風邪とインフルエンザ(予防)

2017年12月01日

今日から12月になり、本格的な寒さの季節になりましたので、風邪やインフルエンザの感染に注意が必要です。風邪の原因の約9割は、ウイルスの感染が原因です。ウイルスが喉や鼻の粘膜に感染して増殖し、炎症を起こすことで鼻水や発熱、頭痛などの症状を引き起こします。インフルエンザもウイルスなのですが、風邪と比較すると、その進行が急激で、発熱や咳、頭痛や筋肉痛などの症状が極めて重いことで区別されています。

風邪やインフルエンザの予防や対策には「知識」という武器が必要です。そこで、知っているようで意外と知らない基本的な知識を解説します。

1.うがいは水道水

かぜやインフルエンザの予防の基本は、うがいと手洗いです。では、毎日のうがいは何でしたら良いのでしょうか?うがい薬?水道水?のどちらが有効と思いますか?答えは、意外にも水道水なのです。うがい薬はヨードを含んでおり、ウイルスにも効果があるとされていますので、有効性が高いイメージがありますし、テレビCMでも宣伝しています。しかし、このヨードは両刃の剣です。殺菌性の効果の裏側でその刺激性が原因となって喉の粘膜を傷つけてしまうことで、感染し易くなるのです。もう一つの理由は、腸内細菌叢と同じく、口の中にも常在菌がいて、そのバランスが風邪やインフルエンザの侵入を防いでいるのですが、ヨードの殺菌性のために常在菌のバランスが崩れて、感染を引き起こしやすくなるのです。うがい薬と水道水のどちらが感染し難いかを研究した京都大学での結果は、水道水の方が感染率が低く予防効果があるという報告でした。毎日のうがいは、水道水でOKです。

インフルエンザのワクチンは、感染の確率を低くする効果はありますが完全ではなく、接種しても発症する場合もあるのです。一般には、ワクチンの予防効果は50%程度です。その意味は、接種していない100人の内10人が発症したと仮定すると、ワクチンを接種した場合には100人中5人が発症するので、予防効果は50%という解釈です。ワクチンを接種しても発症する因子は、次のように幾つかあります。①接種したワクチンが感染したウイルスと異なるタイプの場合。②感染予防の効果は、接種後約2週間から6ヶ月の期間のみなので、接種直後や半年以降は効果は無い。③接種による免疫がつきにくい体質などが考えられます。特に、子供は免疫がつきにくいので、2回の接種が必要です。

この様に、ワクチンを接種しても感染する人と、逆に接種しなくても感染したことがない人がいます。一般的に、感染し難い体質の人は適度な運動を習慣化していることや、規則正しい生活とバランスの良い食事をしている場合です。ワクチンを接種した人もしない人も、普段の生活パターンを整えて、感染予防に心がけることが必要です。

次回は、感染後の対処について解説します。

栄養ドリンクの危険性

2017年11月20日

慢性的に疲労を感じている方々は、素早くエネルギーをチャージして元気回復を期待する栄養ドリンクに頼っていませんか?しかし、この栄養ドリンクには疲労を軽減または回復させる効果は無いうえに、危険性が潜んでいるのです。

栄養ドリンクを飲んだ時に疲労が回復して元気が出たように感じるのは、カフェインの覚醒作用と糖の燃焼によるエネルギー放出効果などによるもので、一時的なまやかし効果なのです。

カフェインは、交感神経を刺激することで覚醒効果がありますので、血中から消失するまでの間は効果が持続します。しかし、その後はさらなる疲労感が戻ってきます。さらに、カフェインには依存性がありますので、長期の摂取はカフェイン中毒の危険性があり、最悪の場合は死亡例もあるのです。

さらに、栄養ドリンクは一般的には20g程度の糖分を含んでいます。これは角砂糖にすると約7個分に相当します。糖分は体内ですぐに燃焼してエネルギーに変換されますので、元気が出るように感じるのですが、長期の多飲では糖尿病のリスクを増大させます。

疲労回復を考えた飲料を選択するには、基礎代謝の向上と血流量を増加させるようなバランスの良いものが不可欠です。栄養ドリンクの多くにはタウリンまたはアルギニンを含んでいます。これらは肝臓の代謝亢進などの作用はあるのですが、体を活性化させるには他にも多種のアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含む必要があります。上の左図の桶に入れた水のように、1つの物が沢山有っても何か足りないものがあると、そこから水漏れするのです。上の中図のようにバランスの良い栄養補給にお勧めなのは、漢方です。私の研究している漢方飲料の美露仙寿(めいるせんじゅ)は、スーパーフードとして知られているクコが主原料で、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含んでいます。長期の飲用者は、基礎代謝の亢進により体温の上昇が認められ、マウスの実験では疲労軽減効果も確認されています(医学検査;2012年541-547)。漢方は即効性には欠ける面はあるのですが、長期の飲用では疲労回復や滋養強壮にその力を発揮します。(2016.3.10 健康食品:トクホ表示やうたい文句に騙されるな、2016.1.1 美露仙寿の研究論文、:2014.8.20 美露仙寿の冷え性への効果

