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高脂血症

コレステロール:糖質制限により急上昇のメカニズム

2018年08月01日

糖質制限により脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が上昇したとの相談を複数の方からいただきましたので、その機序を説明します。

コレステロールは、食事から20~30%、体内合成が70~80%で成り立っていて、食事で摂取する量が多ければ、体内合成が減って、トータルで一定になるように調整されています。ところが、極端な糖質制限をするとエネルギー源の殆どが脂質とタンパク質になります。食事からの脂質の摂取量が極端に増えると、体内の合成を減らす調節が対応出来ずに、脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL、HDL)が増えていきます。

糖質は取り過ぎるといけないのですが、極端な糖質制限は栄養バランスを崩すので、健康を害する因子になります(糖質制限で糖尿病のリスク増)。理想的で健康的な栄養の取り方は、糖質50%でタンパク質と脂質で50%です(健康長寿は炭水化物の減と脂肪の増)。

なお、LDLが高いと血管を詰まらせて心筋梗塞などを引き起こすというのは、単なる脅しで医学的根拠はありません。アメリカではコレステロール値の測定は必要ないし、高くても治療はしません。(遺伝性の高脂血症を除く)(コレステロール:アメリカでは検査も治療も必要なし )しかしながら、何事もバランスが大事です。
私の意見は、極端な糖質制限を止めて、食事のバランスを糖質50%とタンパク質と脂質で50%にすることです。理想的な食事のバランスは、糖尿病の食事療法であり、これは健康な方にも適用されます。

反響の大きかった『コレステロールの基準値と対策』

2017年07月20日

本ブログでは、コレステロールに関する記事を沢山書いてきました。特に、コレステロールの基準値の記事は反響が大きく、未だに多数のアクセスがあります。また、病院での服薬治療に対する不安や疑問を持った方々や生活習慣の改善などについて知りたいという方々が、電話やメールでの無料健康相談にお越しいただいております。そこで改めて、コレステロールに関する基準値の解釈や安全な高脂血症対策について、私見をまとめます。

①     患者数急増の原因

高脂血症と診断された人間ドックの受診者は、1990年には8.9%でしたが、2014年には33.6%に急増しています。この急増の原因の一つとして、食生活の欧米化と運動不足が挙げられていますが、主因は基準値の引き下げにあります。1976年には総コレステロールの基準値の上限は 260 mg/dl でしたが、1989年に高脂血症薬メバロチン(スタチン系)が発売されると219 mg/dlになり、2014年からは199 mg/dlに引き下げられたので、基準値を超える受診者が増えるのは当然のことです。この基準値の引き下げとコレステロール悪者説の脅しで、高脂血症薬はドル箱商品になっています。2013年10月30日:健常人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)

②     基準値とは?

基準値とは、健康に全く問題が無い対象者の95%が入る範囲(緑色の矢印の範囲)をいいます。従って、2.5%は基準値以下(水色の部分)になり、健康な人でも2.5%は基準値を超えます(オレンジ色)。人間ドックの受診者は殆どが病人ではないので、基準値を超える割合は2.5%を大きく超えることはないはずなのですが、30%以上の受診者(赤の部分)が高脂血症と診断されています。従って、現在の基準値の上限は、明らかに低すぎるといえます。2014年に人間ドック学会が示した基準値が本来の基準値の範囲であり、理にかなっているのです。2014年5月1日:基準値のウソが修正される?2015年4月1日:正義(人間ドック学会の基準値)は力で潰された?

③     対策

コレステロールは、細胞膜、ホルモン、胆汁などの原料として重要な成分ですので、低すぎると健康を害します。しかし、2014年の人間ドック学会の示した値を大きく超えることも芳しくありません。その場合の対策は、一部の家族性高脂血症の場合を除いて直ぐに服薬ではなく、食事療法と運動療法から始めるべきです。総コレステロールはLDL+HDL+中性脂肪/5で計算できますが、HDLが高値になる高脂血症は殆ど無いので、LDLと中性脂肪を減少させることで総コレステロール値の低減を目指します。LDLの低減には、食事療法が主になります。食物繊維の多い野菜、キノコ、海藻などを積極的に摂り、コレステロールや脂肪酸の多い動物性脂肪、魚卵、バターなどを減らします。中性脂肪の削減には、食事療法と運動療法の両者が有効です。食事では、飲酒量の削減、お菓子やケーキ類などの甘味を控えることが必須です。中性脂肪はエネルギー源ですので、運動で燃やしてしまう事で低下します。運動は、有酸素運動を継続することが必要ですから、楽しく出来ることを選んで下さい。2016年7月20日:高脂血症と対策2016年7月1日:「ホームページからの健康相談」の上手な利用法(LDL)

