ストレスで突然死するメカニズム

2017年08月20日

慢性的なストレスで突然死するメカニズムを、北海道大学の研究チームがマウス使った実験で明らかにしました。そのメカニズムとは、慢性的なストレス(本研究では、マウスの飼育箱の底に水を溜めて熟睡させない状態)により、脳内のストレス中枢が活性化して、特定の免疫細胞が脳内に集まり炎症が発生する。この炎症が消化管に広がると、血中のカリウム(K)濃度が増加して心不全を発症して死に至る、というものです。

近年、ブラック企業での加重労働で自殺する件が報道されていますが、ストレスが継続的に加わることで突然死の危険性も増加します。仕事も大事ではあるのですが、命の方がはるかに大切です。いかにストレスを回避するかを考えましょう。

ストレス解消法はそれぞれですが、一般的なものは ①カラオケで大声で歌う。②旅行で気分転換。③温泉やスーパー銭湯などでリラックスなどがあります。他には、漢方も効果があります。崇城大学薬学部で研究している漢方の健康飲料の美露仙寿(メイルセンジュ)の研究データを紹介します。この希釈液を飲料水としたマウスと、水を与えたマウスを、それぞれ水槽で長時間泳がせるというストレスを与えます。すると、水を飲んでいるマウスは短時間であきらめて泳ぐのを止め、                                                      うつ状態になってしまいます。一方、漢方飲料を飲んでいるマウスは長時間のストレスにも耐えて泳ぎ続けます。この様に、漢方には抗ストレス効果もあるのです。上記のようなストレス解消法と漢方を組み合わせることで、より効果的にストレスを解消して突然死のリスクを減らしましょう。

夏バテ防止・疲労回復に飲む点滴:冷やし甘酒

2017年08月10日

暑い日が続いていますが、体調は如何でしょうか?夏バテの防止や疲労回復には、甘酒が最高です。甘酒は冬のイメージがありますが、実は江戸時代には夏の飲み物で、俳句の夏の季語にもなっています。当時は、夏バテ防止のための栄養満点のドリンクが甘酒でした。甘酒には、必須アミノ酸9種を含む多種のアミノ酸、ビタミン群、食物繊維、ブドウ糖、オリゴ糖など多種の有効成分が含まれ、体内への吸収率が高いので、夏バテ防止や疲労回復に適しているのです。

飲む点滴とも言われている甘酒には2種類あり、酒粕と米麹です。酒粕で作られた甘酒は、ビタミンやタンパク質が多く含まれていますが、アルコール分を少々含んでいます。一方、米麹で作られる甘酒は、砂糖不使用でノンアルールですから、赤ちゃんからお年寄りまで安心して飲むことができます。どちらが良いかは、アルコールや味の好みの問題です。

甘酒は、自宅でも簡単に作れます。今回は、家族全員で飲めるように麹の甘酒の造り方をご紹介します。

①お粥炊飯の1合目盛りに合わせて水を入れ、炊飯器のスイッチを入れます。炊けたらスイッチを切り、60度くらいまで冷まします。

②乾燥米麹100gに、ぬるま湯1/2カップくらいを(分量外)加え混ぜます。

③温度が下がった①のお粥に②を加え、麺棒ですりつぶすようにしながら混ぜ合わせます。

④布巾をかぶせ、蓋は閉めずに8時間寝かせます。途中30分~1時間おきにかき混ぜ、温度を均一にします(60度くらいを保つようにします)。

お好みの甘さと粒加減になったらOKです。この甘さは、麹菌の酵素でお米のデンプンが分解されたブドウ糖の自然な甘みなので、さっぱりヘルシーです。出来上がったら、冷蔵庫で数日は保存可能です。コップ一杯の冷やし甘酒を、家族の健康管理にお役立て下さい。

血液1滴で13種類のがんを早期発見のマイクロRNA法が臨床研究へ

2017年08月01日

血液1滴で13種類のがんを早期発見できるマイクロRNA法が、来月から国立がん研究センターで臨床研究が始まり、3年以内の実用化を目指します。この方法は、本ブログの2014年10月10日:がん・予防(2)の中の④最新のがん検査(マイクロRNA)で紹介しました。測定原理は、がん細胞と正常細胞では遺伝子の働きを調節するマイクロRNA(短いRNA)の種類が異なり、その違いはがんの初期段階であるステージ1でも高確率で検出できます。13種類のがんの検出率は95%以上で、乳がんでは97%です。

これまでのがん検診では、乳がん検診のマンモグラフィーに特徴的なように、陽性であるにもかかわらず検出できずに手遅れになるケースも見られており、その結果としてがん検診の受診者と受けないグループでは死亡率に差がありませんでした。2017年2月10日:乳がん検診:マンモグラフィーの問題点、2013年10月10日:がん検診で死亡率は低下しない

このマイクロRNA法によるがん検診が定期検診や人間ドックに取り入れられると、患者さんの肉体的負担は低減し、がんによる死亡率の大幅な減少が期待できます。さらに、米国立衛生研究所の小林博士の研究しているがん細胞の光治療は、外科手術の必要が無く高確率で完治できるのですが、こちらの臨床研究も進み実用化も近い様です。近い将来に、がんは“治る病気”になるでしょう。2015年7月10日:がん治療の最新研究(がん細胞の光治療&微少カプセル治療法)

 

反響の大きかった『コレステロールの基準値と対策』

2017年07月20日

本ブログでは、コレステロールに関する記事を沢山書いてきました。特に、コレステロールの基準値の記事は反響が大きく、未だに多数のアクセスがあります。また、病院での服薬治療に対する不安や疑問を持った方々や生活習慣の改善などについて知りたいという方々が、電話やメールでの無料健康相談にお越しいただいております。そこで改めて、コレステロールに関する基準値の解釈や安全な高脂血症対策について、私見をまとめます。