 

イソフラボンで痩せるは根拠無し!消費者庁が改善措置命令

2017年11月10日

飲むだけで体重や脂肪が減る」とのうたい文句で販売されていた“くずの花由来のイソフラボン”に対して、根拠がなく誇大広告に当たるとして、太田胃散、スギ薬局、ニッセンなど16社に対して改善措置命令が出されました。

この商品は、体重やお腹の脂肪を減らす機能性食品として販売されており、上記に示した太田胃散の広告では科学的根拠有りとして公表していました。しかし、消費者庁の調査では、明らかな痩身効果を示すデータが確認できないとしています。この改善命令に対して、太田胃散では再発防止に努めたいとコメントしています。

この様な商品が販売される裏側には、痩せたいと願う女性が多いことがあります。しかし、この女性達の多くは、太っていないのに自分は太っていると思っているケースや痩せているのが美人と勘違いしているケースが殆どです。美人(魅力的な女性)の第一条件は健康であり、そして生き生き、ハツラツしていることです。根拠の無い健康食品に頼っても、効果はありません。

健康食品に関しては、本ブログではこれまでに度々注意を促してきました。国がお墨付きを与えたトクホでさえも殆ど効果がないものが多いこと(2014.9.1:トクホのウソ(1)、2014.9.10:トクホのウソ(2)、2016.3.10:健康食品;トクホ表示やうたい文句に騙されるな、2017.4.1:「トクホの大嘘」を週刊新潮が特集)、根拠のない健康食品(2017.3.20:根拠の無い健康食品(特に水素水)にご注意)、健康被害の多い商品(健康食品で健康被害(ウコン))などがあります。本ブログを参考に、よく吟味してください。そして繰り返しですが、健康を守る基本は、バランスの良い食事と適度な運動です。

 

独身中年男性のメタボは既婚者の2倍

2017年11月01日

40歳代の中年独身男性のメタボリックシンドローム(メタボ)の割合は、既婚者と比較すると約2倍も高いことを、東京慈恵医大の研究グループが報告しています。

この研究は、同大学の人間ドックを受けた40歳代の男性2113人(既婚1672人、単身赴任131人、独身310人)で比較しています。その結果、メタボと診断されたのは既婚者では11%、単身赴任で10%でしたが、独身では23%で約2倍でした。独身者では、メタボの診断基準である腹囲、中性脂肪、血糖値、血圧の平均値はいずれも既婚者よりも高い結果が出ています。

中年男性のメタボの要因は食生活で、酒と寝る前の夕食と考えられます。一般的に独身者は、ついつい飲みすぎてしまうことが多くなるうえに、揚げ物などのカロリーの高い食べ物が多くなり、野菜が少なくなってしまいます。また、仕事で帰宅が遅くなった時には、食事をしてすぐに寝てしまうことで、メタボになり易い環境になりがちです。これに対して既婚者のメタボ率が低いのは、互いの健康を気遣うことから、食事などの日常生活が改善するためと考えられます。

この研究報告が示すものは、本ブログで毎回主張しているように、健康の基本はバランスの良い食事と適度な運動ということです。近年では生涯独身の割合が増加していますが、健康を守るのは自分自身の管理です。規則正しい生活の習慣を整えておきましょう!

 

大腿骨骨折は西日本に多発

2017年10月20日

寝たきりにつながる恐れがある高齢者の大腿骨骨折は、西日本に多く、東北地方に少ない傾向があり、東西で約2倍の差があることが骨粗鬆症財団などの研究チームから発表されました。

研究内容は、2015年に大腿骨骨折で手術した40歳以上の症例割合を、都道府県別に分析しています。その結果、多いのは男性では沖縄、長崎、和歌山で、女性では兵庫、和歌山、沖縄でした。少ないのは男女ともに秋田、青森、岩手の東北地方の3県で、約2倍の差がありました。

大腿骨骨折の割合が西日本で多く、東北地方などの東日本で少ない理由の詳細は解析されていませんが、カルシウムの骨への取り込みを助けるビタミンKの濃度が東日本で高いことから、これを多く含む納豆の消費量が関係している可能性が示唆されています。他にも納豆の効能には、たんぱく質の補給や腸内細菌叢を整えて免疫力を高めるなどの効能がありますが、ビタミンKは血液をサラサラにする薬(ワルファリン)の作用を抑えますので、服薬中の方は摂取を控えてください。大腿骨骨折の予防法としては、食事によるカルシウムやビタミンD、ビタミンKの摂取のほかに、ウォーキングなどの運動を習慣化することで脳から骨を作れという指令をださせることが重要です。