④     高脂血症薬の副作用

食事療法と運動療法で効果が認められない場合は、服薬治療に入りますが、副作用に注意してください。高脂血症薬として最も使われているのが、スタチンという種類の薬です。病院では安全な薬として処方しますが、横紋筋融解症という筋肉が溶ける副作用や肝炎を発症することがあります。横紋筋融解症の症状は、筋肉痛、手足のしびれや力が入らない、尿が赤くなるなどがあります。服薬直後に症状が出る場合もありますが、長期の服用中に徐々に出てくる場合も多くあります。その場合は服薬を止めて、症状が緩和するか様子を見て下さい。(確認は、血液検査のCKや尿のミオグロビン)2015年10月20日:ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

⑤     健康食品

高脂血症薬の副作用を危惧する場合、健康食品としてお勧めなのはクコ(枸杞子)です。副作用が無く長期服用できる養命薬として漢方で用いられ、近年ではスーパーフードとして日本のみならず海外のセレブにも人気の食材です。その理由は、主成分のベタインには抗脂肪肝作用や血圧降下作用、生活習慣病の予防効果に加え美容効果も期待できるからです。私の研究している美露仙寿(めいるせんじゅ)は、クコを主成分に7種類の植物の濃縮液ですが、継続飲用で総コレステロールの低減、代謝や免疫力が向上するデータなどを医学誌に掲載しています。医薬品に抵抗のある方は、試してみて下さい。2016年9月1日:枸杞子(クコシ)のコレステロール抑制効果

以上が、コレステロールに関する私の見解です。自分の健康状態を判断するのに、どの基準値を採用するか?服薬をするか否か?は、読者の皆様の判断になります。色々な情報を考慮した上で、最善な方法を選択して下さい

 

 

高脂血症と対策

2016年07月20日

健康相談で圧倒的の多いのがLDLです。その理由は、これまでに度々本ブログに書てきたように、低すぎる基準値の上限とコレステロール悪者説による脅しの結果です。本来の基準値の上限は、健康な人の2.5%(下限も2.5%外れるので合計5%)が外れる値なのですが、現在の健診の基準値である総コレステロール199 mg/dl とLDLの119 mg/dl では、健康に全く問題のない中高年の半分以上が異常高値になり、病人扱いされています。さらにこの方達は、コレステロールが血管を詰まらせ、それを運ぶのが悪玉のLDLという間違った情報で脅され、服薬治療を強要されるのです。実際は、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの大切な原料であり、これを組織に運ぶ役目がLDLなので、これらの成分が不足するとがんや認知症などに罹患しやすくなります。さらに、コレステロールが血管に付着するのは、血管の動脈硬化などを修理している状態なので、血管を詰まらせているというのは全くの濡れ衣です。従って、総コレステロールやLDLは、基準値よりやや高めの人のほうが長生きしています。

しかしながら、脂質濃度が極端に高い場合は、改善が必要です。高脂血症の原因は大きく2つに分類され、1つ目の遺伝的に高い体質の家族性高脂質血症は服薬が必要ですが、全体の中では少数派です。多くの場合は、2つ目の暴飲暴食に運動不足が重なったタイプで、バランスの良い食事と有酸素運動の生活改善で基礎代謝を上げることにより、以前の値まで戻す事が可能ですが、時間と根気が必要です。そこで、副作用の心配がなく脂質代謝向上をサポートするのが、私が研究している漢方飲料の美露仙寿(めいるせんじゅ)です。美露仙寿は、枸杞子(くこし)、山渣子(さんざし)、余甘子(よかんし)、菊花(きっか)、鹿角霊芝(ろっかくれいし)、大棗(たいそう)、ヨクイニンの7種の漢方に用いられる植物の抽出濃縮液です。この抽出濃縮液を、健康な方々に1日当たり15 ml 瓶4本を3か月間飲用した結果を示します(医学検査61: 541-547, 2012より抜粋)。他の生活は、全く変更はありません。

