「アレルギーの臨床」8月号に“美露仙寿”の研究論文

2014年07月20日

近年、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の罹患率が上昇して、国民病と言えるほどになっています。アレルギーの発症や罹患率の上昇の要因には、種々の因子が総合的に関与する可能性が指摘されています。例えば、生活環境の変化があります。小児の時期に、きれい過ぎる環境にいるとバランスの良い免疫システムを構築できなくなると言われており、逆に牧場などで家畜とともに過ごした子供はアレルギー発症が殆どありません。また、回虫などの寄生虫に感染しているとアレルギーの発症率が低くなることも知られていますが、今では寄生虫の感染率も非常に低くなっています。このようにアレルギーを発症し易い体質の人が増えたことに加え、車の排ガスや食品添加物などの化学物質の増加で、刺激を受ける機会が増えたことなどが積み重なって罹患率の上昇に影響していると考えられます。

アレルギー疾患の治療には、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤などが汎用されていますが、これらの薬剤は対症療法であり疾患の根本治癒は望めません。さらに、ステロイドは顆粒球を増大させて免疫力が低下し、さらなる継続使用は炎症のみならずアレルギーの慢性化も招く危険性があるのです。抗ヒスタミン剤も、副作用による眠気や集中力・認知力の低下で、社会生活に支障が出ることがしばしばです。

そこで、副作用が無く根本治癒の可能性として漢方成分の「美露仙寿」を検討した論文が、「アレルギーの臨床」の8月号に掲載されます(7月20日発行)。8月号は「漢方とアレルギー」の特集号で、数ある漢方飲料の中で「美露仙寿」に執筆依頼がありました。本誌8月号の執筆者は、

岐阜保健短大 学長: 永井博弌 先生

慶応義塾大学医学部漢方医学センター: 渡邊 賢治 先生

聖マリアンナ医大 内科・漢方: 崎山武志 先生

富山大学 和漢薬研究所: 門脇 真 先生

他、有名大学の先生方ばかりで、一緒に掲載していただけるのは名誉なことです。

論文の題は、「7種漢方健康飲料の抗アレルギー剤としての可能性」で、私の他に共著者は崇城大学薬学部の周建融先生、横溝和美先生、宮田健先生です。

内容は、美露仙寿の飲用で、マウスの乳酸菌が増え、女性の便秘を改善させたことから、免疫寛容に関与する腸内細菌叢が改善されたと考えられた。また、免疫系では培養細胞のインターフェロン-γ分泌量、ヒトのCD8発現T細胞数とNK細胞活性が美露仙寿で上昇していることから、強固な免疫システムが構築され、サプレッサーT細胞の暴走を抑制できる下地が作られていた。これらの結果と、これまでのアレルギー疾患の美露仙寿による改善報告を加味すると、美露仙寿が有望な抗アレルギー剤に成りえる可能性が示されています。

この雑誌に掲載されているのは、医療関係者や研究者向けに書かれた医学論文ですので、一般の方には少し難しい内容なのですが、是非ご一読ください。

1周年:人気記事ベスト10

2014年07月10日

  今回も「医学博士の健康ブログ」にお越しくださいまして有難うございます。お陰様で、ブログが始まってから1年が過ぎ、40の記事を掲載しました。アクセスの多かった記事は、以下の通りです。

上位のベスト3は、健康な人を病人に仕立てて、必要のない治療や投薬をする医療のカラクリです。このブログをお読みの方は、医療の裏側がみられるので、医者や病院に騙されない知恵がついていると思います。しかし、多くの方が医者の言葉は絶対的に正しいと信じているのです。中には、趣味のごとく病院に通い、健康のためにと大量の薬を飲んでいる方もおられます。こんな事をしていたら、健康な人でも病気になってしまうのに、と思うこともしばしばです。何が正しくて、何が間違っているのか、正しく判断できるように勉強しましょう。

人生で一番大切なものは、自分と家族の健康です。これからも、健康管理に役立つ記事を書いていきます。今後とも、ご愛読のほどお願いいたします。

 

ホルモン剤で癌のリスク増

2014年07月01日

 重度の更年期障害に悩む患者さんは、少しでも楽になりたいとの思いからホルモン剤の投与を希望される方が少なくありません。このホルモン補充療法は、女性ホルモンを投与すること で、急激な女性ホルモン低下によって生じる、のぼせ・ほてり・発汗異常などを伴う更年期障害を改善させるものです。

  しかし、治療に使われるホルモン剤は、乳がんの発生増加と死亡増加と関係していると報告されています。閉経後の16000名を、ホルモン投与群とプラセボ群(偽薬)に分けて、約8年間観察すると、乳がんの発生率は投与群で385名に対しプラセボ群は293名で、投与群で1.25倍高くなります。乳がんでの死亡者は投与群で51名、プラセボ群では31名と、1.57倍もホルモン投与群で高くなっていますまた、このホルモン投与によって増大した乳がんリスクは、投与の中止で顕著に減少し、投与を中止すると約2年で元の状態に戻るというのです。この発表でも、8500名の女性にホルモン剤の投与を行い、8100名の女性はプラセボ群として、両者を比較しています。乳がんの発生率は、投与群で1.26倍に上昇していました。

  同様に、ホルモン剤の投与は、子宮体がんになりやすいこともわかっています。更年期障害がつらいのは理解できるのですが、医師はホルモン投与のリスクの説明を充分にすべきですし、患者側はこの説明を聞いた上で、症状の改善効果ががん発症のリスクをはるかに上回ることを納得してから行うべきです。