①     患者数急増の原因

高脂血症と診断された人間ドックの受診者は、1990年には8.9%でしたが、2014年には33.6%に急増しています。この急増の原因の一つとして、食生活の欧米化と運動不足が挙げられていますが、主因は基準値の引き下げにあります。1976年には総コレステロールの基準値の上限は 260 mg/dl でしたが、1989年に高脂血症薬メバロチン(スタチン系)が発売されると219 mg/dlになり、2014年からは199 mg/dlに引き下げられたので、基準値を超える受診者が増えるのは当然のことです。この基準値の引き下げとコレステロール悪者説の脅しで、高脂血症薬はドル箱商品になっています。2013年10月30日:健常人を病人にする方法(2:高コレステロール血症)

②     基準値とは?

基準値とは、健康に全く問題が無い対象者の95%が入る範囲(緑色の矢印の範囲)をいいます。従って、2.5%は基準値以下(水色の部分)になり、健康な人でも2.5%は基準値を超えます(オレンジ色)。人間ドックの受診者は殆どが病人ではないので、基準値を超える割合は2.5%を大きく超えることはないはずなのですが、30%以上の受診者(赤の部分)が高脂血症と診断されています。従って、現在の基準値の上限は、明らかに低すぎるといえます。2014年に人間ドック学会が示した基準値が本来の基準値の範囲であり、理にかなっているのです。2014年5月1日:基準値のウソが修正される?2015年4月1日:正義(人間ドック学会の基準値)は力で潰された?

③     対策

コレステロールは、細胞膜、ホルモン、胆汁などの原料として重要な成分ですので、低すぎると健康を害します。しかし、2014年の人間ドック学会の示した値を大きく超えることも芳しくありません。その場合の対策は、一部の家族性高脂血症の場合を除いて直ぐに服薬ではなく、食事療法と運動療法から始めるべきです。総コレステロールはLDL+HDL+中性脂肪/5で計算できますが、HDLが高値になる高脂血症は殆ど無いので、LDLと中性脂肪を減少させることで総コレステロール値の低減を目指します。LDLの低減には、食事療法が主になります。食物繊維の多い野菜、キノコ、海藻などを積極的に摂り、コレステロールや脂肪酸の多い動物性脂肪、魚卵、バターなどを減らします。中性脂肪の削減には、食事療法と運動療法の両者が有効です。食事では、飲酒量の削減、お菓子やケーキ類などの甘味を控えることが必須です。中性脂肪はエネルギー源ですので、運動で燃やしてしまう事で低下します。運動は、有酸素運動を継続することが必要ですから、楽しく出来ることを選んで下さい。2016年7月20日:高脂血症と対策2016年7月1日:「ホームページからの健康相談」の上手な利用法(LDL)

④     高脂血症薬の副作用

食事療法と運動療法で効果が認められない場合は、服薬治療に入りますが、副作用に注意してください。高脂血症薬として最も使われているのが、スタチンという種類の薬です。病院では安全な薬として処方しますが、横紋筋融解症という筋肉が溶ける副作用や肝炎を発症することがあります。横紋筋融解症の症状は、筋肉痛、手足のしびれや力が入らない、尿が赤くなるなどがあります。服薬直後に症状が出る場合もありますが、長期の服用中に徐々に出てくる場合も多くあります。その場合は服薬を止めて、症状が緩和するか様子を見て下さい。(確認は、血液検査のCKや尿のミオグロビン)2015年10月20日:ホームページからの健康相談(高脂血症薬は飲むべきか?)

⑤     健康食品

高脂血症薬の副作用を危惧する場合、健康食品としてお勧めなのはクコ(枸杞子)です。副作用が無く長期服用できる養命薬として漢方で用いられ、近年ではスーパーフードとして日本のみならず海外のセレブにも人気の食材です。その理由は、主成分のベタインには抗脂肪肝作用や血圧降下作用、生活習慣病の予防効果に加え美容効果も期待できるからです。私の研究している美露仙寿(めいるせんじゅ)は、クコを主成分に7種類の植物の濃縮液ですが、継続飲用で総コレステロールの低減、代謝や免疫力が向上するデータなどを医学誌に掲載しています。医薬品に抵抗のある方は、試してみて下さい。2016年9月1日:枸杞子(クコシ)のコレステロール抑制効果

以上が、コレステロールに関する私の見解です。自分の健康状態を判断するのに、どの基準値を採用するか?服薬をするか否か?は、読者の皆様の判断になります。色々な情報を考慮した上で、最善な方法を選択して下さい

 

 

手足口病が流行の兆し

2017年07月10日

手足口病が西日本を中心に流行の兆しを見せています。国立感染症研究所の発表によると、7月に発表した患者数は、昨年同期の6倍で、都道府県では鳥取県、香川県、滋賀県が多くなっています。

手足口病とは、7月にピークを迎えるウイルス感染症です。症状は、口の中や手のひら、足の甲や裏に水疱性の発疹が現れ、1~3日くらい発熱することがあります。通常は数日で回復しますが、希に髄膜炎などの深刻な病気に進行する場合もあります。患者の殆どは5歳未満の小児ですが、大人が発症する場合もあります。

特効薬はないので、痛み止めや粘膜保護剤の軟膏などの対処療法のみです。他の子供に感染させる可能性がありますので、手洗いやマスクの使用、玩具は共有しないことに気をつけます。症状が回復しても暫くはウイルスが残りますので、オムツの処理をした後などは十分な手洗いで、他への感染を防ぐことが必要です。