その結果、総コレステロールは225.3 から212.2 mg/dl へ統計学的に有意に低下しています。この研究でLDLは実測していないのですが、LDL=総コレステロール ーHDL-中性脂肪÷5で計算できます。上表の様に、HDLは変化していないので、LDLと中性脂肪の合計が低下していることになります。これまでの研究で、美露仙寿は基礎代謝を向上させ、基礎体温の上昇や血流量の増加が確認されています(未病システム学会雑誌21: 1-6, 2015)が、上記の結果より、同時に脂質の代謝も改善されるものと考えられます。健康長寿の基礎は、バランスの良い食事と有酸素運動ですが、美露仙寿はそのサポーターと成り得ます。

高脂血症を指摘された方々は、服薬が必要なのか、どのような生活改善をすべきか、本ブログの高脂血症のカテゴリーの記事を参考にして考えてください。

「ホームページからの健康相談」の上手な利用法 (LDL)

2016年07月01日

ホームページからの健康相談を、沢山の方々にご利用いただきまして、有難うございます。相談の検査項目のみならず状況把握ができる詳細なデータあると、より適切なアドバイスをすることができます。ご相談件数が最も多いLDLと血圧(次回)を例に、上手な相談の仕方を説明させていただきます。

相談例 【LDLが200 mg/dl を越えています。短期間に低下する方法をアドバイスください。】

上記の場合、LDLの記載しかありません。ご相談のLDLの高値の原因として食べ過ぎ、アルコール摂取過多、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣と、体質的なもの(遺伝的)があり、原因により対応が違ってきます。生活習慣なのか体質的なものかを判断する為に、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況などを総合的に見て、どちらが原因かを判断します。生活習慣が原因の場合には生活改善である程度まで低下しますが、遺伝的な場合には服薬が必要です。以下に、A、B、Cの3人の例で説明します。

Aの場合は、中性脂肪と他の3項目も全て高いので、暴飲暴食が原因の可能性が強い症例です。このタイプは、カロリーの摂り過ぎなので肥満がある場合が多いです。身長と体重の記載があれば、さらに確定的です。カロリー制限と有酸素運動で、高脂血症の改善が期待できます。

Bの場合は、BMI=22.1 の標準体重であることから、暴飲暴食の期間が短いことが推測されます。元々やや高めの脂質に加えて、最近の運動不足と食べ過ぎが原因で値が上昇したと考えられます。1カ月前から始めた運動と食事制限で、中性脂肪は著しく改善していますが、総コレステロールは運動と食事制限で低下するには長期間を要しますので、まだ成果が出ていません。なお、総コレステロールは変動幅が小く極端に低下することは有りませんが、運動により基礎代謝を向上させることで、暴飲暴食をする前の値くらいまでゆっくりと低下していくと予想されます。

Cの場合は、総コレステロールとLDLが高いのですが、中性脂肪は高くはないので、食事が原因とは考え難いです。さらに、HDLが低くてLDLとのバランスが崩れているので、家族性の高脂血症(遺伝性)の可能性が高いと考えられます。このタイプは、肥満は無く痩せている場合も多いです。家族内にも同様の高脂血症者がいる可能性があります。この症例の改善には、高脂血症薬の服用が必要になります。

他には、糖尿病や甲状腺の病気、薬剤が影響して上昇するケースもあります。ですからLDLが高いといっても、食事や運動療法で改善が見込まれる場合、服薬が必要な場合、疾患の治療で低下する場合などがあります。LDL以外にも、罹患している病気、服用している薬剤、総コレステロール、中性脂肪、HDL、身長、体重、年齢、肝機能の値、喫煙、運動、家族の健康状況など、多くのデータを添付してくださることで、より的確なアドバイスが可能になります。

【参考記事】

2015年10月20日:ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

2015年4月10日:コレステロールは食事制限の必要性なし!

2014年5月1日:基準値(正常値)のウソが修正される?

2013年10月30日:健康人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)

ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

2015年10月20日

『ホームページからの健康相談』を利用していただく方が、増えてきました。担当者としてはうれしいことです。相談内容で最も多いのは、総コレステロールまたはLDLコレステロールが正常値を越えたために薬を処方されたが飲むべきか?というものです。この内容に関してこれまでに本ブログに掲載してきた記事は、

などがありますので、これらの記事の内容を理解しやすく短くまとめてみます。

1: コレステロールの役割とは?

