有効な朝食メニューは、炭水化物とタンパク質を同時に摂ることです。欧米行きの機内食では、時差ボケをより軽減させるために、炭水化物とタンパク質を入れたメニューになっています。例えば、ご飯に魚の干物と味噌汁などの和食や、洋食でトーストなら目玉焼きにミルクなどを組み合わせることで摂取できます。朝食を摂らないと体内時計がリセットしにくいので、子供は勉強に集中力が欠け、大人は仕事の作業効率が低下することが知られています。

朝は、同じ時間に起きて、朝日を浴び、朝食を食べることで、体内時計がリセットされて、1日の活動リズムが出来上がります。規則正しい生活で、健康長寿を目指しましょう!