コレステロールの主な役割は、①細胞膜の原料、②ホルモンの原料、③胆汁酸の原料です。コレステロールは大切な栄養素で、これが無いと生命を維持する事が出来ません。また、LDLコレステロールの役割はコレステロールを必要な場所へと運ぶ運搬係として重要で、悪玉ではありません。HDLコレステロールは、余分な分を持ち帰る係です。

2: コレステロールの誤解

コレステロールが悪者扱いをされる発端は、ウサギにコレステロールを与えたら動脈硬化を起こしたといういい加減な実験報告でした。何故にいい加減かといえば、ウサギは草食動物であり、動物性のコレステロールは食べません。無理に与えれば具合が悪くなるのは当たり前ですし、このウサギの動脈硬化は血管の外側にできていたので、内側に付いて血管を詰まらせるとの根拠にはなりません。確かに、動脈硬化を起こした人の血管にはコレステロールの付着が認められるのですが、この付着は動脈硬化の炎症をコレステロールが修復していることが近年の研究で明らかになっています。コレステロールは血管を詰まらせるのではなく、修復しているのです。

3. 基準値(正常値)の不適切さ

基準値(正常値)とは、健康な人の集団において、全体の95%が入る範囲をいいます。現在の総コレステロールの基準値は、220 mg/dl以下になっています。この基準値では、中高年の約半数が異常高値になってしまいますので、基準値の上限の設定が低すぎることは一目瞭然です。昨年の人間ドック学会の報告では、健康な数万人の中高年の統計で、総コレステロールは男性254mg/dl、女性で280mg/dl、LDLは男性178mg/dl、女性で190mg/dl位までになっています。

4: 基準値設定の経緯

1976年(昭和51年)の基準値の上限は260 mg/dlだったのですが、1990年(平成2年)に高脂血症薬のメバロチンが発売された直後に、基準値は220 mg/dl に引き下げられ、一夜にして約2000万人が高脂血症患者になりました。現在のコレステロール関連の年間医療費は、なんと7500億円以上です。

5: 高脂血症で低死亡率

現在の基準値で高脂血症と診断されている人と正常域の人とを比較すると、脳卒中で入院した場合の死亡率は、高脂血症の方が逆に2分の1から3分の1に低いと報告されています。また、テレビのコマーシャルでは、有名人を使ってLDLが高いと心筋梗塞になるので“LDLが高い人はお医者さんへ”と宣伝しています。実際には、LDLコレステロールと心臓病死ならびに総死亡率との統計的関係を調べると、逆にLDLコレステロールが高い方が総死亡率は低い結果を示しています。LDLコレステロールは、基準値より高めで、男性は100~180 mg/dl位、女性は120 mg/dl 以上の方が長生きの傾向があります。現在の高脂血症の定義の矛盾は明らかです。

6.コレステロールは食事の影響なし

本年2月にアメリカの厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」から、「コレステロールは、過剰摂取を心配する栄養素ではない」との報告書が公開されました。即ち、食事と血清コレステロールの間には明らかな相関は無いので、食事制限は必要ないということです。コレステロールの約70%は、体内で合成されます。従って、卵やイカなどの食事から沢山のコレステロールを摂取した場合には、吸収量を落としたうえに体内で合成量を減少させるので、血中のコレステロール濃度は一定に保たれます。動物性の脂肪には体内で合成できない必須脂肪酸も含まれているので、高齢者も適量の動物性脂肪を摂取する必要があります。

7: まとめ

*現在の基準値である総コレステロール220 mg/dl、LDLコレステロール140 mg/dl は、設定が低すぎるので、健康な中高年の約半数の人が異常値になる。

*現在の基準値を少し超えた人の方が、元気で長生きしている。

*コレステロールは食事に影響されないので、肉、魚、野菜、果物など、バランスよく摂ることが必要。

*薬でコレステロールを下げ過ぎると、うつ病やアルツハイマー病に罹りやすくなる。

負のイメージばかりが強調されているコレステロールですが、実際は大切な栄養素です。何が本当で何が嘘なのか、基準値を超えた場合に薬を飲むか飲まないかは、よく考えてご判断ください。